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大阪クラシック2020 初日 [音楽のこと]

春が過ぎ、夏を越しても、留まる気配を見せないコロナ・クライシス。
感染拡大を防ぐため、様々なイベントや伝統行事さえ中止、延期を余儀なくされる中、今年の開催が危ぶまれたのが大阪に芸術の秋到来を告げる音楽の祭典『大阪クラシック』。
今年は無いものと高を括っていたのですが、出演者やサポート・スタッフのご努力、ご尽力に拠って、運営方法を変更しながらも開催の運びとなりました。パチパチパチ・・・!!

2006年にスタートした『大阪クラシック』は毎年、一週間に渡って、中之島界隈を中心に、中央公会堂やフェスティバルホール、オフィスビルやホテル、学校のロビー、サロンやホールなど約20箇所の施設を会場として、60~100前後の公演数を数え、観客数は増加の一途、年を追うごとに盛大な盛り上がりとなっていました。
「三密」を避けなければいけない、ソーシャルディスタンシングを守らないといけないという状況下、今年は期間こそ変わらないものの、観客を動員する公演は、会場を4つに限定し、公演数を18に減らし、その全てを有料公演のみとしたスケジュール。
スタート当初は(早朝に整理券を貰いに行かないといけないものの)オープニングやフィナーレさえ無料だったことを思うと、(諸般の事情はあるのでしょうが)随分と世知辛い(?)気もします。
毎年のべ50,000人近い観客動員を得たスケジュールが割愛されるのは惜しい気もします。
オーケストラでの通常業務(?)とは別に、この音楽祭のために習得されたアンサンブルやソロ演奏が沙汰止みになっちゃうのは勿体無い気もします。
何より一週間で18公演じゃあ物足りない!!
というわけで、無料公演は無観客の状態で事前に録画した動画をインターネット配信で視聴するというスタイルで、それが1日4公演ずつ都合28公演。「ステイホーム」しながら、音楽の祭典を垣間観る、この日のためにメンバーそれぞれが研鑽を重ねられた演奏を聴かせて頂けるというわけで。

ワタシ的には、一週間といっても月~金は(本来なら)お仕事があって、開幕の日曜日と祭典のフィナーレとなる土曜日くらいしか脚を運べないうえ、非常に混雑して、そのほとんどが立ち見となる無料公演はまだ暑い中少々しんどくて、ここ数年は第1日と最終日、「ピアノ・スペクタキュラー公演」が催される中日の、ほぼ有料公演だけをターゲットとしていたので、生で拝見、拝聴する公演数はそれほど変わらないことになります。
事前に案内されたスケジュールを検分して、もちろん「第1公演」と「最終公演」は外せないのだけれど、08月22日に販売が開始されたチケットを数枚ゲットして。

例年と変わらないのが、今回も大阪フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者大植英次プロデュースのもと、ご出演が大阪を拠点とする、大阪フィルハーモニー交響楽団関西フィルハーモニー管弦楽団大阪交響楽団大阪センチュリー交響楽団オーサカ・シオン・ウインド・オーケストラの皆さん。
指揮者も入る管弦楽は「第1公演」と「第18公演」。それ以外は、弦楽四重奏やチェロ独奏、ピアノが加わるトリオやクインテット、et cetera、エトセトラ。マエストロ大植がピアニストとなる人気公演は今回3台ピアノ版。お能とコラボレーションされる特別公演も欠かせません。
今年はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの生誕250周年に当たるからベートーヴェン・イヤー、楽聖さまの作品が目白押しになるのかと予想したのですが、(公演数が減ったせいか)事前の告示ではそれは少なく、ワタシ的にはドイツ・オーストリア的なものよりフランス音楽、それも近代が好みですがそちらもほぼ皆無。まァ、演目全てが前もって発表しているわけでは無いので分かりませんがね。

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ライヴ・コンサートが殆ど催されない今、貴重な演奏会でもあって、兎にも角にも音楽祭初日の「第1公演」。行かない訳にはいきますまい。
会場は中之島に建つレトロスペクティヴなホール、大阪市中央公会堂大集会室で、12h00開演。
指揮:大植 英次・管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団で、演目はアントニン・ドヴォルザーク作曲「交響曲第9番 ホ短調 作品95 『新世界より』」。
ワタシが手にしたチケットは「1階す列18番」。いつも発売開始と同時に入手してほぼほぼ最前列を取れていたのが、今回は随分と後ろの方・・・かと思ったのですが・・・、
本来なら50音順に「あ列」から始まる大集会室の客席。「あ列」から「さ列」まで、中央通路より前の11列を取っ払っちゃって、「し列」を最前列として、隣り合う席もひとつ飛ばし、奇数列は奇数番だけ、偶数列は偶数番だけになって、市松模様スタイル?? 1階の約800席が300席足らずに減らされて、見てないけれど2階席はどうなっていたのでしょうか。
観客席だけでなく演者席もディスタンス確保のために、既設のステージは封鎖されて、中央通路より前、「あ列」~「さ列」の座席を退けて空いたフロアが今回のオーケストラ・ピット。
結果的に、前から2列目のほぼ中央、ポディウムの真ん前を得ることになりました。

