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京都お花見ポタリング [散歩・散走]

花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに
昨日降り続いた冷たい雨は上がりはしたものの、今朝は花曇りで、仲春とは思えぬほどに花冷えに冷える週末。


勢力の強い寒気がいつまでも名残惜しそうに居座って、不安定な天候が続き、が咲き出したものの、自転車日和には恵まれず、せっかく晴れた先週末はその不安定な気温の変化からか風邪をひいてしまい、お花見ポタリングの予定が出掛けることさえままならず。

何故か、花時になると、心がときめいて落ち着けない。花の色や香りに浮き立つわけでもなく、寒さが緩んだ開放感に解れるわけでもないが、心が騒ついてじっとしていられない。
おそらく、三月~四月は入学、進級、卒業の頃合いということから、それが適うかどうかという不安・・・なのだろうが、今更とも思うが、今は、天才を自称する愚息が留年することなく無事卒業出来るのかということが憂いごととなっているいるのであろう。真の天才なら必死のパッチで勉強する必要はないだろうとも思うのだが・・・。
(自称)天才くんも無事に進級が適ったという。
天候と体調とスケジュールが上手く噛み合わないのだけれど、花信しきりなこの時期にあってじっと籠っている訳にもいかない。どうせなら花のあるうちに、先週末に出そびれた分を取り返さないと・・・。

・・・花の色は移りにけりないたづらに・・・

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と思いながらも、今週末は金曜日に冷たい花散らし。早く咲き始めたサクラは散るのも早い。お花見ポタリングの予定をスルーしてしまいそうで、一層じっとしていられない。花曇りだろうと、花冷えだろうと、お構いなし。花恋しさに、早朝、日の出前に家を出て、パッケージ・モードにトランスフォームさせたBD-1Rと共に、阪急京都線崇禅寺駅から朝一番の05:08発に飛び乗って京都を目指す。

何も輪行してまで出掛けなくても、「オレの庭」こと大阪市内にもサクラは多くある。
数こそ多いが、それは大半がソメイヨシノで、そのほとんどが公園などに植樹されて、週末ともなればブルーシートがその根方に敷き詰められて、其処此処にゴミが散乱して風情に乏しい。何よりヒトが多過ぎる。

それに、ね。
どうも最近ここら辺りのサクラは元気が無いように思える。
オゾン層が壊れて紫外線が強くなっているせいか。大陸から押し寄せる黄砂や微小粒子状物質の影響か。
夜はライトアップされて、その根方は多くのヒトに踏みつけられて、あるいはブルーシートで覆われて、サクラも休まることが出来ない・・・というのが、元リケジョ、理科の先生だったうちの奥様の推論。植物も滋養と休息が必要? どうりで、よく食べてよく眠るアナタはブクブクと・・・(以下自粛)。
環境も変化し、お花見のスタイルも昔と変わっちゃって、それが花たち、特に都会の花には大いに負担になるのでしょう、多分。

でも、ね。やっぱり、この時期になると、お花見もしたけりゃあ、それを絡めたポタリングに出掛けたくなりましょう。
自転車で移動出来て、の風雅が似合う場所・・・となると、千年の都。案内も要らず、ナビゲーションの必要ないところとなると、想い出が桜吹雪のごとく散り落ちる古都。大阪が「オレの庭」なら、京都は「オレの別邸」。
山深くまで入ればまだサクラは残っているかもしれないが、今日の気温ではあまり高地は適さないうえに、何より脚弱で坂道は敵わない。先々週の落車転倒の影響がまだ残って、身体の自由も利かない。
京都市内は花見がてらの観光客が犇めいてると聞くが、早朝に出向いて、混み合う頃には帰路に着く・・・という作戦が吉。

で、結局一番好きな、定番コース。

阪急京都線始発電車が終点の河原町駅に到着したのが06:13。折り畳んだBD-1Rを抱えて地上に出て、それを展開。四条河原町が「京都お花見ポタリング」のスタート地点。
空は鈍色。雨どころか、雪が降り出しそうな気配を孕む。気温は7度・・・だというのに、今日の装束はというと、薄い春物のレイアードで、ボトムスは半ば生脚のクロップド。これでは「お花見ポタ」というより、「耐寒ポタリング」?
が、走り出してしまえばそんなことは気にならない?!
ライディング・モードにトランスフォームしたバイク四条通を東に疾る。

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朱色が鮮やかな八坂神社から円山公園。園内にはわずかにサクラも残るが、早朝だというのに学生さんの集団がブルーシートで陣取る。
それを尻目に知恩院前神宮道を北に上がり、国立美術館京都市美術館京都市動物園が軒を並べる仁王門通。そこに連なるサクラもすでに葉桜
平安神宮をかすめて、南禅寺に寄るかと考えるが、そこも恐らく見頃を過ぎて、何よりもう少し体温が上がるまで走り続けたい。

