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Felix Trio : 音楽の次元性 [音楽のこと]

本日の「ワンコイン市民コンサート」はピアノ・トリオ(ピアノ三重奏)のプログラムで、その名もFelix Trio(フェリックス・トリオ)の登場です。
作曲家フェリックス・メンデルスゾーンことヤーコプ・ルートヴィヒ・フェーリクス・メンデルスゾーン・バルトルディ(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy 1809年02月03日 - 1847年11月04日)をこよなく愛する、とてもお若い三人がご出演。
折しも、秋麗(あきうらら)に小春日が煌めくキャンパスは、3週間後に秋の大学祭「まちかね祭」を控えて、其処彼処から歌声や楽音が聴こえて、今日は何やら、ナウなヤングの、プレ大学祭めいたコンサートになりそうな・・・。

ワタシの記憶が確かなら・・・、
ワンコイン市民コンサート 第82回」にして、初めてのピアノ三重奏
以前に、フルート、ソプラノにピアノのトリオは有りました(第4回)が、一般的に「ピアノ・トリオ」と呼ばれるのは、ピアノヴァイオリンチェロの組み合わせで、今回のFelix Trioが初のお目見え・・・となるはず。

旧い時代からその編成での演奏、その編成のための楽曲はありましたが、総じてちょっとだけ退屈?
ピアノヴァイオリンピアノチェロのデュオはそれぞれ数多作られて、名曲と呼ばれるものも多くあるのに対して、トリオとなると楽曲数も少なく、傑作となると数えるほどしか存在しないように思えます。
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn 1732年03月31日 - 1809年05月31日)は48曲も作っておられる。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756年01月27日 - 1791年12月05日)が6曲で、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven 1770年12月16日 - 1827年03月26日)が11曲。ウィーン古典派を代表する作曲家でさえ、数多く試みている割には、ことピアノ三重奏曲に関しては成功とは言いがたいようにも思えます。何れもが大巨匠ですから、駄作だとは言いませんが、少々退屈。
それは恐らく、まだピアノピアノとして発達し切れておらず、フォルテピアノや(ハンマー)クラヴィーアの時代で、音域も狭く、完成しきったヴァイオリンチェロの2台と対等に並べるほどのスペックに至っていなかったせいなのかも知れません。
また、和声学など理論による束縛、各楽器の奏法がまだ限定的であったためなのかも知れません。
その後、いわゆるロマン派になると、ピアノも発達、その音域も広がって、和声の自由度も若干高まったこともあって、ピアノ・トリオに挑む作曲家が増えはするのですが、何れも曲数は僅か、名曲、傑作として今日まで親しまれている楽曲はやはり数える程。
ヴァイオリンピアノチェロピアノのデュオをそれぞれ演じたり、ヴァイオリン&チェロの二重奏に変わったり、三つの楽器がそれぞれ独奏を披露したり、三人三様、時には二重協奏曲に、まるでブリリアンカットのような輝きを秘めた多面性。
面白いと思うのですが、作るのが難しかったり、演奏もそのバランスを維持するのが至難となるのでしょう。

それは何故でしょうか?

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今回の「ワンコイン市民コンサート 第82回」のテーマは、〈音楽の次元性(Dimensionality of Music)〉。
その幾何学的で、ちょっと小難しそうな主題の奥に、ワタシが求める答えは隠れているのでしょうか?

大阪大学豊中キャンパス 大阪大学会館にて、開場は14:30、開演は15:00。
ホワイエ前のロビーから階段を通じた階下にかけて、早くから来場者が並ばれて、若いトリオに対する期待感が否が応でも高まって来ます。

今日のプログラムとなるのは、メンデルスゾーンラヴェルの、それぞれピアノ三重奏曲
一方の、フェリックス・メンデルスゾーン(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy 1809年02月03日 - 1847年11月04日)は、神童と謳われたピアニスト、オルガニストで、あらゆる芸術に精通した早熟な天才作曲家。
もう一方のモーリス・ラヴェル(Joseph-Maurice Ravel 1875年03月07日 - 1937年12月28日)も、自らピアノを演奏しつつ、”オーケストレーションの魔術師”の異名を持つ。
どちらの楽曲も、ピアノが真ん中で核心的な役割を担いつつも、決してピアノが主役という訳でもなく、2つの絃楽器との対比、バランスが最重要。三つの楽器が対等で綺麗な三角形をなして、お互いを引き立て合い、盛り立て合って、それでいながら、それぞれの持ち味を出し合う、アンサンブル、室内楽というより最小限のオーケストラ、管弦楽にも等しい・・・管楽器はいなのですが・・・ような楽曲。

