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I Am A Piano ~ 大阪クラシック2012 第45公演「ピアノ・スペクタキュラー」 [音楽のこと]

秋の恒例行事となった「大阪クラシック」。1週間に渡るコンサートは28の会場で90公演と目白押し。とはいえ、すまじきものは宮仕え、平日のステージはなかなかに出向きにくい。昼は勿論、夜も仕事を早めに切り上げて会場に向かうのも難しい。結句、初日の日曜日と最終日の土曜日に集中することになる。
まァ、幕開けの第1公演と千秋楽の最終公演だけでも十分過ぎるくらいに楽しませて頂けますが・・・。

そういいながら4日目の水曜日。午後1時のマチネを目当てに「ザ・シンフォニーホール」へ。アーティスティックな洗礼を受けてしまうと、音楽への熱情抑え難く、平日の昼公演へも出向いてしまう。っていうとカッコいいけど、要は仕事をサボってしまったってことで・・・。

ワタシをそこまで惹き付ける第45公演は「ピアノ・スペクタキュラー」。
スペクタキュラー(spectacular)とは、壮観な、華々しい、劇的なという形容にも用いるが、名詞となると"豪華なショー"を現す・・・らしい。
その壮観で劇的なショーは、マエストロ大植英次を筆頭に、保屋野美和、末岡修一郎、尾崎克典の4名のピアニストによる華やかな競演、ピアノ4台の協奏。
演目は、ワーグナー(リスト編曲)「タンホイザー序曲」とストラヴィンスキー「春の祭典」のドラマティックな大作2題。
ねッ、見逃せない、聞き逃せない、でしょ!?

管弦楽が奏でる精緻なオーケストレーションも魅惑的。語り合い鬩ぎ合うようなデュオやトリオも面白い。もちろんソロもこころ惹かれる。
ワタシがいたいけな(?)少年であった頃から一番親しんだ楽器がピアノ。一番好きな楽器もピアノ。クラシックもロックも聴いた上で、管弦楽もロックバンドの基本形、ギター・トリオ(Gt,Bs&Ds)も知ったうえで、それでもやっぱり「私はピアノ」。オーケストラよりも広い音域をカバーする88鍵から弾き出される音は名称通りのダイナミクス。1台でも、メロディ、ハーモニー、リズムを表現出来る楽器の王様。
この公演ではそれが4台。"王さんが4つでキングのフォーカードやァ!!(彦摩呂風)。4人の演奏家がそれぞれ2本の腕、10本の指で奏でるオーケストレーションは、さて、どれほどにスペクタクルか!?

ザ・シンフォニーホールは、日本で初めて建設されたアリーナ型クラシックコンサート専用ホール。「世界一美しい響き」を目標として造られただけあって、音の良さは他に類を見ないほどであるが、大阪市北区大淀南というロケーションは不便極まりない。最寄りの駅から徒歩10〜15分。
というわけで、自宅から自転車で行くことに。十分な大きさのクロークがあるので、折り畳んで輪行袋に収納してしまえば手荷物として預けることが出来る。折畳み自転車の利点ですな。

開場となって、指定された席を占める。2階はわからないが、1階は満席。
ザ・シンフォニーホールのステージに黒いピアノが4台並ぶだけでも壮観。+字形にレイアウトされて、オーケストラとはまた違う迫力を感じさせてくれる。こんなん、見たことナイ!! 写真に撮りたいが、ザ・シンフォニーホールではパイプオルガン保護のために撮影禁止。

開演時間は13:00。照明が暗転し、ピンスポットが黒光りするピアノを浮き上がらせる。
4人の演奏家がそれぞれピアノの前に着座する。ステージ上手に紅一点の保屋野美和、下手に末岡修一郎、奥に尾崎克典、そして正面で客席に背中を向けるのが大植英次。

MC無しで演奏が始まる。

「タンホイザー序曲」は、ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー作曲の歌劇「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」で演奏されるオーヴァーチュア。3幕で上演時間3時間にもおよぶ超大作の予告編となる、その序曲も波瀾に満ちてドラマティック。それを"ピアノの魔術師"と呼ばれたフランツ・リストがピアノ用に編曲したのはソロ・ ヴァージョン。
マエストロの独奏から滑り出し、それに3名のピアニストが追従する。
残念ながらそれぞれの手元までは見えないので、何方がどのパートを演奏しているのかは具には伺い知れないが、4台のピアノで複雑なハーモニーを造り上げる。
背中越しに見える巨匠の指は、鍵盤の上を躍っているかと思えば、時に指揮棒となって宙を舞う。
ワタシの拙い文筆力では表せないほど、ピアノという楽器が持つパフォーマンスを100%、いや、400%まで増幅した名演。さぶいぼ出るわ。

鳴り止まない拍手。

ここでメンバー紹介と楽曲の解説。もちろんマイクを持たれるのは大植さん。相変わらずのエイリアン・トークで伝わりにくいが、おそらくオーディエンスの殆どが大植ファン、なんとなく判ってしまう。というか、判ろうと努める(笑)。
「春祭」がパリで再演された際の、セルゲイ・ディアギレフとココ・シャネルの逸話に、適度に笑いどころを挟んでお話しされるが、笑いが起こっていたところをみるとちゃんと伝わってはるんやね。
巨匠の今日のお衣装はシャネルで誂えたとか。マジか!?

