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オンライン市民コンサートへの序奏? [音楽のこと]

さて、本日は、久し振りとなる場所に出掛け、また、ご無沙汰している方々ともお逢いし、暫くぶりの音楽に触れる一日。どちらもコロナ・クライシスで外出自粛となって以来の、ちょっぴり懐かしさすら覚えるような面々と、そして心を揺ら揺ら揺るがすような調べで・・・。


先ずは、大阪大学豊中キャンパスに向かいます。

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同キャンパスといえば、月に1、2度訪ねては、大阪大学会館でのクラシック演奏会『ワンコイン市民コンサート』、文学部芸術研究棟でのインドネシア・ジャワの伝統芸能ガムランのワークショップ『日曜ガムラン』で、共々学ばせて頂いていた(ある意味現在の)母校(と呼びたい場所)?!
クラシックのライヴ・コンサートの方は、随分先まで公演予定がスケジューリングされていたのが、3月公演以降何れも延期、中止となったまま。
ガムランのワークショップの方も、月に一度の体験会に加えて、春の大学祭での定期公演に向けて演奏曲も決まりちょっと本気を出そうかなァ(?)といった矢先でフリーズしたまま。
おまけに本来なら、今日は『ワンコイン市民コンサート』の10月公演が予定されていたのですが・・・。
心のこりで思わず ♪ ワタシ馬鹿よねェ おバカさんよねェ~ ♪ と歌っちゃうほど?
他のイベントはともかく、この二つが沙汰止みになったままでは、心残りがココロの凝りとなっちゃって、なにやら胸がシクシク痛む。

何しろ、『ワンコイン市民コンサート』には足掛け九年、ほぼ毎月精勤し、『日曜ガムラン』もざっくり三年半近く、行ける限り通って、両方ともワタシにとっても月例行事。通学と言ってもいいほど? 寂しいったらありゃしない。

・・・ところへ届けられた朗報。

『日曜ガムラン』でご指導頂く主催グループDharma Budayaのメンバーのうちお二方に、さらにお一方加えた女性3名で構成する別ユニットTidak apa-apaが大阪市北区豊崎のギャラリーヨルチャで「お昼寝ガムラン」を開催する由。
もともと『ワンコイン市民コンサート』開催日とあってギリギリ直前までワタシのスケジュールは空けてあったので、そのガムラン・ライヴを予約したところ・・・。

重なる時には重なるようで、

ワンコイン市民コンサート』の方も、大学内の施設を使っていることもあって、観客を募っての公開演奏というわけにはまだいかないようなのですが、無観客のホールで演奏する様子を録画撮影し後日に動画をネット配信することに決まり、今日がその撮影日で、設営等の補助要員、スタッフを急募するとのこと。

ワンコイン市民コンサート・オンライン公演(のための録画撮り)」は11h00から16h00頃まで。「お昼寝ガムラン」は、13h00開演と15h00開演の2公演でワタシが予約したのは15時の方。
あらッ、1時間ほどカブっちゃってます?! 豊中キャンパスから大阪市北区までどこでもドアでも無い限り小一時間は掛かっちゃうし。
時間的にケツカッチンどころか、ダブル・ブッキングに近しい状態になってかえってご迷惑になるかとも考えたのですが、約八ヶ月ぶりに大阪大学会館常設のヴィンテージ・ピアノの音が聴けるとなったら矢も盾もたまらずに、お手伝いしますと手を挙げてしまった次第。

・・・で、其処彼処、金木犀が甘く香る大阪大学豊中キャンパス
そこに足を踏み入れるのは、実に八ヶ月ぶり。金木犀よりノスタルジア薫る・・・みたいな?!

ワンコイン市民コンサート』の会場とされている大阪大学会館(旧イ号館)は、1928(昭和3)年に旧制浪速高等学校の校舎として建てられ、学制改革により大阪大学に移管されたレトロ・スペクティヴな多目的ホールで、国の登録有形文化財建物にも指定されています。
その2~3階が講堂で、現在は様々な催しに使われ、コロナ禍で中止を余儀なくされるまでは月に一度のお楽しみとして、ワタシも通学(?)していたところ。
ホールがレトロ・スペクティヴなら、そこに常設されるピアノもヴィンテージ物で、1920年製のBösendorfer Model250 Liszt Flügel
フランツ・リストの名を戴き、奥行き250センチメートル、標準的な88鍵より低い音域に弦が追加されて、最低音を通常よりも長3度低い「F音」とした92鍵の鍵盤を持つ、現在のベーゼンドルファー・インペリアルシリーズのプロトタイプとなる逸品。
キーが多くなり、それに伴って響板も幅広くなって、標準体型(?)よりちょっぴり太っちょ? ですが、その分響きが豊潤で、言葉では尽くせぬほどに特徴的。
意匠を凝らした脚線美も足フェチなワタシの興味を唆るところなのですが、それ以上に独特な声音が魅力的。

