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大阪クラシック2015 第1日 [音楽のこと]

浪速の秋を芸術色に染める祭典、『大阪クラシック 〜 街にあふれる音楽』が今年も開幕。
大阪フィルハーモニー管弦楽団の桂冠指揮者でもあるマエストロ大植英次がプロデュースする音楽の祭典は、今日12時開演の『第1公演』を皮切りに、12日の『第81公演』まで、中之島を中心に市内30数箇所の会場でお賑やかに執り行われる。
昨年から、人気のオープニング公演やフィナーレは早朝に配布される整理券方式から有料前売り制になって、今年もその両方は無事に押さえたのだけど、今回、平日に仕事をサボってまでコンサートを巡ることが出来なくなった。

 

休日の無料公演も凄い人出となること必至で、そこに割り込んで行く体力も気力も無い・・・というか、それだけのヴァイタリティが何故か沸かない。
最近益々音楽には真摯に対峙するようになって、やすやすと聞き流すことが出来なくなって、しっかりきっちり受け止めたい。きちんとキャッチしてきちんと咀嚼してきちんと吸収したいと考える。個人ブログとはいえ、いい加減なレヴューを書く訳にもいかないし。
加えて、両耳が突発性難聴で壊れて以来、高ダイナミクス、高音圧が少々負担となって、耳だか聴神経だか脳なのかが疲れてしまう。ソロや小アンサンブルならまだしも、フルオーケストラとなるとそれだけプレッシャーになってしまう。『第1公演』や『第81公演』を観覧するとなると、それだけでお腹いっぱい。
まァ、ねェ、お祭りだからと、軽ゥく聞き流してしまってもいいのだろうけど、そう出来るかどうか・・・。

とりあえず、『第1公演』に向かいましょう。

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会場は中之島に建つ大阪中央公会堂
手にした前売りチケットは「1階ぬ-18」、随分と後ろになったが、音圧的にはこれくらいがいい。
開演は12:00。その20分ほど前に会場前に到着。多く詰め掛けたオーディエンスの列に加わって、指定された席に向かう。

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ポディウムと椅子だけが並ぶステージにプレイヤーがひとりふたりと現れて、開演直前には、コンダクターとコンサートマスターを除く大阪フィルハーモニー管弦楽団のメンバーがずらりと居並ぶ。
演奏者の数だけ音が犇めく舞台にコンサートマスター田野倉雅秋が登場すると、その奏音は鳴りを潜め、変わって客席が拍手で湧き上がる。
緊張感を伴うチューニング。
そして、調音がおわったところにプロデューサーでもある指揮者が登壇。マエストロ大植英次の姿に、万雷の拍手に拍車が掛かって、会場は割れんばかり。

足速に指揮台に上がって、今年の開幕曲はアーロン・コープランド作曲、「市民のためのファンファーレ」。金管楽器と打楽器による、煌びやかで華やかな、祭典のオープニング・チューンに相応しい楽曲。

マエストロが手にしたマイクを構えると、水を打ったように静まり返るオーディエンス。
プロデューサー大植英次の開会宣言は、『第10回』に絡めて、10ヶ国語で"ありがとう"。露西亜語、波蘭語、独逸語、仏蘭西語、英語、西班牙語、伊太利亜語、韓国語、中国語で「ありが十(とう)」。加えて、日本語では「まいど、おおきにィ」。最後は大植英次語で「…どーもありがとーございましたッ??(超早口のエイリアントーク?)」。
"つかみ"でがっつり観客のハートを鷲掴み。
今回はそのトークは短め(?)、すぐに2曲目。

そのファンタジックな曲調からディズニーがミッキーマウスを主人公にアニメ化した、ポール・デュカス作曲「交響詩魔法使いの弟子』」。古い時代の詩を元にヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが書き上げたバラード。そのフランス語訳を下敷きに、完璧主義として知られるデュカスが作曲したスケルツォ。サモサタのルキアノスが遺したギリシャ語の詩がドイツ語のバラードとなり、フランスで諧謔曲に姿を変える。
古典的であってフランス近代の風味も加わる傑作を、マエストロ大植が演奏するのだもの、ミッキーさんの場合は箒が暴れ出したけど、旧いホールの中に管弦楽の音符が奔放に飛び交い、幻想的な音楽魔法の世界が出現する。