「春の祭典」は、イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキーがバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のために作曲したバレエ音楽。20世紀の近代音楽の傑作と謳われるが、複雑でプログレッシブ。5管編成の大規模管弦楽の他、ピアノ連弾での演奏は知られてが、本日は豪華にピアノ4台。オーケストラでも演奏困難とされる難曲、それをどうトランスクリプションするのかと息を飲む。
4台のピアノはそれぞれ、管楽器になり、弦楽アンサンブルになり、時に打楽器となる。マエストロは、ピアノのボディを叩いたり、踵でフロアを踏み鳴らしての熱演。4人×10指は40人の管弦楽を凌駕する・・・かに聴こえる。通しで約30分、大規模オーケストラに匹敵する迫力に、シートに押し倒されそうな気さえして息も出来ない。窒息してしまうゥ!!
"壮観な、華々しい、劇的な"というよりも、ある意味神懸かっているような圧倒的な音チカラ。スペクタクルな「春祭」の世界が目の前に広がるような表現力。

この2曲だけでもお腹いっぱい、胸イッパイ!! ですが、もちろん、アンコール。

4人のピアニストがステージに再登場して、各々のピアノにスタンバイ。
アンコールはルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの「5番」。♪ンジャジャジャジャーン♪で知られる「交響曲 第5番 ハ短調 作品67」、その第1楽章。一般に「運命」と呼ばれる、おなじみの楽曲の一番知られた楽章ですな。
ンダダダダーン♪とともに客席から小さな悲鳴が起こりましたよ、いやマジで。まァ、予定されている演目以外に、まさかベートーヴェンのシンフォニーがこの編成で聴けるとは驚きますわなァ。いや、ワタシはビックリした。
これも筆舌に尽くし難い、というか、この演奏を描写出来るだけの筆力が欲しい。何れの3曲とももう一度聴きたい名演、快演と言っておきましょう。

終演を惜しむように拍手は鳴り止まず、「タンホイザー序曲」の抜粋をリピート。それでも拍手は鳴り止まないが、時間にも限りがある。
今日のマエストロの、白手袋も凛々しいコスチュームはフランツ・リストがハンガリー国王の御前で演奏した際の衣装を再現したとかで、そのエピソードで笑いを取ったところでお開き。

過去にピアノ2台、3台というのは「大阪クラシック」でも披露されたと思うが、4台となるとドコにも類をみない。よくぞ"スペクタキュラー"と名付けたり!! 名にし負うことのない"豪華なショー"。CD化して頂きたいと思ったのは、ワタシだけではあるまい。

大植さんらがロビーに出られてサイン会・写真撮影会があるかと、暫し乙女のごとくに出待ちする(おっさんやけど)。が、その気配はなし。別のフロアにおられたのかしらン?

他の公演、とくにソワレの「究極(9曲)のベートーヴェン!!」が気になるが、もうお腹いっぱい、胸いっぱい。これ以上は受け止められない。消化不良になってしまう。今日は1公演で帰ります。・・・って、夜公演のチケットが取れなかったんだけどね。

photo.JPG


ザ・シンフォニーホールでの「大阪クラシック」昼公演は有料となっているが、オマケ(?)として特製バッグが頂ける。これにサインを頂こうと企んでいたんだけどねェ。

本日の結果
走行距離:14.49km
走行時間:00:54:53


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yosshu0715

実は僕もこの究極のベートーベン、行きたかったんですが、チケット取れませんでした・・・!!
こんな究極の企画、来年も是非やって欲しいです!!(笑)

初日以来時間がなくて行けてませんが、明日はいよいよファイナル!!(笑)
よろしければ、是非ご一緒しましょう!!(笑)
by yosshu0715 (2012-09-07 19:21) 

JUN1026

ヨッシュさん、コメントありがとうございます。
「究極(9曲)のベートーヴェン」、聴きたかったですねェ。
マチネの「ピアノ・スペクタキュラー」は辛抱たまらずに仕事を抜け出して行ってしまいましたが、その甲斐がありました。めったに見れないピアノ4台の競演、協奏。
その勢いでソアレの「ベートーヴェン」も取っておくべきでした。
さて、明日はいよいよ最終日。最終公演はまたすごい盛り上がりになること必至!!
明日は整理券ゲットから1日ずっぽり楽しむつもりです。一緒に盛り上がりましょう!!
by JUN1026 (2012-09-07 23:09) 

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