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愉快な音楽院 特別企画コンサート [音楽のこと]

数年来の寒さが続く中、昨夜半まで降った雪が、ここ大阪市内でも珍しく降り積もり、人に踏まれて薄氷となって残る土曜日の朝。一夜明けて、大陸から寒気を運んで来た北風は思いの外穏やかになって、日差しも僅かに春めいた明るさで、白銀となった路面に反射する。
この天気、道路状況では自転車散歩というわけにもいかず、といって、部屋に籠っているつもりもなく・・・。
今日は、高槻現代劇場での音楽イベントへと出掛けます。

高槻現代劇場を会場として、ヴァイオリニスト金関 環(かなせき たまき)さんによる音楽講座「お話と演奏による『金関環の愉快な音楽院』全5回 十人十色の作曲家」なる催しがあって、今日はその特別編。
2017年度は、昨年8月26日を皮切りとして、
①8月26日 「多才で多趣味な作曲家」
②10月9日 「天才ゆえ?! 理解しがたい作曲家」
③12月9日 「移ろう人気に揺れる作曲家」
④2月12日 「作曲家のおさいふ事情」
⑤3月21日 「多作と一発屋、早世と長寿の作曲家」
のラインナップで、著名な作曲家のひととなりを探りつつ、その演奏を楽しもうという企画。ワタシは何れも伺ってはいないのですが、それに色を添える特別企画コンサートが、今日、1月27日行われる「お話と演奏による『金関環の愉快な音楽院 特別企画コンサート〈作曲家、なくて七癖あって四十八癖〉』」。
通常シリーズでは他のピアニストが共演されておられるようなのですが、今日は「特別」とあって、青柳いづみこさんがゲスト・パートナー。

いづみこ先生といえば、ピアニストにして文筆家。発表されたCDは10枚を超えて、著作は20冊を超える。音楽博士で大阪音楽大学教授、神戸女学院大学講師。日本ショパン協会理事も務めておられるお方で、ドビュッシー研究家としても知られる。
そして、何より、我らが「ワンコイン市民コンサート」には欠かせない演奏家。記念すべき「シリーズ第1回」を始め、周年記念公演の度にご出演くださり、5度も大阪大学会館のステージにご登壇される、「ワンコイン」に不可欠なラスボス的存在。
今年も、5月13日(日)に6周年記念コンサート「青柳いづみこ ドビュッシーの歌曲の世界(仮題):松井るみ(ソプラノ)を迎えて」が予定されています(・・・と、なにげにPRを抜かりないのがワタシのエライところ?!)。
血中仏蘭西人濃度128%で、フランス近代芸術大好き、分けてもドビュッシーが大好物なワタシは、自然いづみこフォロワーとなって、「ワンコイン市民コンサート」はもちろんのこと、近隣で演奏される機会があれば脚を運ぶので、このブログも勢いいづみこオッカケブログの様相。

迎え撃つ金関 環(かなせき たまき)さんは、
5歳より東儀祐二に師事。高校卒業後渡米し、アメリカ・ジュリアード音楽院入学。ジョセフ・フックスに師事。同時にヴィオラをJ.フックス、リリアン・フックスに師事。室内楽をジュリアード弦楽四重奏団や、W.リンサー、H.シャピロー、J.ナイガードに師事。同学院卒業および同学院修士課程修了。
ニューヨークで15年間を過ごし、室内楽を中心に演奏活動を行う。これまでに、ジュリアード音楽院にてJ.フックス教授の助手や講師の他、ニューヨーク・カーネギー・ワイル・リサイタルホールをはじめ、コロンビア共和国、東京や大阪など各地でリサイタルを開催。オーケストラにソリストや客演コンサートマスターとして出演するほか、近年はNHK-BSプレミアム「新にっぽんの歌」(関西収録)のバックバンドで、弦楽器のトップ奏者として演歌歌手とも共演している。
信念に基づく独自の演奏や人間の情緒に深く根ざした豊かな表現力、作品の持つリズムを大切に様々な演奏活動を展開し、好評を博している。
・・・というヴァイオリニスト。

