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I am a audience. [音楽のこと]

大阪クラシック2013』は終ってしまったけれど、ワタシの音楽週間は継続中。今日は大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館においての、恒例『ワンコイン市民コンサート』。

 

ARC-Trio_ 20130915.jpg

今日のコンサートは、
Arc Trio(アーク・トリオ)・・・加藤あや子/ピアノ、赤埴尚子/フルート、長谷川弘樹/チェロのアンサンブルで、タイトルが『聴衆と演奏家の誕生』。って、なんか難しそう。
-ピアノとフルートの改良はなぜ望まれたのか? 華麗なフレーズを演奏しやすいキーシステムがついた楽器が発明されたのはなぜか?
-聴衆とは誰だったのか?
-演奏家とは誰だったのか?
-作曲者は誰のために、どこで演奏される事を想定して書いたのか?
-どこで演奏したのか?:教会、Salon(貴族〜市民の客間)、劇場(演劇、バレー、オペラ;王立劇場、市民劇場)

こんな事をみんなで一緒に考えるコンサート・・・らしい。学術的やねェ。アカデミックやねェ。
プログラムは、
1部
ハイドンピアノソナタ  変ホ長調 Hob.52
ベートーヴェンチェロソナタ 第4番 ハ長調 作品102-1
2部
クーラウオイリアンテの主題による序奏と変奏 作品63
ウェーバーピアノとフルートとチェロの為のトリオ 作品63
が予定されている。ということは、ピアノ・ソロあり、チェロとピアノ、フルートとピアノ、そしてトリオでの演奏があるということか。
面白そうです。行ってみましょう。

♢♢♢♢♢

昨日の『大阪クラシック最終公演』で大きな感動と歓喜を得たのだけれど、それと引き換えに、拍手と手拍子で手〜腕が怠い、ナニを踏ん張ったのか腿まで張っている。一週間盛り上がった祭りのあとの寂しさと哀しさ。おまけに台風の接近で、今日の大阪は朝から雨模様。テンションが全然上がりませんよ、まったく。
午前中、奥様の買い出しに運転手兼荷物持ちとして従ったら、コンサートに向う時間ギリギリ、途中ランチを摂ったり、お茶をするゆとりもありゃしない。
自宅から阪急電車宝塚線で石橋駅、激しさを増した雨の中を待兼山の坂を登って、大阪大学・豊中キャンパス。雨と汗とでびしょ濡れぐしょ濡れ。コンサートの優雅さにほど遠い。
開場時間に受付を済ませて、気に入りのバルコニー席のセンターを占める。

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開演時間の15:00となって、館内にベルが鳴り渡る。ステージの上には同館自慢のヴィンテージ・ピアノ、1920(大正9)年製のベーゼンドルファー(Bösendorfer)252。長さ252cm、現代ピアノのフルコンサート・ピアノより一回り小さく、セミコンサート・ピアノよりもかなり大きい。鍵盤の数が現代ピアノの88鍵よりも4つ低音域に広がっており、92鍵もある逸品。
その傍らに登壇するのはピアニスト加藤あや子さん。コンサートはハイドンのピアノソナタから始まる。
それが終ったところでステージにROLAND RD-700が運び上げられる。ン?ナニが始まる?
そこにチェリスト長谷川弘樹くん。ステージ後方の巨大スクリーンも使って、ピアノの歴史を講義してくれるのだが、ピアノ以前のハープシコード(チェンバロ)からレクチャが始まるので、それの実機は用意出来なかったためにローランドの電子式ステージ・ピアノが必要だったわけやね。
電子ピアノをハープシコード風の音色をして、J.S.バッハヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタを題材にしたレクチャ。さすがにガンバは用意出来ないので、そこはチェロで代用。
スクリーンにはハープシコードとピアノフォルテの相違、ワルターやシェフストスなど古い時代のピアノたちの歴史、その時代背景などの画像が映し出されて、場所柄も相まって、セミナー感高し。フランス革命〜7月革命が欧州全土に伝播し・・・、産業が発展することで・・・、なんだか眠くなって来たzzz。古い時代のピアノフォルテ風音色
ベートーヴェンハイドンを演奏されるのだが、それが子守歌に聴こえる・・・ような。
ベートーヴェンの生涯を追ったり、フランツ・リストのモテっぷりに触れたり、サロンがホールへと移って聴衆が特権階級から市民層にまで広がったことなど音楽史の講演は、眠いながらもしっかり拝聴致しましたよ。
ワタシのように、どちらかというと電気楽器、電子楽器が好き、シンセサイザーとコンピュータで音楽するヒトなら頭の中に思い浮かぶ音色をクリエイトすることも可能であるが、クラシック系演奏者は、楽器が改良される中、作曲家がその楽曲を物した頃を想起しながら、かつその楽曲の裏に潜む背景を読み解きながら演奏しなければならない。楽譜だけでは表現出来ない作曲家の意思をどう解釈するか。その楽曲が造られた時代背景まで考慮して、作曲家の心象まで想像しながら演奏しないといけないわけだ。楽器の修練だけでなく、研究・研鑽しなければ名演には至らない・・・ってことか。難しいね。勉強せな、あかんねェ。
会場に満ちた眠気を払うように、ベートーヴェンのチェロソナタ。もちろん、チェロとベーゼンドルファーでの演奏。が、それはあまりに美し過ぎて、ファンタスティックな夢の世界への誘い。
15分の休憩が入って、第2部。
赤埴尚子さんからフルートの歴史の講義。古代の骨笛がいかに現在のメカニカルなベーム式へと進化したか。なぜそれが求められたのか。
続けてクーラウ「オイリアンテ」の主題による序奏と変奏 作品63。これもロマンティックでファンタスティック。長いオペラより、これだけで十分?
最後の曲は、「オイリアンテ」の作曲者、ウェーバーフルート三重奏。大きな盛り上がりには欠けるものの、朗々と歌い上げるフルートが聴かせどころか。
アンコールは、メンデルスゾーンピアノ三重奏曲 第1番 第2楽章、ヴァイオリン・パートをフルートに変えて。

演奏会もいいのだけれど、たまにはこのような実験を交えた講義も面白い。次はしっかりカフェインを摂取してから臨みます。


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yosshu0715

フランツ・リスト!!(笑)
僕もリストのオレ様エピソードは大好物!!(笑)
聞きたかったです!!(笑)

もう何年も前、大植英次の情熱大陸を見た事があるんですが、ドイツの大学で指揮者希望の学生を相手にベートーベンの楽譜の解釈に付いて講義してました!!(笑)
やはり指揮者にとってその楽譜を書いた作者の心情を理解する事が大切で、その解釈がみな千差万別なんですね!!(笑)
人間観察や指揮者本人の人間性が豊かでないとその解釈自体が平坦な物になってしまい、名演奏にはいたらないという、根本的だけどなかなか想像に至らない事実が勉強できて面白かったです!!(笑)

なかなか難しい講義だったようですが、そのような講義を交えて音楽鑑賞できるなんてまれな機会ですね!!(笑)
行ってみたかった!!(笑)
by yosshu0715 (2013-09-17 19:45) 

JUN1026

ヨッシュさん、コメントありがとうございます。
学術的なセミナー付きコンサート(?)は、面白かったですよ。講義も楽しく拝聴しておりました。
単純に演奏会を楽しむのもモチロンいいけれど、たまには音楽についてあれこれ考えてみるのも面白い。
こういうイベントが数多く開催されることを望みます。
by JUN1026 (2013-09-17 21:15) 

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