例えていうなら、A5ランクの国産極上牛フィレ肉に手の込んだソースが二種類添えられているような。
双方とも、作曲者自身が鍵盤楽器奏者でもあって、大きなピアノが中核となるお肉で、絃楽器2つがおソース? 三つの楽器が、いずれも付け合わせ、サイド・ディッシュに成り下がらない?!
ニンジンもピーマンもポテトもキライです。パセリやセロリやシイタケはもっとキライッ!! ンッ、そういう話しじゃない?
充溢で食べ応えのあるViandes(肉料理)で、もっと味を引き立てあう関係。
まァ、おソースがどういうブレンドになるか、それはシェフ・・・作曲家の腕次第。美味しそうでしょ?? 食欲、そそられちゃうでしょ? 濃厚でいて、しつこくない絶品の味!!
ン? ソースが3つも4つも欲しい? それではあまりに欲張りで、混ざり合って、味を打ち消しあってしまいます。
えッ、お肉が良ければ、ソースは不要? それでは、シェフの腕の振るいようがない。

傑作が少ないと書きましたが、この2曲は、名曲中の名曲。それぞれ味わいに隔たりはあるのですが、どちらも傑作の中の傑作。
一方はオーソドックスな中にロマンティックなフレーバーを醸すドイツ・ロマン派で、もう一方は新食感の中にノスタルジックで正当的な隠し味を秘めたフランス近代音楽
風味の異なるふた皿のお料理楽曲をどうサーヴして下さるのかも聞きどころ。

それを演奏するのがFelix Trio(フェリックス・トリオ)こと、ピアニストの矢野百華さん、ヴァイオリニストの北條エレナさん、チェリストの河野明敏さん、若いお三方。

百華さんは、
“兵庫県立西宮高校音楽科、京都市立芸術大学卒業。2006年兵庫県学生ピアノコンクールC部門最優秀賞。2006年全日本学生音楽コンクール大阪大会小学校の部第3位。2007~2012年PTNAピアノコンペティションE級、F級、G級全国決勝大会入選。2009年宝塚ベガ学生ピアノコンクール中学生部門第1位。2013年寝屋川市アルカスピアノコンクール一般部門第1位。2014年同コンクールデュオ1台4手部門グランプリ。2015年神戸新人音楽賞コンクール優秀賞。2014年大阪にて、2017年神戸にてリサイタルを行う。2016年ブラジルで開催された音楽祭に招待され、カルロスゴメス弦楽四重奏団と共演。NHK-FM「リサイタルノヴァ」にピアノトリオで出演。これまでに、クラウディオ・ソアレス、服部久美子、野原みどり、竹内素子、荒木美佳、林由美子の各氏に師事。ピアノデュオを河野美砂子氏に師事。ソルフェージュを横田秀孝氏に師事。現在、京都市立芸術大学大学院音楽研究科修士課程に在籍。”

エレナさんは、
ミラノ近郊ノヴァーラ生まれ。幼少時より日本イタリア両国においてコンサート出演。関西フィルと協奏曲共演。高3まで、全国オーディション選抜の佐渡裕率いるスーパーキッズオーケストラの第一バイオリン奏者を務める。京都堀川音楽高校ではコンサートミストレスを務めヴァイオリン専攻首席卒業。大阪神戸の他、イタリアオランダにてリサイタルを開催し好評を博す。オランダインターナショナルミュージックセッションにてクシシュトフ・シミェタナ氏、フランスにてロラン・ドガレイユ氏、ザルツブルク音大にてミヒャエル・フリッシェンシュラーガ氏、イタリアにてトルトレッリマウロ・トルトレッリ氏のマスターコースを修了し各校にて選抜コンサート出演ディプロマ取得。ロータリークラブ青少年コンクール第1位及びガバナー賞。第20回KOBE国際音楽コンクールC部門(18~32歳)奨励賞。スペインGROBA国際バイオリンコンクールセミファイナリスト。京都市立芸術大学ヴァイオリン専攻首席卒業。室内楽やオーケストラ、ソロで活動中。”