そんなお二方が用意されたプログラムは、
 ◆離婚の原因は夫の発砲?!
  タイユフェール:ヴァイオリンとピアノのための子守歌
 ◆夭折の愛国家が獄中で作ったラブソング♡
  ポルムベスク:望郷のバラード
 ◆作曲も、恋愛も、人生すべてが型破り!
  ドビュッシー(オーレッジの補筆による):セレナーデ
 ◆赤毛の僧侶の光と影
  ヴィヴァルディ:「四季」より「春」と「冬」 
 ◆次々と恋する女性は年下セレブ!
  ベートーヴェン:クロイツェルソナタ第1楽章
、となっている。
ドビュッシー研究家でもあるいづみこ先生がご出演とあってはそれだけでは収まらないはず。「」が大いに気になるところ。

愉快な音楽院.jpg

フライヤーに添えられた惹句も、
作曲家たちの恋愛事情や、如何に?
いにしえの天才作曲家も人の子なり。思ひ人への燃え焦がれる想いを音曲にしたためるおのこ。有名提琴弾きの愛人だったをんな洋琴弾きなど・・・。さてさて、様がましきことよなぁ~。
なくて七癖あって四十八癖”の「」は、酒癖や口癖ではなく、他ならぬ”そっち方面の嗜好”で、なにやら、「金曜日」でもないのに、「ウィークリー・スプリング・センテンス」で「ウィークリー・ニュータイド」で「ウィークリー・ウィメン・ゼムセルヴス」なコンサートになりそうな・・・。

開場13:15、開演14:00のコンサートに向かう頃合いには、明るい日差しの中に綺羅綺羅と風花。冬の名残りと春の走りが織り成すデュエット・カプリース。陽光と乾いた風が路面の氷を解いて消してはくれたものの、お出かけ日和という感じではないが、自宅から高槻市まではそれほど時間も要さない。

ホワイエで受付、パンフレットを受け取って、開場なった会場の、ピアノの鍵盤が見える席を占めて開演を待つ。その間に開いたパンフレットによると、本日のプログラムは、
1.ドビュッシー(ハルトマン編):亜麻色の髪の乙女
2.ヴィヴァルディ(ホグウッド編):「四季」より”春” “冬”
3.ポルムベスク:望郷のバラード
***Intermission***
4.クライスラー:レスタティーボとスケルツォ Vn solo
5.コダーイ:ドビュッシーの主題による瞑想曲 Pf solo
6.ドビュッシー:沈める寺院 Pf solo
7.ドビュッシー(ロケ編):レントより遅く
8.ドビュッシー:セレナーデ ※オーリッジ補筆
9.タイユフェール:子守歌
10.サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
と改まっている。
クロイツェル』が『ツィゴイネル』に変わっちゃったんでしょうか。
まァ、ワタシのお目当ては、ドビュッシー研究家によるドビュッシーの楽曲で、それが半分を占めて、そのうち幾つかはピアノ&ヴァイオリンのデュオにアレンジメントされてはいるものの、それはそれで興味をそそる。

14:00ちょうど、開演。
最初の曲は、クロード・ドビュッシー亜麻色の髪の乙女』・・・の、ヴァイオリン奏者アーサー・ハルトマンによる改編版。
オリジナルは「ピアノのための前奏曲集 第1巻」に収められたピアノ独奏曲で変ト長調、ハルトマンによるアレンジメントはト長調としたヴァイオリンとピアノのデュオ。
ドビュッシーにしては調性がはっきりしていて、優しく柔らかく、分かりやすくてメロディアスであるためか、様々な楽器用に改編されてはいるが、ドビュッシー晩年のそのピアノ版も、初期の未発表歌曲からの編曲であって、それはシャルル・ルコント・ド・リールの詩を元に書かれた・・・と、来歴が(ちょっとだけ)ややこしい。
ヴァイオリン版も原曲のリリカルをとどめて、朗々と歌ってくれるけれど、ワタシとしては、耳に馴染んだ変ト長調のピアノ・ソロが好み・・・かな。元になった未発表歌曲も聴いてみたいところ。
♪亜麻色のォ 長い髪をォ 風がやァさしくつつむゥ~♪ やね(おい!!)。