ホール・ライヴで活躍するのはもちろんですが、最近は『arsOCCA Project』としてCD制作プロジェクトが発足、このヴィンテージ・ベーゼンドルファーと最新にして次世代のモデル、280VCを弾き比べるというとんでもなく贅沢なレコーディングが順次進行中。
第1弾が松尾久美さん、第2弾が加藤幸子さんをそれぞれプレイヤーとして製作、第3弾もリリース直前(詳しくは「OCCAワンコイン市民コンサートのウェブサイト」をご参照ください)。
(まさか今回の事態を予期したわけではないのでしょうが)外出が規制されるならご自宅でお楽しみ頂けるようにとライヴに引けをとらないくらいに贅沢なCD。
とはいえ音楽はナマモノ、演奏会の臨場感を味わいたいと思うのが人情。
レトロなホールに響くヴィンテージな調べ。その生音が、ねェ、なんともいいわけですよ。

叶わぬことを望むより、多くの方に雰囲気だけでも味わって頂こうとオンライン・ストリーミング製作の運びとなったわけですな。

臨場感ならライヴ・ストリーミングとしたいところですが、音楽専用ホールでもなく若干なりとも雑音が入ってしまうし、ヴィンテージ・ピアノのご機嫌を伺いながらとなったら、音質、画質の補正など多少の編集作業も必要となって録画配信、出来栄えを演奏家にも確認して頂いてからリリースという配慮でもあるのでしょう。

大阪大学会館からのオンライン公演第1弾が武久源蔵さんと宮崎貴子さんによる四手連弾。
もともと10月公演は武久源蔵さんのリサイタルが予定されていて、源蔵さんの公演といえば「ピアノの発見」とタイトルされるシリーズ物。2015年の「第1章」から始まって、昨年が「第5章」、今月に「第6章」がご披露頂ける・・・はずだったもの。
毎回、演目に相応しい古楽器・・・クリスティアン・ツィル・ジャーマン・チェンバロやゴットフリート・ジルバーマン・フォルテピアノ、スクエア・ピアノなどを遠路運ばれて、ヨハン・ゼバスティアン・バッハから始まるバッハ家の大河ドラマ、それに続くピアノ音楽の系譜を軽妙なおしゃべりとともにご上演くださって、ワタシも「第6章」がどの時代の、誰を主人公にしたストーリーかと楽しみにしていたわけで・・・。あッ、ワタシだけではありませんね。

ワタシが源蔵さんや他のスタッフとホールに入った時には、齢百年を数えるピアノはチューニングを終えて、貴子さんが独りウォーミングアップの真っ最中。すでに講堂内には熱の入った音色が広がって、華やかな色彩まで感じられるような。
四手連弾のセコンド(第2奏者・低音側)のパートになるのでしょうが、その演奏曲目は・・・。オンライン公演公開時までヒ・ミ・ツ・・・にしておきましょうか。
ピアノの発見」はついにドイツを離れ、辺境へと進みます。ロシアの作曲家による交響曲(の4手ピアノ版)、さて、なんでしょう??

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到着早々ステージに上がる源蔵さん。
挨拶や打ち合わせもそこそこに、早速二人並んで鍵盤に向かうと、以心伝心、つうと言えばかあ、阿吽の呼吸で連弾演奏、いきなりのリハーサル。