さらにペースを上げて白川通を北上し、目指すのは「哲学の道」。若王子神社から法然院下銀閣寺に至る約1.5㎞の疏水べりの小道。『関雪桜(カンセツザクラ)』の並木から散り落ちた花弁が疎水に浮かんで花筏・・・を観たかったのだが・・・。

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ここには染井吉野大島桜山桜八重桜枝垂桜里桜などが計約400本。雨に落とされた花は路上の淡紅色のドットとなるが、ハナイカダは雨に流れて何処にも停泊していない。
ほとんど葉の緑が目立つばかりになった並木の、所々にはまだ花を止めるものもあって、ワタシが好きなのはひと枝に濃淡二色の花をつけるサクラ。紅白・・・というか、「牡丹色」と「桜色」、葉の緑とのコントラストも面白く、これを観るだけでもここまで来た甲斐があったというもの。インスタ映えもしますし。

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銀閣寺
近くまで上がって、そこからは鴨川堤へ入る。
堤防に植えられたソメイヨシノも風雨に因って花を落として、緑の並木と化している。

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そこを駆け抜け、お目当ては「半木(なからぎ)の道」に連なる枝垂桜賀茂川左岸、北大路橋北山大橋の間に作られたのアーケード。僅か800メートルの距離に、わずか73本のヤエベニシダレザクラ・・・ではあるのだけれど、最盛期には、長く垂れ下がる枝々がそこに組まれた櫓に覆い被さり、その先には多くの花弁を付けた花が下垂する。ソメイヨシノより花弁の数も多いが、色味も深くて牡丹色。因って、別名を「ボタンサクラ」。
ここにはもう何度訪れたでしょうか。
トンネル状に連なる花の下を歩くもよし、速度をうんと落とした自転車で走り抜けるのも心地いい。
今日は、もう盛りも少しすぎたのか、昨夜の雨のせいなのか、花数こそ多くないもののまだ見頃といった印象。

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賀茂川
から上賀茂神社こと賀茂別雷神社へ。
京が都となる前からそこに在わす旧い神は、その神域を密やかで粛たる情調で満たし、いつ訪ねても安らかな気分にさせてくださる。木々の緑と神庭に流れる清らかな水。「みそぎする ならの小河の河風に 祈りぞわたる 下に絶えじと」、「風そよぐ ならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」と歌に詠まれた御手洗川は、夕暮れでもなく、夏にはまだ一ヶ月もあるけれど、穢れてしまった心を洗ってくれるような気がして。早朝の、なるたけ人肌に触れていない空気の中、ここを散策するのが何よりの贅沢。
単にリラックス効果というだけでなく、此方と下鴨神社こと賀茂御祖神社の「糺の森」は、乱れた気をリセットしてくださるようで。年に一度が訪れたいところ。で、それなら花が賑わう頃がいい。冬は底冷えで、夏は炙られるように暑いからねェ。
その中には名物となるも並び、それが今日のお目当。

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一の鳥居
から入ってすぐ、広々とした芝生の中に威勢を誇るのが「御所桜」と呼ばれる枝垂桜と「斎王桜」と名付けられた八重紅枝垂桜。僅かに白い「御所」が早く咲き始め、入れ替わるように濃い紅色の「斎王」が追いかける。今はもう「斎王桜」が満開の見頃。
幾重にも薄紅色の花弁を重ねる八重桜。それが幾房も重なり合って、艶やかなピンクのグラデーション。神に嫁した「斎王(いつきのみこ)」の装束もかくあったかと思わせるような華やかな色合い。昨日の雨を含んで少々重たげではあるけれど、それはそれで、別の風情を感じさせてくれる。
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな」。このをカンショウしていると、幾分かカンショウ的になっちゃって・・・。

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上賀茂神社
の境内には、「御所」と「斎王」のペア以外にも固有の名前を持つが幾つかあって、「斎王桜」と同種、八重紅枝垂桜二の鳥居横にある「風流桜」と細殿横の「みあれ桜」。

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まだ若く小さな木ではあるものの、「馬出しの桜」、「むち打ちの桜」などもあって、これらは5月に開催される『賀茂競馬(かもくらべうま)』と呼ばれる神事の、スタート地点とスパート地点に植えられることからそう名付けられる。

