「猫町六丁目」幻想 [散歩・散走]
その不思議な案内状が届けられたのは、ある冷え込んだ朝だった。テレビが今季一番の冷え込みだと、雪に覆われた街の風景を映し出した、とても寒い朝だった。
「猫町六丁目」。
そんな住所は聞いたことがない。もちろん地図にも記載されていないだろう。
誰かの悪戯かとも思ったが、そのまま見過ごしに出来ない気がした。
それは、大阪の中心、上町台地で開催されている「オープン台地」に合わせて催される写真展だという。"大阪の下町で暮らす猫たちの写真展"だそうだ。
その案内状に描かれた地図に従って、そこに記されたその小さなギャラリーを訪ねたのは、立春となったにも関わらず、真冬の寒さが街を覆った三連休の初日だった。
「谷町六丁目」、地図上の住所はそうなっているが・・・。
「いらっしゃいませにゃッ!!」
谷町筋から細い路地に入って、少し迷った末に見つけたギャラリーの扉を開けて、その中に足を踏み入れた途端、声を掛けて来たのは妖怪漫画に出てくる"ねこむすめ"によく似た女の子だった。
ワタシ的には『Cat People』に出たきたSimone Simonの方が好みなのだが、この場合そんなことはどうでもいい。Nastassja Kinskiは美し過ぎる。それに"ねこむすめ"だからって語尾が"にゃ"っていうのもちょっとベタだと思ったが、それも胸の内に収めた。赤く染められた爪が凶器に変わっては敵わない。
「ここは猫町六丁目にゃ。７日(木)から12日(火)だけ現れる・・・っていうかァ、その期間だけ"ヒト次元"と"ネコ次元"が繋がるにゃ。理解にゃ？」
"ねこむすめ"が一方的に話し出す。
「ネコというと、ネコ目(食肉目)ネコ亜目ネコ科ネコ亜科ネコ属に分類される小型哺乳類の、四足歩行するケモノだと思ってるにゃ!? それは"ヒト次元"での話しで、ここ"ネコ次元"ではネコは"猫人間"になって、二足歩行で可愛い恰好して今みたく話しも出来るし、そしてここではヒトよりネコの方が優位なのにゃ。"ヒト次元"は勝手にヒトが規定した世界で、ネコのことを部分的にしか捉えていないのにゃ。ネコは犬ほど愚かじゃないから、ヒトにへつらうことがないから、自分たちの次元を持って、そことヒトの世界を自在に行き来出来るのにゃ」
「"ヒト次元"？ "ネコ次元"？ キミはナニを言っているんだ!?」少し目眩を感じる。
「ヒトはネコの一部分しかご存じないという話しですわ」と、ワタシの背後から突然声を掛けて来たのはAnne Jacqueline Hathawayに似た猫婦人(？)だった。
「ならば、ここで暮らしているのはヒトに見えるが猫人間だというのですか？」
「そうでもあるし、そうでもないの。"モノ"に依存して、"シガラミ"に縛られて生きるのがヒト。街に依拠して、気ままに暮らしているのがネコ。それがヒトらしく見えるかケモノめいて見えるかは相手次第。言い換えれば"ヒト次元"も"ネコ次元"もないの。相手との関わり合いで四足歩行のネコになるか、猫人間の姿になるか。心の持ち様と他人との対話の中で変わってくるの。対峙する角度で"次元"が変わるのよ。それを『相対性理論』と言うの」
ワタシが、よく判らないという顔をしたのだろう。アン・ハサウェイな猫オンナが続ける。
「いいわ。六日間だけここら辺りに屯して、ここら辺を気ままに徘徊する者たちをネコだと思いなさい。マタタビ茶でもお飲みになる？」
ギャラリー・カフェの一角に置かれたテーブルを勧められるが、お茶なぞ飲む気にもなれなかった。ワタシはからかわれているのだろうか。大掛かりないたずらに巻き込まれてしまったのか判然としない。目の前にいるオンナがネコにも見えるし、猫人間にも見える。壁に貼られた写真に写るのも、ネコにも見えるし猫人間にも見える。
激しく目眩を感じる。Simone SimonとNastassja KinskiとMichelle Marie PfeifferとHalle Maria BerryとAnne Jacqueline Hathawayと田中 麗奈の幻影が瞼の裏をぐるぐると駆け回る。
「ご注文はお決まりですかぁ？」
声を掛けられて正気づいた時、ワタシが腰掛けていたのはギャラリー・カフェの小さな椅子ではなく、見覚えのあるカフェのそれだった。
「ニボシとマタタビ茶にゃッ・・・じゃなくて、『愛がけカレーセット』と『カフェラテ(HOT)』」
辛口と甘口の２種類のルーが掛かったカレーは一見シンプルながら、それぞれに旨味があって、なかなかに好ましい味わい。ヴォリュームもワタシにはちょうどいい。ただ、ご飯の炊き加減がちょっと気に入らない。やや柔らか過ぎるような。