続く3曲目もファンタジックに、ピョートル・チャイコフスキー幻想序曲ロメオとジュリエット』」。言わずもがなのシェイクスピア、語るまでもない古典悲恋、説明不要なチャイコフスキー。「大阪クラシック」でも何度か取り上げられて、ええ、ワタシも大好物ですよ。露西亜音楽らしいドラマティックさとタイトル通りのファンタジック。まったりとして、それでいて、しつこくない? これ一曲で堪能致しました。

続いては、これもお馴染み、エドワード・ウィリアム・エルガー行進曲威風堂々 第1番』」。原題は「Pomp and Circumstance」で、これはウイリアム・シェイクスピアの戯曲「オセロ」第3幕・第3番のセリフから取られたもの。
Pride, pomp and circumstance」、坪内逍遙の訳だと「誉れも、飾りも、立派さも」となるが、それが何故か、楽曲になると「威風堂々」と意訳されるところが面白い。タイトル通りに、壮麗、華麗で、物々しくもあるが、行進曲と思えないほど美しくもある、その旋律。
マエストロがオーディエンスに、立ち上がっての手拍子を要求する。『第1公演』のクライマックス。舞台上と客席の一体感を求めて、一緒に一週間盛り上がっていきましょう・・・ということなのでしょうか。大阪は「希望と栄光の国(Land of Hope and Glory)」・・・、せめてそうなるようにとの想いが込められているのでしょうか。

アンコールは華やかに、チャイコフスキーくるみ割り人形」から『ロシアの踊り』。
それにしても、ゲーテ沙翁沙翁と文学性の高いプログラムであったことよ。

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その『第1公演』が終わって、皆んな一緒にランチを食べて、さて、次はどの公演?

15:30開演、本町ガーデンシティでの『第6公演』。石田聖子さんの無伴奏チェロ。たった独り、チェロ一台でのコンサート。珍しくもあるので選んだが、演目はガスパール・カサドー・イ・モレウ無伴奏チェロ組曲」と黛敏郎無伴奏チェロのための"文楽"」。独りということもあり、スキルも求められる無伴奏チェロ。その小難しさに緊張感が高い。聴衆も固唾を呑むようで、それは恐らくこの会場がチェロの音に合っていないことにも原因がある。残念なことに、綺麗に響かない。残響音が不協和を生んでいるような。ワタシの耳が疲弊してそう聴こえるだけかしらン?

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その妙なプレッシャーを緩和させたのが、プロデューサーとして、イベントを盛り上げて成功に導こうと、精力的に各会場を回っておられる大植さん。ここにも来られて、場を盛り上げて、演奏家を励まして・・・。こういうのって、励みになるのか、一層プレッシャーに感じるのか、どうなんでしょうね。場は和んだような気はしますが・・・。

アンコールはJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」から。

ちゃんとしたホールできっちり聴いてみたいプログラムではありました。某マグノリアとか某大学会館でそういう機会はないかしらン?

時間は午後4時。すっきりしない雨催い。まだまだコンサートは続きますが、耳が疲れました。堪能もさせて頂きました。続きは12日(土)となってしまうでしょうか。平日の公演でも聴いてみたい演目はあるのですが・・・。
とりあえず『大阪クラシック 第1日』のレポートはこれまで。では、御免候え。


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コメント 2

yosshu0715

大阪クラシック、お付き合いいただきありがとうございました!!(笑)
オープニング、僕はやはり威風堂々が生で聞けたので大満足!!(笑)
雨が残念でしたけど、コンサートホールの中はすごい熱気でしたね!!(笑)

チェロは衝撃的でしたね!!(笑)
文楽を表現するとは思いもしませんでした!!(笑)
めちゃ斬新でしたね!!(笑)
by yosshu0715 (2015-09-29 10:43) 

JUN1026

ヨッシュさん、コメントありがとうございます。
あいにくの雨降りでしたが、本当にすごい熱気でした。歓喜と興奮を得たように思います。
こちらこそ、ご一緒して頂いて、楽しい時間を過ごせました。
大阪クラシック、年々出し物も凝ったものになっているように感じられますが、いかんせん会場が音楽ホールではないのが、演奏家には酷ですね。ちょっと勿体ないように感じます。
by JUN1026 (2015-10-03 18:48) 

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