御手洗川で心を清め、立砂からインスピレーションを得て、「斎王桜」を嗜んで・・・。
さて、この後どこへ巡りましょうか。

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時間も経過して、陽は高くなっているはずなのに、生憎の曇り空で気温も上がらない。郊外の、北の方まで登ろうかという気は起こらない。東に向けて、宝ヶ池公園? もっと北に進めば、まだは残っているかしらン?
しかし、あまりの寒さに吹きっさらしの中へ走る気にはなれず。

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桜まつり」が開催中の平野神社へ。
お祭りとあって、屋台が並ぶがまだ仕込み前で、人出も少なく、閑散とした様子。おかげで、静かに、ゆっくり写真が撮れそうではあるが、雨の後とあって被写体となるもそれほど多くもない。それでも、様々な品種が観られて、濃い色をつけた八重咲きのものは残って、それなりに華やか。薄緑色の「鬱金」が眼を惹く。
境内をぐるりと巡って、独り観桜を楽しいでいると、ようやく屋台も開店準備で、それに合わせたかのように人足も増え出して。そろそろここも退散せねば。

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ここまで来たついで・・・というと罰が当たりそうですが、ほど近い北野天満宮へ。
こちらはサクラよりウメが多数を占めて、それらはもう花を終えてはいるが、(自称)天才くんの為に参拝だけでもしておかねば。
天満天神天満大自在天神は学業の神様として有名ですが、平安時代の貴族で政治家、学者、漢詩人であった菅原道眞公を神格化した神だけあって、武運・武芸、 慈悲、正直・至誠、儒教・禅・忠義、和魂漢才、和歌・連歌芸能・茶道、馬術、厄除・病除、火除・雷除、書道・筆、長寿、交通安全、縁結び・縁切り、商売、子宝の神とされ、冤罪を晴らし、海難を除け、極楽往生、怨敵調伏、戦勝祈願、王城・国家鎮護、鬼門・魔封じなどにもご利益があり、土地神、伽藍神、仏法守護、子供の守護神、誓約神でもあるという。
何しろ生前の菅公は、多芸多才で、平安京きっての秀才。息子さんのためだけでなく、ワタシもそのご威光に肖っておきたい。
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな。「飛梅伝説」でも知られるが、ウメだけをご寵愛になられたわけでもなく、を愛でては「弥勒菩薩が悟りをひらくという龍華樹も遠く及ばない」と仰言ったとか。
花開合掌不因春(花は合掌に開いて春に因らず)」、花時を追わずとも合掌すれば心に花が咲くのだとも説いておられて、それは、心の平静を保ち、心の働きを集中させるという禅に通じる心境なのでしょうが、サクラが咲いた途端にやれ花見だと浮かれるワタシなんぞは俗人の極みでその境地に至ることは到底出来そうもないのだけれど、少しは心持ちにゆとりを感じられるようになりたいと願いつつ、この歳までバタバタと無駄に足掻いていたりする。毎週参拝したところでその境地には至れない・・・でしょうなァ。
そうそう、博識な道眞公薔薇についても言及されておられて、「殿前の薔薇に感ず、一絶」、薔薇は妖艶で人を虜にして惑わす妖魔だと例えておられる。そうなると、黒薔薇堂を名乗るワタシは妖魔の眷属?!

・・・と時刻はそろそろお昼前。早朝から上京(?!)し、ぼちぼちお腹もエンプティで、ランチが頂きたいところ。安全に駐輪出来て、静かにゆっくり食事が摂れるところを探したい。


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北野
界隈から京都御苑へ。
この付近には、菅原道眞公が祖父の代から暮らした邸宅跡に建てられたという菅原院天満宮神社があったり、狛犬ならぬ狛猪が置かれた護王神社があったり。
和気清麻呂を主祭神として頂く護王神社は、足腰の健康と病気怪我の回復にご利益があるという。それには肖っておかねば。

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広い苑内に桜を探してから、その近く、ザ・パレスサイドホテルBD-1Rを停める。駐輪場にバイクを置いて、烏丸通に面したレストラン「フェルマータ」。
イタリア語の「fermata」は英語の「stop」に当たり、音楽記号の「フェルマータ」は概念的でデリケートな指示を示す。短く慌ただしいポタリングの締めくくりにはちょうどいいかしらン?! ホテルでフェルマータ、少しは余裕を感じられれば・・・っと。
お腹が満たされた頃には、都大路にヒトとクルマも満ち満ちて、スイスイ疾るゆとりもなく、そろそろ離れた方が良さそうな。帰路はJR京都駅から新大阪駅までの輪行で。各駅停車で帰れるほど時間的余裕はあっても、新幹線で帰れるほどの金銭的余裕はありません!?

本日の結果
Mx:30.10km/h、Av:14.80km/h、Dst:27.34km、Tm:01:50:43

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