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Eine Frau, in Wien ~ 峯島望美ソプラノ・リサイタル [音楽のこと]

さて、今日は、今年最後の「ワンコイン市民コンサート」。(クリスマス・)ホリディ目前の12月公演に相応しく(?)、艶やかに華やぐソプラノで綴る「女の愛の物語」。

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ワンコイン市民コンサートシリーズ第72回」は『峯島望美ソプラノ・リサイタル〈女の恋といのち〉』。
長年ウィーンでご活躍されて、現在は大阪を拠点に音楽活動を続けておられるソプラノ歌手、峯島望美さん。その歌声を支え、彩りを加えるのは大阪大学会館常設のヴィンテージ・ピアノ、「ウィーンの至宝」ことBösendorfer252で、それを演奏されるのは、過去3度のご出演でパパ・バッハから始まるバッハ家の家庭事情をご紹介くださった武久源蔵さん。そのお二人のジョイント・リサイタル。

お二方のプロフィールは、

東京音楽大学声楽演奏家コース首席卒業。同大学院修了。ウィーン国立音楽大学にて世界的名歌手E.マティス氏に師事し、リート・オラトリオ科、同オペラ科修了。数々のオーディションに合格し、故D.フィッシャー・ディースカウ、G.ヤノヴィッツ、故H.ホッター、B.ファスベンダー、E.アーメリング等著名な音楽家のもと、歌曲、オペラの研鑽を積む。読売新人演奏会、日本演奏連盟新人演奏会、NHK FMリサイタル、サントリーホールデビューコンサート等に出演。全日本学生音楽コンクール第2位、藤沢オペラコンクール入選、日伊声楽コンコルソ入選、J.S.G.国際歌曲コンクール入選、国際ブラームスコンクール第3位(オーストリア)、国際ベルヴェデーレコンクール特別賞(オーストリア)、デビューインメランコンクール入選(イタリア)、G.・ディ・ステファノコンクール入選(イタリア)等、数々のコンクールにて受賞。2005、6年度ロームミュージックファンデーション奨学生にも選出される。オペラでは「フィガロの結婚」スザンナ役、「ドン・パスクァーレ」ノリーナ役、「電話」ルーシー役、「ピンピノーネ」ヴェスペッタ役、「スザンナの秘密」スザンナ役、「賢い女」賢い女役、「カルメン」フラスキータ役、「バスティアンとバスティエンヌ」バスティエンヌ役等で、横須賀芸術劇場、レーゲンスブルク州立歌劇場、シェーンブルン宮殿宮廷劇場等の国内外の劇場やホールに多数出演。特に機知機転の効く若い娘役を得意とし、その美声と溌剌とした演技が高く評価される。名古屋・仙台・中部フィル、ニーダーオーストリアトーンキュンストラーオーケストラ等、オーケストラとも多数共演。国際ショパンミュージックフェスティバル(オーストリア)等の音楽祭、コンサートのソリストとしても活躍。音楽グループ「アイゲンアート・ミュージック」を結成。童謡、歌曲、アリアをひとつの物語として演奏し、子どもから大人まで楽しめる「おうたの森コンサート」、オペラアリアや歌曲をお芝居仕立てで演奏する「お芝居コンサート」、「ひとり歌芝居」など、新しい形のクラシックコンサートを日本各地で上演し好評を博している。CD「おうたの森Vol.2」、「おうたの森~おやすみなさいのそのまえに~」、「Ruhe~ルーエ~うたのあるやさしい時間」をリリース。また子どもたちにクラシック音楽に親しみ、音楽の喜びを感じてほしいという思いから学校音楽鑑賞会等の演奏にも積極的に取り組んでいる。京都市立芸術大学非常勤講師を務める等後進の指導も意欲的に行っている。日本演奏連盟、日本カール・レーヴェ協会会員。