開場後、ワタシがそこに着いた時にはもう楽団員のうち数名がその常ならぬ場所にスタンバイされて、チューニングやら指慣らし。その人数が増えるに従って観客席も埋まり出し、万雷の拍手で迎えられ定刻通りに登場されるのがコンサート・マスターの崔文洙さん。さらに客席が沸いたかと思えば、コンダクターの大植英次さんのご登壇。
皆さん黒い正装で揃えておられるのですが、管楽器奏者以外はマスクを着用して、それが異様といえば異様。それでおしゃべり禁止になっちゃったのか、この作曲家、この楽曲なら解説は要らないでしょうということなのか、前説共々開会宣言や各スポンサー様への謝辞も割愛されちゃって。

解説不要な「From the New World」。
叙情的というよりやや扇情的に、感情を煽るような演奏は「ニューノーマル」な時代の息苦しいような状況を払拭しようとするようでもあって、故郷である大阪がかつての活気を取り戻すようにと「(しい)世界より」祈りを込めて。
それはコンダクターだけでなく、コンサートマスターを始め、演奏されておられる大阪フィルハーモニー交響楽団みなさんの思いなのでしょう。それぞれの音に慈愛を感じるような。

今回、ステージを使わずに仮設的なオーケストラ・ピットでの演奏でしたが、第2楽章のイングリッシュ・ホルンによる例のあのフレーズを始め、オーケストラ後列、管楽器セクションの奏でる音が常とは違って聴こえたように感じられました。
まるで炭酸水の中の気泡のようにスゥ~と立ち昇ってはフワリと弾けて揺蕩うように広がって・・・。
その第2楽章は少しテンポも遅めているのでしょうか、夏の名残りの日照りを払う涼風めいて、長閑でのんびりと、午睡を誘うようでもあって。
それに続く第3楽章、第4楽章はダイナミックで、もとよりそうした曲調ではあるのですが、ドラマティックな演奏でした。

テンポを落とし過ぎて時間が押しているのか、お喋り厳禁と指示されているせいか、終演後慌てたように退場されようとするマエストロ
それにしても、どうもただならぬ様子で、コンサート・マスターのさんを始め、楽団員も落ち着かない雰囲気。
どうやら、感染予防対策を意識し過ぎてしまったようで、コンダクターがアンコールを忘れちゃった・・・らしい。
スタッフさんに呼び止められて、お気がつかれたようで・・・。

気を取り直して、アンコールはヨハン・シュトラウス2世作曲「観光列車」。
軽快なポルカは、自粛も明けて「Go To トラベル・キャンペーン」?

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せっかく大阪市北区中之島まで出向くのですから1曲だけでは帰れません。ランチを挟んで、午後の「第2公演」に備えます。
会場となる大阪市中央公会堂が1913年着工、1918年竣工、国の重要文化財なら、昼食もそれに合わせたところで。
大阪市内に幾つか残るレトロスペクティヴなビルヂング。1927年竣工で国の登録有形文化財に指定される芝川ビルディングもそのひとつ。外観や共有スペースには南米マヤ・インカの装飾が施された、鉄筋コンクリート造で地上4階、地下1階建ての歴史的建造物、その地下にあるのがベトナム料理店Restaurant RIVE GAUCHE
ここの場合、大川の左岸という意味になるのでしょうか。セーヌ川左岸を意味するフランス語の店名を掲げ、店内の設えにもフランス語が目立つポスターが用いられて、そこはかとなくパリの香り?
左岸といえば、カルチェ・ラタンにサンジェルマン、そしてモンパルナス。
「ステイホーム」中にサブスプリクション配信されるヴィデオからジャック・ドゥミやアニエス・ヴァルダの監督作品を逐一観ちゃって、今月末には「モンパルナスの帝王」に逢いに行く?
ワタシも気分は「左岸派」の一員。で、RIVE GAUCHE
かつては花嫁学校「芝蘭社家政学園」が入っていたビルヂングの、地下は調理実習室だったとかで、その際に使われていた流し台がそのまま残りカウンター席となっているのが面白いところ。外観とは別に、和洋折衷というか、日仏に越南をミックスした異空間。
そこで頂くのは日本人の味覚に合わせたベトナム料理で、甘さ控えめなランチ・メニュー。
今日は「ブンボーフエ(bún bò Huế/

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