金関さんからご挨拶とご紹介。それに続くのは、アントニオ・ヴィヴァルディ作曲の「四季」より『』と『』。
』、『』、『』、『』の4曲から成るヴァイオリン協奏曲・・・ということになっているが、本来は「和声と創意への試み」と題された12曲構成の楽曲で、『第1曲』から『第4曲』までの4曲に再構成されたものが「四季」と呼ばれる作品。まァ、12曲では長過ぎますわな。その中から今日は、今の時候、今日の空模様に合わせたのか、『』と『』。
これが今日のメインになるんでしょうか。ヴィヴァルディ自身が著したとも言われるソネット(の訳詞)までパンフレットに掲載されて、演奏前に鳥の囀りや嵐の様子など楽曲内で表現される事象をひとつずつ取り出しては、かなりの時間を割いてご解説。ヴァイオリンとピアノがそれらを如何に描写しているか・・・っと、原曲ではピアノは使われておらず、今日はクリストファー・ホグウッドによる改編版。
・・・と、楽曲解説までは、まァ、それなりに学術的(?)だったのですが、今日のテーマは「作曲家たちの恋愛事情」で、それに触れるとお話しは俄かに週刊誌のゴシップ記事めいて・・・。
金関さんは弓をマイクに持ち替えて、いづみこ先生はピアノから立ち上がってのマイク・パフォーマンス。お二方とも、演奏以上に(?)弁舌も達者。とはいえ、お二人は演奏家。口より先に手が動いて、実演での説示がすぐに出る。

ヴィヴァルディ
は作曲家、ヴァイオリニストであると同時にカトリック教会の司祭さまでもあったお方。その容姿から”赤毛の司祭”とも呼ばれる。
赤毛の僧侶の光と影”。身寄りのない女児のための音楽教育施設を営むも、その中ではハラスメント紛いな行いがあったとかなかったとか。ハリウッドのプロデューサーみたいな?
多作なうえに筆が早く、写譜より速く作曲出来ると豪語し、ヨーロッパ中に評判を鳴り響かせる一方で、その行いは聖職者らしからぬものであった・・・らしい。司祭でありながらミサを行わなずに劇場を経営してみたり、演奏旅行には必ず女性を同伴させてみたり。うんと年下のソプラノ歌手アンナ・ジローと関係を持ったかと思うと、その妹をメイドとして雇い入れて・・・。挙句に、聖職者らしからぬとしてフェラーラ教皇領からは領内立入禁止令、ウィーンに野垂れ死し貧民墓地に埋葬されることになる。天罰覿面?! 因果応報!?
以来、彼の楽曲は顧みられることは失くなり、再び陽の目を見たのはつい最近のこと。

男性作曲家で、長生きして、成功した者は(ほとんど)ろくなもんじゃない」というのが、金関さんといづみこ先生のご見解(・・・となると、ワタシも成功者かしらン?)。
ドビュッシーに至っては、「40歳で死ねばよかったのに♡」とまでドビュッシー研究家は仰る。”糟糠之妻”リリー・テクシエをピストル自殺(未遂)にまで追い込んだ、エンマ・バルダックとのスキャンダルに対する女性としての私見・・・ですかね。ですよね?

演奏の方はというと、ヴァイオリンとピアノのデュオでも、季節の情景は色褪せず、一層軽やか。

長寿を得た作曲家がろくでなしなら早逝のそれはいい人なのかと引き合いに出されたのが、チプリアン・ポルムベルク。三曲目は彼の代表曲「望郷のバラード」。
幼少より天才を発揮し、ウィーンに留学、アントン・ブルックナーフランツ・クレンに師事するも、ルーマニア独立運動に参加、逮捕投獄されて、そこの衛生状態が悪かったのか29歳の若さで病いを得て夭折。
獄中で書かれたのがこの「バラード」。これでもか・・・というくらいにメランコリック。ヴァイオリンが奏でる歌曲的な旋律は分かりやすく胸に響くけれど、そちらが情感たっぷり、濃密に歌い上げる反面ピアノ・パートは少々物足りなくもない。
望郷のバラード」と言えばヴァイオリニスト天満敦子さんの代名詞。いづみこ先生は彼女と共演されたこともおありだということなのですが・・・(軽くディスってます?)。

15分の休憩を挟んだ後半、第2部。ホールに再び入場されたのは金関さんお独りで、演奏前、「すごいと思われるヴァイオリニストは誰か?!」という話題から。
ニューヨーク留学時代に、彼は師匠のジョセフ・フックスに尋ねられたことがあるそうで、フックス先生の仰るには、誰をおいても一番はフリッツ・クライスラーだとのこと。フックス先生は、近しい境遇にあったということで、クライスラーのお弟子さんでもあるそうな。
で、後半の1曲目はクライスラー作曲の「レスタティーボとスケルツォ」。技巧的で、特殊奏法のオンパレードのような、ヴァイオリン・ソロというより、ヴァイオリンによるモノローグ。
クライスラーは長生きこそしたものの、いい人なうえ、かなりの恐妻家であったそうで、ゲスい話しは無い・・・らしい?!