お腹が満ちるに従って人心地がついてきたのか、「猫町六丁目」の幻想が少しずつ遊離していく。ワタシは夢を見ていたのか。それとも・・・。
「ありがとうございましたにゃッ!!」
食べ終わって、そのカフェを出ようとしたとき、声を掛けて来たセルヴァーズの瞳はトパーズ色に輝いた。
♢♢♢♢♢
今日訪ねたのは・・・
「雑貨と喫茶とギャラリーと・・・ひなた」
大阪、谷町にある古民家を改装した小さなお店。やたら可愛い雑貨が並び、お茶することも出来るギャラリー・カフェ。猫の顔形になったアンパンにそそられたのだが、今日はダズン ドルチェ オットだけ提げてのお出掛けだったので諦めた。持って帰れない。
同店で、２月７日(木)〜12日(火)の期間開催されているのが『猫町六丁目 〜 阪靖之・ごとー猫写真展』というイベント。阪靖之さんとごとーさんが撮影された"大阪の下町で暮らす猫たちの写真"が展示され、ごとー猫首輪製作所製の手作り首輪も展示販売されていた。可愛くはあるが、ワタシの周りには爪の赤い、唇の赤い、カラーコンタクトを入れた子猫ちゃんしかいないので、残念ながら首輪の使い様もない。。。
３月14日(木)〜19日(火)には、ぶさかわ猫関西支部「しめじ」の親父感全開の写真展とネコモチーフに限定した手作りネコ雑貨市『スロー猫しめじと ネコ雑貨市５』が開催されるらしいので、フロントバッグ装備で再訪必至。16日(土)は『ひぽたまパンの日』だとか。ネコパンはあるのだろうか？ とりあえず、行かねば!!
因に、"ねこむすめ"も"猫人間"も"Cat Woman"もいません。あくまで"幻想"です(笑)。お相手して下さったのは阪靖之でした(笑)。
♢♢♢♢♢
ワタシが上町台地(四天王寺、大江神社)で見掛けた猫。「ねこだんご」と「狛犬に抱かれる猫」。
本日の結果
走行距離：27.32km
走行時間：01:43:50
猫…猫パン……超欲しいっ(^з^)-☆
以前相方に行こうょと誘ってはみたがあまり良い反応がなく、諦めておりましたが…
やっばり行きたい!
by ケロ。 (2013-02-09 19:11)
不思議な世界に引き込まれてしまいましたが、美味しいカレーは現実ですね♪( ´▽｀)
猫は小さい頃に引っ掻かれたので苦手だにゃ〜σ(^_^;)
by 福さん (2013-02-09 20:41)
ケロ。さん、コメントありがとうございます。
パンが売られていると知っていれば、フロントバッグを装備して行ったのですが、惜しいことをしてしまいました。いっそ店内で頂いてしまえばよかったと今更ながら後悔です。
来月もチャンスがあるようなので、次は必ずゲット致します。
by JUN1026 (2013-02-09 23:46)
福さん、コメントありがとうございます。
私も猫とは相性はよくないのですが、それでも惹かれてしまいます。もう少し歳をとったら、日がな一日縁側で猫でも抱いてヒナタボッコをしていたい。今はまだ、猫よりカレーです(笑)。
by JUN1026 (2013-02-09 23:51)
今日はありがとうございました！！
素敵なホスト役に、本当に感謝しております！！
今日は久々にお会いでき、本当に楽しかったです＼(^o^)／
またゆっくりご一緒してください！！
ヨッシュは、相当楽しかったようで、はしゃいで疲れたのか帰ってすぐに爆睡してしまいました(笑)
by chiepoco☆ (2013-02-10 23:01)
今日は一日ありがとうございました！
いろいろご紹介いただき、LOROでお礼もできず申し訳
ございませんでした。
懐かしの上町ヒルズ、感慨深かったです。
次回、しだれ梅、菜の花畑、桜、カタクリ、藤、ツツジの
花見ポタなどゆっくりご一緒してください。
by さすプー (2013-02-11 01:12)
chiepoco☆さん、コメントありがとうございます。
今日は一日おつきあい頂いてありがとうございました。おかげさまで私も楽しい一日を過ごすことが出来ました。
最近はヨッシュさんともどもお忙しそうでお声を掛けさせて頂くのも躊躇しておりましたが、また機会があればご一緒させて下さい。
by JUN1026 (2013-02-11 01:40)
さすプーさん、コメントありがとうございます。
こちらこそ、拙い案内でご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした。
お花見ポタですか。いいですね。ぜひご一緒させて下さい。
by JUN1026 (2013-02-11 01:41)