明敏くんは、
“1994年北九州市に生まれ、10歳より北九州市ジュニアオーケストラにてチェロを始める。同楽団での活動を通して音楽やチェロの楽しさに魅了され、チェリストとして生きていくことを決意。
これまでにチェロを加治誠子、宮田浩久、上村昇、河野文昭の各氏に、室内楽を植村太郎、中木健二、市坪俊彦、坂井千春の各氏に師事。京都市立芸術大学音楽学部を卒業し、現在は東京芸術大学大学院音楽研究科修士課程に在学。地元北九州で開催される「湧き上がる音楽祭 in 北九州」では、過去に二度ソリストとしてオーケストラと共演。さらに今年は北九州・東京・京都の三都市でリサイタルツアーを開催するなど、積極的なソロ活動を行っている。また室内楽にも非常に精力的に取り組んでおり、現在はサントリーホール室内楽アカデミー第5期(2018年~2020年)フェローとしても、さらなる研鑽を積んでいる。”

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15:00の開演ベル。

まず、前半の第1部は、メンデルスゾーン作曲「ピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 作品66」。
その名を戴くFelix Trioが演じるフェリックス・メンデルスゾーントリオ
第1楽章の冒頭こそ、間違わないように弾こう、丁寧に演奏しようとするのか、少し硬さも見受けられたのですが、それが若さなのでしょうね、言葉は悪いけれど、開き直り、適応力の高さを示し、徐々に解れて、伸びやか高らか。
印象的には、慈愛に満ちた母と美しい姉妹。懐深く包み込む母に抱かれた姉と妹。
百華さんがお母さんという訳ではないでしょう。ましてや、明敏くんが”オネエ”さんだというつもりはありません。あくまで演奏上、耳で受けた印象ですから。
ピアノがどっしりと構える前で、娘二人が伸びやかにデュエット。姉娘(Vc)がしっかり母(Pf)のフォローに回れば、妹(Vn)は気ままに歌い出す。そうかと思うと、私もまだまだ現役よと、母(Pf)が姉妹の前にしゃしゃり出る。
テキパキして、時に小言の多い(?)ママとしっかり者の姉と少々甘えん坊な妹。ちょっと頑張り過ぎる母親を何気に気遣いながら、妹(Vn)を優しく導く、おねえちゃん(Vc)が実によく出来た子。弓使い、運指がしなやかななのでしょうね。母(Pf)の声は豊かに広がって、妹(Vn)も母(Pf)や姉娘(Vc)に遅れを取ることなく美声で歌い上げる。

第1楽章が終わったところでオーディエンスから拍手が起こり、最終楽章を終えると、その演奏を称えて、改めて万雷の拍手。

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15分の休憩明けは、インタヴュウと簡単なディスカッション。ステージ後方の大きなスクリーンには何やら難しい図式まで映されて・・・。テーマは「音楽の次元性(Dimensionality of Music)」。
トリオの中で発生する関係性、トリオならではの複雑さ、トリオと他のアンサンブルとの違い、アンサンブルでの合意点、そして、その合意点として例に挙げられたのが「三角形の五心(内心外心垂心重心傍心)」。三つの角、三つの辺を持つ三角形に備わる5つの心。

インタヴュワーで質問を投げかけるのは、当コンサート実行委員会の荻原哲先生。大学院名誉教授からのクエスチョンとあっては、まだお若い三人、うちお二方はそれぞれの大学院音楽研究科修士課程に在籍中とか。コンサート中に、コンサートとは別の緊張?! 急に、多弁に答えるのは難しそう?