1957年生まれ。1984年東京芸術大学大学院音楽研究科修了。研究テーマは、主にバッハ以前の音楽におけるDispositioについて。チェンバロ、ピアノ、オルガンを中心に各種鍵盤楽器を駆使して中世から現代まで幅広いジャンルにわたり様々なレパートリーを持つ。特にブクステフーデ、バッハなどのドイツ鍵盤作品では、その独特で的確な解釈に内外から支持が寄せられている。また、作曲、編曲作品を発表し好評を得ている。音楽的解釈とともに、楽器製作の過程についても造詣が深く、楽器の構造的特色を最大限に引き出す演奏が、楽器製作家たちからも高く評価されている。91年「国際チェンバロ製作家コンテスト」(アメリカ・アトランタ)、また97年および01年、第7回および第11回「古楽コンクール」(山梨)、ほか多数のコンクールに審査員として招かれる。ソロでの活動とともに、00年に器楽・声楽アンサンブル「コンヴェルスム・ムジクム」を結成し、指揮・編曲活動にも力を注ぎ、常に新しく、また充実した音楽を追求し続けている。02年から毎年、韓国からの招請による「コンヴェルスム・ムジクム韓国公演」を行い、両国の音楽文化の交流に大きな役割を果たした。91年よりプロデュースも含め40作品以上のCDをALMRECORDSよりリリース。中でも「鍵盤音楽の領域」(Vol.1~9)、チェンバロによる「ゴールトベルク変奏曲」、「J.S.バッハオルガン作品集Vol.1」、オルガン作品集「最愛のイエスよ」、ほか多数の作品が「レコード芸術」誌の特選盤となる快挙を成し遂げている。2016年3月には、2度目のゴールトベルク変奏曲の録音をリリース。これまた、レコード芸術誌の特選版となる。ここでは、日本で初めて16ft弦付チェンバロによって、ゴールトベルクの新しい可能性を切り開いている。さらに、同年、市瀬玲子との共演によって、バッハのガンバ・ソナタ全曲を、ジルバーマン・ピアノとチェンバロを使い分けて録音し、発表。2017年4月、やはり、ジルバーマン・ピアノとペダル付チェンバロを使い分けて、バッハの《平均律》全曲録音を始動。4部作の第一弾を発表。その際、従来誤訳として議論されてきた《平均律》を《適正律》と改めた。これら二つの真作CDは共に、レコード芸術誌の特選版となる。02年、著書「新しい人は新しい音楽をする」(アルク出版企画)を出版。各方面から注目を集め、好評を得ている。05年より鍵盤楽器の新領域とも言えるシンフォニーのピアノ連弾版に取り組み多方面から注目を集めている。学生時代から数多く放送に出演し、演奏やレクチャー、解説などを担当した。特に、06年NHK第一ラジオ「ときめきカルチャー」コーナーに年間を通して出演。その後もNHKのカルチャー・ラジオのシリーズで何度かレクチャラーを務める。1998~2010年3月フェリス女学院大学音楽学部及び同大学院講師。2013年、ラモーの抒情喜劇『レ・パラダン』の日本人による初演を指揮して、絶賛を博する。また、近年、毎年、ヨーロッパ各国(ドイツ、リトアニア、アイスランド、スウェーデン等)で、即興演奏を含む多彩なプログラムによって、オルガン、チェンバロ、ピアノその他の楽器を使った・コンサートを行い、注目を集めている。

・・・といったもの。

大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館にて、いつもの通り、開場が14:30、開演が15:00。
この歳になって、今だに女心のなんたるかを理解しきれていないワタシ。大阪大学会館講堂でのクリスマス特別講座「Woman’s Life and Love」、とくと拝聴いたしましょ。