選手交代で、いづみこ先生のピアノ・ソロは、コダーイ・ゾルターンの「ドビュッシーの主題による瞑想曲」とクロード・ドビュッシー作曲「沈める寺院」。
ここでは、それぞれの楽曲の作曲経緯や背景が語られて。片や、ドビュッシー唯一のオペラ「ペレアスとメリザンド」のテーマを引用し、限りなくドビュッシー風味の瞑想曲。もう一方は、「ピアノのための前奏曲集 第1巻」の中にあって、ブルターニュのカテドラルに纏わる伝説を物語る。
ドビュッシーは若い頃から女癖がよろしくなかったようで、例のスキャンダルから逃避行まで余儀なくされて・・・。「40歳で死ねばよかったのに♡」と先生は仰いますが、それなら20歳代で死んでおかねば収まりがつかない・・・ような、ゲスの極み?! 関わった女性のうち二人までもピストル自殺未遂ってェのは、ちょっと尋常じゃあない!!
一方のコダーイは、超引っ込み思案で、ドビュッシーに憧れてそば近くまで訪ねるが、気恥ずかしくなって逃げ帰っちゃった人。こちらは、長生きされておられるが、教育者で学者さまで博士でもあって、マジメな人だったようで、浮いた噂はないの? 再婚こそされておられるが、19歳年上(!)で自身作曲家でもあった先妻シャーンドル・エンマ(コダーイ・エンマ)とは死別。

金関さんもピアノの側へ戻られて、コダーイドビュッシーに対する憧憬から話しを引いて、ベートーヴェンに憧れたシューベルトのお話し。ゲスいお話しから、BL的な(?!)男性作曲家同士の禁断のロマンスに発展するのかと思ったら、それは・・・ない。

お二人が揃って、再びのデュオは、ドビュッシーレントより遅く」をレオン・ロケがアレンジメントしたヴァージョンで。それから、音楽学者のロバート・オーリッジがコラージュしちゃった「ヴァイオリンとピアノのためのセレナーデ」。ドビュッシー2題ではあるのだが・・・。
レントより遅く」の原曲はピアノ独奏曲で、ドビュッシー自身による管弦楽版もあるけれど、彼の数少ないワルツ作品のひとつ。ハンガリーへ出向いた際に聴いたロマ(ジプシー)が奏でるヴァイオリンに感銘を受けて書かれた・・・となると、ロケ版はある種、本家帰り、先祖返り。
問題は「セレナーデ」。ドビュッシーが書き残した未完成のデッサンをオークションで買い漁ったオーリッジがつなぎ合わせてでっち上げた模造品、まがい物・・・とは言い過ぎか。
お話しも、それに連れて、トマソ・アントニオ・ヴィターリ作とされた「シャコンヌ」へと飛んで・・・。”恋愛事情”はどこへ行った?