というわけで、ワタシが勝手に、お三方の言わんとすることをまとめさせて頂いて・・・、

楽器が3つ集まれば、トリオ三重奏の出来上がり・・・ではあるのですが、オーケストラの全楽器を合わせたより広い音域を持つピアノが加わると、ちょっと意味合いが変わってくるように思います。
また、同じピアノ込みの小編成室内楽にしても、ピアノ四重奏だとか、ピアノ五重奏などとは、人数的には僅かな違いなのに、演奏上の効果については全然異なって、それぞれ三人三様の主張がはっきりくっきりとあって、スリリングで緊張感が高いような印象を受けます。
それなら、ヴァイオリンピアノチェロピアノのデュオなどの方が主張しあえて、より緊張感が高かろうとも思うのですが、ヴァイオリン(とキーボードのための)ソナタやチェロ(とキーボードのための)ソナタなどがその組み合わせの二重奏で多くの作曲家によって数多作られてもいて、上になったり下になったり、主従関係の裏表。単独で和音が出せるピアノと単旋律がお得意のヴァイオリンまたはチェロとなると、役割りはある程度限定されてしまう。
ところが、トリオになるとそれに加えて、ヴァイオリンチェロの関係性も生じて、三角関係で三つ巴の三竦み、それがスリリング。
それぞれの楽器固有の音域も関係していて、ざっくりいうと、ヴァイオリンはピアニストの右手と仲良しで、チェロはピアニストの左手に近しい関係。逆に言えば、ヴァイオリンピアノの右手とぶつかって、チェロピアノの左手と喧嘩しちゃう? ヴァイオリンチェロも重なる部分も大きく、お互いが近くて遠い三角関係で三つ巴の三竦み。
その辺り、音域が重なりつつも、役割分担の比較的はっきりした弦楽四重奏などとは全く異なる関係性。
で、その塩梅が難しいが、ピタリとハマれば至上の味わい、極上の風味。印象的でロマンティークな楽曲も見受けられる。

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さらに補足させて頂いて・・・、
三角形の五心」とは、内心外心垂心重心傍心のことで、三角形三角形であることを性格づける、他の多角形とは異なる要素。
内心は、他の正多角形にも存在しますが、三角形の場合、正三角形でなくとも存在する・・・つまりは、多少、偏った形になったとしても内心を持つ。
外心は、全ての頂点を繋ぐ円の中心点。
重心は、全ての頂点とその対辺の中点を結ぶ線が交わる点。
垂心傍心三角形固有の性質。
一番小さな多角形である三角形が一番多くの”心”を持っている。

で、それをトリオの音楽、三重奏曲に当てはめると・・・、

三角形(トリオ)の内側に存在する、内心垂心重心は、繋がり合う意思、お互いを顧みる配慮、ひとつになる呼吸・・・といったところでしょうか。
傍心三角形(トリオ)の外側にあって、反発し合う””・・・ではなく、三人の演奏者それぞれの個性でもあって、引率していこうとする、ある種推進力、率先力。
外心は、その”心”は内側にあるのだけれど、そこを中心とした外接円は、三つの頂点・・・三人の演奏家を繋ぐ輪であって、結束力。
そう、三角形は、5つの””とともに、5つの””、内接円外接円、それに加えて3つの傍接円を持って、トンがった形をしているようで、”輪=和”がいっぱいで、実は円やか、和やか。

あらッ、そろそろ眠くなってきましたか?

では、難しいことはまたの機会に譲って、後半、第2部はモーリス・ラヴェル作曲「ピアノ三重奏曲 イ短調 M.67」。
メンデルスゾーンのそれが”躾けの行き届いた厳格な良家の母と姉妹”なら、こちらは”それぞれが強烈な個性を持った三人の踊り子”。
何せ、「イ短調」としながらも、調性すらやや曖昧。各楽章の形式すら、ちょっと適当(?)で緩やか。1台ずつだと超絶技巧を要するほどでもなく、案外にシンプルな旋律。が、リズムはずれて、アクセントもずれて、三人での組み合わせとなると、複雑怪奇?! 怪しくも奇くもないか。
牧歌的なような、旧い民謡のような、どこか知らない世界から聴こえる音楽のようでファンタジックなのだけど、何とはなしに懐かしい。
三人が、それこそ三人三様、好き勝手に踊っているようで、絶妙の距離感で付かず離れず、不思議な調和を醸し出す。
これが、軽やかに瑞々しく、秋麗の午後の日和にマッチして、心地いいったらありゃしない。

このお料理のレシピを遺したシェフ・・・スコアを書いた作曲家はメンデルスゾーンラヴェル・・・なのですが、それを仕上げてお客様にサーヴするのは演奏家。レシピ通りの味わいになるかどうかが問われるところ。
老舗三ツ星レストラン・・・といった深みやコクには、さすがにまだ遠い。例えるなら、オープンしたてのビストロ、そこのお勧めランチを味わったような気分。
完成した味ではないかも知れないですが、今度はディナーに訪れてみよう、今度食べに来た時はもっと美味しくなっているかも知れないと、期待させてくれるような味でした。
で、その旨味って何だろうと考えた時、お料理ですから(?)温度差、三人のプレイヤーの熱度、熱意のバランス。それと、スキル・バランスでしょうか。誰かが突出しちゃうと、均衡が保てない。
熱いお肉に冷たいソースじゃ美味しくないし、冷めたお肉は尚更味気ない。熱過ぎないところで釣り合いが取れているのがよかったのかも。
そうそう、ロマンティックでございとやたらに甘ったるい味付けでは胸焼けしそうですが、その点はあっさりと今時のヘルシー風味。

