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やすらぎの美を求めて [散歩・散走]

今日は神戸市東灘区六甲アイランドにある神戸市立小磯記念美術館を訪ねます。
神戸市の名誉市民である洋画家、小磯良平の遺族から神戸市に寄贈された多くの作品、旧宅から移築したアトリエ、所蔵図書などの展示、保存、調査研究と、彼の画業を顕彰することを目的とした美術館なのですが・・・。

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今日のお目当ては、現在開催中の『【特別展】神戸開港150年・開館25周年記念 ユニマットコレクション フランス近代絵画と珠玉のラリック展 - やすらぎの美を求めて -』。
09月16日(土)~11月12日(日)を会期として催されるエキシビションで、ユニマットグループ創業者・髙橋洋二氏のコレクションの中から、19〜20世紀のフランス美術を中心に約100点を選りすぐり展示するというもの。
貴族好みの神話世界を捨て、自然の中に生きる農民たちの姿を描こうとしたミレーコロー、明るい色彩の肖像画を通じて、あふれるような生命の輝きを表現したルノワール、現実を超えた大胆な色づかいによって「色彩の魔術師」と称えられたデュフィ、貧しい芸術家たちがひしめくパリのモンパルナスで活躍し、伝説となったモディリアーニ藤田嗣治、装飾性あふれるガラス工芸を発表して一世を風靡したルネ・ラリックなどなど、これまでまとめて公開されることのなかったユニマットコレクションが一挙公開は初めてのことだとか。

ワタクシこと、この国に暮らしているものの、血中仏蘭西人濃度128%にして、クロード・ドビュッシーを始めとするフランス近代音楽を盲愛しておりましょう。
『音楽は全ての芸術、学問の到達点で、その窓口でもある』と考え、音楽から地理、地勢を知り、音楽から歴史を学び、音楽の中に数学を見出して、音楽から詩情、物語を感じ取る。それに関連するフランス美術も鑑賞すれば、読めないなりにフランス文学を紐解いてみたりもする。映画もハリウッド製よりエスプリ溢れるおフランス製がいい。
フランス近代絵画のコレクションが拝見出来るとなったら、大阪湾に突き出した人工島だろうと何処だろうと伺いますですよ。言っても、それほど遠い距離でもない。

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神戸市立小磯記念美術館
まで来てみると、丸々と膨よかな赤子に乳房をふくませる膨よかな女性がお出迎え。ちょっと眼のやり場に困っちゃいそうですが、なんとも微笑ましくもあり、なんとなく他人とは思えず、うちの奥様ととらちゃん・・・の若かりし(幼かりし)時を思い出すような。神々しいまでの光りを放って、ある意味”聖”母子像ですな。
・・・と、これは、印象派あるいは後半生はポスト印象派とも言われたピエール=オーギュスト・ルノワール描くところの、彼の愛妻と愛息子。

印象派(Impressionism)に野獣派(Fauvisme)、立体派(Cubisme)、et cetera。古臭いアカデミスムの制約から解き放たれて、幾多のismが横行し、数多くのistが闊歩した時代。
19世紀中頃から前衛の萌芽はあって、それらはヨーロッパの幾つかの都市で芽吹いたものではあるけれど、アヴァンギャルド(avant-garde)がフランス語であるように、近代から現代へと移行する時代にあって前衛の先端の先っちょで邁進していたのは、芸術の都、パリ。そここそが、その時代の首都、la capitalela Ville lumière

今回展示される100点も、超お宝級というのは多くはないものの、ちょっと雑多な感じがしないではないものの、
Ⅰ. バルビゾン派の画家たち - 自然への憧憬 -
Ⅱ. アカデミスムから印象派へ - 伝統と革新 -
Ⅲ. エコール・ド・パリの画家たち - 都市の詩情と憂愁 -
Ⅳ. アール・デコのきらめき - ルネ・ラリックのガラス工芸 -
と、4つのキャプターに区分けされて、それなりに纏まりのある構成となっている。

それぞれが新しい表現を模索し、個性を競いつつ、少なからず影響しあって鬩ぎ合って、百花繚乱、花の都、光の都に相応しい様相。
確かに、古い時代の絵画も貴いとは思うけれど、激動の時代の、その業火に焼かれて窯変したこれらの作品の方が面白いと思っちゃうんだから仕方ないやね。
la Ville lumière・・・、光の都の、その光りに炙り出された絵画が艶やか、華やか、それでいて、肩肘やらない、まさに”やすらぎの美”。
パリがla Ville lumière(光の都)と呼ばれたのは、治安の悪さを解消するために路地裏にまで照明を施したから(諸説あり)ではなく、これらの芸術作品が其処彼処に溢れ出したから・・・と思いたいよねェ。

先月あべのハルカス美術館で拝見した「大英博物館 国際共同プロジェクト 北斎-富士を超えて-(→記事参照)」に加えて今日のエキシビション。HOKUSAIが海を超えて、どう影響したか・・・からの、さらにフランス近代絵画。血中仏蘭西人濃度が少し高まったような気がします。

絶えず変化するワタシの好み。今回一番ココロ惹かれたのは、アリーヌ・シャリゴ(ルノワール夫人)のたわわな乳房・・・ではなく、モーツァルトドビュッシー(!!)を題材とするラウル・デュフィの作品・・・かなァ。都会的で、色彩感に負けないほどの、燦めくような音楽を内包しているようで・・・。

併設されていたのは「小磯良平作品選Ⅱ」。僅か15点に抑えられてはいたものの、50年に渡る変遷も垣間見られ、彼が遺したアトリエの解説とも相まって、こちらも価値ある展示でした。

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