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今回プログラムされた演目は何れも大作で、シンフォニーからのトランスクリプションあり、管弦楽でも演奏されて四手連弾の定番曲にもなっている舞曲集あり、某作曲家が名誉博士号を授与された記念に作った派手やかな序曲があり、・・・って、もうなんだかうっすら分かっちゃいますね。
ピアニスト二人掛かりでも重労働(?)なら、ヴィンテージ・ピアノにもかなりの負担。
そのピアノもこの八ヶ月、ホールにはオーディエンスはおろか、プレイヤーも訪れなかったそうで、休眠したままであったとのこと。
「ウィーンの至宝」も磨かざればただの石? 古い楽器ともなれば、適切なメインテナンス、チューニングがあって、名人、上手の妙技があってこその銘品。チューナーさんの手によって長い眠りから目覚め、さらにピアニスト二人掛かりで揺り起こされて、寝起きスッキリ!! 磨きのかかった美声がカムバック。
録画用に用意された2台のカメラとマイクを準備しながらも、ワタシの耳は四手が奏でるリスト・フリューゲルの調べに釘付けで。邪魔しちゃいけないと思いながらも、カメラの三脚を抱えてホールを縫い、電源ケーブルをひきづりながら客席を飛び越え、ステージにも登ったり降りたり・・・。
ピアニストのお二方はそんなことも何処吹く風と、入念なお浚いに一層チカラが入る様子。
曲数も多く、それぞれがヴォリューミー。息を合わせるリハーサルもそれなりの時間を要し、念の入れようが深いところは難易度が高くもあるのでしょうが、ピタリと揃えばカッコよく決まる聴かせどころ・・・なのでしょう。
こうしてリハーサル風景を拝見出来て、本番より面白いと言えば叱られちゃうかもしれませんが、連弾の真髄に触れられたような気がします。役得、役得!!

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一音入魂(!)の連弾演奏は流石の一言なのですが、それを受け止めるピアノ、リスト・フリューゲルも八ヶ月も眠っていたとは思えないほど凛然と鳴るのが頼もしくて。
多くのパテント取得を誇るスタインウェイだとか、フレームをトラス構造とした最新のベーゼンドルファー・ヴィエナ・コンサート・シリーズなどとの違い、優柔なんだけど軟弱じゃない、深みと温かみを含むヴィンテージ・ピアノらしい音色、それがレトロ・スペクティヴなホールに響く様がヴィデオでどこまで伝わるか・・・なんてことを言ったら身も蓋もない?
「(オンライン版)ピアノの発見 第6章」にプログラムされる楽曲、ちょっとエスニックで、はんなりとノスタルジックで、やんわりとロマンティックでファンタジックな曲調によく合っていたように感じましたが、どうでしょう。オンライン公開が待ちどうしく思えます。

というのも、午後からの予定に向けて途中退場。全曲の録画撮りに立ち会えなくて、残念ながら本番は半分も聴けていません。
ライヴでの本公演が1日も早く再開されることを祈りつつ、合わせてオンライン公演の方も心待ちにしながら、後ろ髪引かれる思いで大阪大学会館を後にして。

今日録画された分はまだこれからなのですが、「OCCAワンコイン市民コンサートのウェブサイト」には、足掛け九年で101回(+特別公演5回)を数えるライヴの様子を収めた動画もリンクされています。さすがに全公演の全曲とはいきませんが、演奏者も納得の選りすぐりがとにかく盛り沢山。
そちらではリスト・フリューゲルだけでなく、源蔵さんが持ち込まれたチェンバロやハンマークラヴィーアの音色を識ることが出来ますし、新旧のベーゼンドルファーが並んだこともあり、ベーゼンドルファーとスタインウェイの弾き競べもありました。
ピアニストだけでなくヴァイオリニストにチェリスト、ヴォーカリスト、さらにはフルート、ヴィオラ、オーボエに、ガムラン楽器、十二単衣をお召しになっての和歌詠唱などなど、et cetera、エトセトラ。
何れも聴き応えたっぷりで、大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館へ行けない今こそ視聴のチャンス?!

会館でのライブ公演再開の際はもちろんのこと、今日録画された「オンライン版ワンコイン市民コンサート」リリース時にはまたお報せいたします。

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みつばち

いいな~
by みつばち (2020-11-16 21:32) 

JUN1026

みつばちさん、ご無沙汰しています。
オフィシャル広報部長の役得でいい思いをさせて頂きました。
別のライヴがあったので途中退場となったのですが、リハーサルだけでも堪能出来るくらいにすごい演奏でしたよ。
一日も早く公演が再開されて、バルコニー席でお逢い出来ることを願っています。
by JUN1026 (2020-11-17 22:21) 

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