メイン・ディッシュ2皿でお腹いっぱい?!
デザートとなるアンコールは、クロード・ドビュッシー作曲「ピアノ三重奏曲 L.5」より「第3楽章」。
こちらも、お腹がはち切れるくらい、全楽章を味わいたいような、口当たりのいい耳障りの心地いい演奏でした。

なんか、コンサート・レヴュウなのか、グルメ・レポートか、分からなくなってきました。食欲の秋ということで、お許し頂きましょう。

Felix Trioの三人には未来ある可能性を感じました。今日のコンサートを糧にしてより高いところへの飛躍を期待したいと思います。出来れば、1年後でも2年後でも再演して頂いて、成長、進化を示して貰えたら嬉しいのですが・・・。
ドビュッシーもたっぷり聴かせて頂きたいし、なんなら、ガブリエル・フォーレジェルメーヌ・タイユフェールトリオも・・・。
それだと、フェリックス・トリオではなく、フレンチ・トリオになってしまいますね。

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というわけで、フランス近代音楽をたっぷり、トリオに代わって、フレンチ・ソロ・ピアノをお聴かせ下さるのは来月開催予定の『加藤幸子ピアノリサイタル』で、タイトルも『ドビュッシーとラヴェル : 命 (Debussy and Ravel: “Life and Rebirth”)』となっています。
過去2回、今回が3度目のご出演となる加藤幸子さん。昨年2月にご出演されたその後、住居を構えるニューヨーク・マンハッタンで癌の診断を受け、その回復に向けて邁進する日々を過ごされたとのこと。その甲斐あって、3度目のご出演。それ故の、『(Life and Rebirth)』。
過去2回とは違った風韻、趣きとなるのでしょうか。
演目は、
クロード・ドビュッシー (1862-1918)
前奏曲集」より『亜麻色の髪の乙女』、『アナカプリの丘』、『枯葉』、『ヴィノの門』、『西風の見たもの
12の練習曲集」より『五本の指のための練習曲、チェルニー氏に倣って』、『四度のための』、『半音階のための』、『組み合わされたアルペッジョのための』、『和音のための
喜びの島
モーリス・ラヴェル (1875-1937)
クープランの墓」全曲、『前奏曲』、『フーガ』、『フォルラーヌ』、『リゴードン』、『メヌエット』、『トッカータ
ラ・ヴァルス
とたっぷり。

11月18日(日) 14:30開場15:00開演於:大阪大学豊中キャンパス 大阪大学会館
予約受付中です。御用とお急ぎのない向きは是非ぜひお運びください。

ついつい筆があらぬ方向に走って、今回もだいぶんと大部となってしまいました。読書の秋ということで、お許しくださいませ。

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コメント 2

荻原 哲

いつもながら黒薔薇堂さんの的確な分析に感服。Piano Trioに名作がないというのは同感。作曲者に責任ありですね。Ravelはその難しさを実に音楽的に乗り越えた。4楽章の最後に近づいたあたり、ヴァイオリンとチェロがトリルを延々と繰り返す中、ピアノがソリスティックに分厚い和音とそれに乗った旋律を繰り返す。ここでの弦のトリルは実はTuttiであって後ろに隠れる音ではないのですよね。それをFelix Trioの3人は実によく理解してTuttiしていた。改めてこの曲の優れた質に驚きました。
by 荻原 哲 (2018-10-19 13:28) 

JUN1026

萩原先生、コメントありがとうございます。
上手い下手ではなく、面白い、興味深いラヴェルでした。新食感というか新しい感性に触れた気がします。
上手く聴かそうと、変に色気付いた技巧に走っていなかったのがよかったのではないかと思うのですが・・・。
先生の仰る第4楽章はまさに華麗でした。オーケストレーションの魔術師が書いた、オーケストラに匹敵するようなピアノ三重奏曲。ライヴだと尚更それを実感しました。
by JUN1026 (2018-10-19 20:38) 

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