ドビュッシーが伴侶を自殺未遂まで追い込む男なら、多くの男性芸術家を翻弄させたのがジェルメーヌ・タイユフェール
フランス六人組(Les Six)」の紅一点にして、才色兼備の人であったようで、パリ音楽院時代には示された課題をシカトして院長先生のガブリエル・フォーレや審査員のドビュッシーをけむに巻いてしまったり、アルトゥール・ルービンシュタインに紹介されたジャック・ティボーと愛人関係(!!)にあったかと思うと、それを清算したのちアメリカ人で風刺漫画家のラルフ・バートンと電撃結婚。
彼女の周りにはいつも多くの芸術家がいて、モーリス・ラヴェルエリック・サティシャルル・ケクランジャン・コクトーセルゲイ・ディアギレフ、「六人組」のメンバーたち(ルイ・デュレアルテュール・オネゲルダリウス・ミヨーフランシス・プーランクジョルジュ・オーリック)、音楽界だけに止まらず、モンマルトルモンパルナスの画家や彫刻家、ジョルジュ・ブラックパブロ・ピカソなどなどとも親交、そんな中チャーリー・チャップリンから映画音楽の提供依頼、それにヤキモチを焼いた夫から銃を突きつけられるなどのDVを受けて、辛抱堪らず離婚。
二つの大戦と「狂騒の20年代」、エキセントリックな時代に芸術の都の只中にあったLa belle excentrique(風変わりな美女)。
彼女の作品から選ばれたのは、まだ不倫に至る前の若い頃に作られた「子守唄」。初々しくもチャーミング。眠るどころか、ときめいちゃう?! 今日のご解説の後では、ララバイではなく、ピロートークに聴こえちゃう?
その解説の合間にはチャップリンが自ら作曲したフィルム・ミュージックをチャチャッと演奏してみせたりと、サーヴィス精神旺盛過ぎ。

ワイドショー的なネタばかりではあまりにもゲスい・・・というご配慮でしょうか、お話し上手なお二人の、その話しはとりとめなく、ヴァイオリンの奏法やら今時のコンテスタントに対するジャッジメント(軽くディスってます?)やら楽器ごとの練習時間について等々、どこへ転がるか予想も出来ない。知識量がハンパないんでしょうねェ。といって、言葉は選ばれ専門的過ぎず、ご来場のマダァムに受けもいい。

笑っているうち、あっという間に、プログラム最後の曲となって、パブロ・デ・サラサーテ作曲「ツィゴイネルワイゼン」。
パリにも学んだスペイン生まれの天才ヴァイオリニストが作曲した、ジプシー(ロマ)の旋律を現す技巧的なヴァイオリン曲の、オリジナルは管弦楽伴奏付き。ハンガリー民謡が織り込まれながら、タイトルはドイツ語・・・って、エスニック風でありながら国際的?? 今日演奏されるヴァイオリン&ピアノもよく聴くパターン。
関西でこの楽曲、吉本新喜劇の桑原和男師匠を思い浮かべてしまいそう?
もちろん、「神様ァ~!!」と小ネタが始まるわけはなく、超絶技巧ながらどや顔決めて大仰ということもなく、切々と歌い上げながらも軽やかにして表情豊か。どうせなら、チャールダーシュは手拍子、足拍子で盛り上がってお開きになれば・・・っと、ご来場のマダァム連は聴き惚れておられるようでそういう”ノリ”にはならないのでございましょう。
小ネタにはならなかったものの、幼少期から天才を発揮したヴァイオリニストのお話しから、ヴァイオリニストは天才・神童が出やすいという話しになって、「神童」も歳を経ると「あゝ、しんど」となる・・・とオチまでついておりました。

さて、アンコールは何でございましょうと見やると、いづみこ先生自らピアノの譜面台を取り外されて・・・、「アンコール・ピースは用意していないので二人で即興演奏してみます」との仰せ。
最初はお二人で腹の探り合い? ゆっくりしたテンポでフリー・ジャズのようなインプロヴィゼーション。蓋を取り除いたピアノを覗き込むように内部奏法まで。
それに飽き足りず、いづみこ先生のピアノはドビュッシーやらベートーヴェンなどなどの著名曲のフレーズをンジャジャジャジャーンと所々に切り貼りして・・・やりたい放題。驚くでもなく、困る風もなく、飄々とフォローしていく金関さんのヴァイオリン。付かず離れずの距離感が絶妙。面白いものを聴かせて頂きました。

四十八癖」というほどゲスいトピックが並びはしなかったけれど、「音楽院」というには随分カジュアルで、お話しと演奏は十分楽しませて頂きました。ヴィヴァルディがメインに座るものの、近代フランスのふんわりとした薫香にエキゾティークなロマ風のフレグランスとユーモアのエッセンスを加味して、超良質のパフュームのようなコンサートでした。
フレンチ&ロマなら、モーリス・ラヴェルの「ツィガーヌ」も加えて欲しかったかなァ。恋愛事情、ピョートル・チャイコフスキー♡ニコライ・ルビンシテインなら・・・。
「特別編 パート2」があるなら、きっと伺います。

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