1920年製Bösendorferが待つステージに登場した峯島望美さんと武久源蔵さん。息を整え、最初の曲はこのリサイタルのタイトル曲(?)「女の愛と生涯 作品42」。
ロベルト・シューマンが、アーデルベルト・フォン・シャミッソーの詩を元に、1840年に作曲した連作歌曲。
シューマンは短期集中型? 特定のジャンルの作品を一気集中的に書き上げる。
声楽曲は器楽曲よりも程度が低いとして、それまでピアノ曲ばかり書いていたかと思うと、1840年は何か文学的閃きを得たのか、この年の始めに『ウィリアム・シェイクスピアと音楽の関係について』の論文を以って、イェール大学から博士号を取得したかと思うと、この楽曲に加え、ハインリヒ・ハイネの詩を元に「リーダークライス 作品24」と「同 作品39」、「詩人の恋 作品48」、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、フリードリヒ・リュッケルト、ジョージ・ゴードン・バイロン、トマス・ムーア、ハインリヒ・ハイネ、ロバート・バーンズ、ユリウス・モーゼンらの詩から26曲も連なる歌曲集「ミルテの花 作品25」を作って、この年はシューマンの”歌曲の年”と呼ばれるほど。早逝の作曲家が物した歌曲は、生涯を通じて270曲以上、そのうち120曲がこの年一気に作られている。
元々読書家ではあったものの、その前年に「歌曲の王」フランツ・ペーター・シューベルトのお墓にも詣でているので、一時的にその霊魂が憑依しちゃった・・・のかも?! ちょっと偏執的なお方でもあるようなので、シューベルトの意思を継承する・・・と思い込んじゃったんでしょうねェ。まァ、それが実現出来ているのだから、スゴイんですけど。
大学では法科を選択しているし、フレデリック・フランソワ・ショパンやヨハネス・ブラームスについての論文を発表したり、音楽雑誌を創刊して、そこで音楽評論も行って、どちらかというと文系の人、文才もおありだったのでしょう。
そして、シューマンの1840年といえば、クラーラ・ヨゼフィーネ・ヴィークとの結婚。5年の交際を経て、反対する彼女の父親と係争の末、裁判に勝利し、ようやくのこと許可判決。人生の大きな節目でもあったのでしょう。
つらつらと書き連ねるとキリがないので、「シューマンの生涯」は以下割愛して、歌曲集「女の生涯と愛(Frauenliebe und Leben)」。
シャミッソーが、自身結婚するに当たって、 “夫に尽くす妻”を”理想的”に綴った9編の詩集。それをシューマンが、自身がクララとの結婚を勝ち取るために歌曲とした、一種決意表明的な、8曲から成る歌曲集。
9編ー8曲=1 んン!? ひとつ足りない?!
8編(8曲)は、
あのひとを見たときから』、
すべてのひとにまさって』、
わたしは判らない、わたしは信じられない』、
わたしの指にさした指輪は』、
愛する妹たち、今日はわたしに』、
愛しいひとよ』、
わたしの心に、わたしの胸に抱かれる』、
いまあなたはわたしにはじめて苦痛を与えました』。
①「彼」に出逢って盲目的な恋に堕ち、②その素晴らしさに心惹かれて、③「彼」の心を射止め得たことが疑わしくなるも、④婚約なって指輪を送られ、⑤妹たちに婚礼の支度を言いつけて、⑥「彼」と結ばれ、⑦「母」になって、⑧そして突然「夫」に死が訪れて・・・。20分ちょっとに慣れ初めから死別まで、かなり濃密に描かれる。こんなに早く連れ合いに死なれては、今なら、保険金殺人を疑われかねない・・・かも?
シャミッソーが、その「女」が婚礼を迎える孫娘に人生を語りつつ「彼」を懐かしむシーンを書いているのに、シューマンはそれをばっさりカット、あくまで、「彼=夫」があっての歌にとどめた。長生きして、母になり、祖母になり、在りし日の「彼」を顧みるでもいいじゃん・・・と思うけど、シューマンはあくまで「彼」目線。
往々にして、「妻」から「母」になると、その愛情の大半は夫から子供に向かってしまう。それがイヤだったんでしょうかね。ちょっとエゴ入ってます?
その詩はドイツ語。意味なんてほとんど分からない・・・というか、ヒアリングすらちょっと覚束ない。そのため、舞台後方の大きなスクリーンには日本語対訳の字幕サーヴィス。
望美さんが、「ある女」となって、その一人称の歌を優しく語りかけるようにお歌いくださるので、眼を閉じて聴いていれば、そのニュアンスが十分に伝わってはくるのですが、眼を瞑ってしまうと、そのひとり歌芝居とも思える演奏に添えられた表情やジェスチャアが見えなくなるので、しっかり刮目しておりましたよ。
望美さんがお召しのドレスは、Xmas仕様(?)・・・、雪の女王を彷彿するシルヴァーグレイにスパンコールをあしらったもの。その衣装に負けず、お声も頗る艶やか。
ひとり歌芝居とはいえ、伴奏がついて、武久源蔵さんが演奏するBösendorfer252。音数、手数は多くないのだけれど、伴奏というより、歌唱に迫る存在感で、旋律が・・・というか、ひとつひとつの音がそれこそ望美さんのドレスに煌めくスパンコールのように粒立って、効果的に盛り上げる。淀みなく滑らかなソプラノと対比的で面白い。

続く2曲目は、フーゴ・ヴォルフ作曲「イタリア歌曲集」より抜粋。
ヴォルフも、300曲余りの歌曲、リートを作曲し、シューマンと同じように精神を病んで、長くない生涯を終えてしまった。フランツ・シューベルトといい、女心の機微を歌にすると、命を縮めてしまうのかしらン。いのち短し恋せよ乙女的な? 詩人は永生きし、作曲家は命を削る。
この歌曲集は、ノーベル文学賞作家パウル・ヨハン・ルートヴィヒ・フォン・ハイゼの詩集「イタリアの歌の本(Italienisches Liederbuch)」からの選りすぐり。イタリアで書かれた詩篇をハイゼが収集、ドイツ語に翻訳した375編から、ヴォルフがリスペットと呼ばれる恋愛即興詩だけを46編抜き取って付曲、二つの歌曲集に仕立てたもの。
本来は、男女で対になっているものを、望美さんが演じるのは、8曲選んだ女性(女声)パート。
シャミッソー&シューマンが古風で理想的な女を描けば、こちらはうんと現代的・・・というか現実的。ツンデレ・・・どころか、ツンツンツンデレ。ドイツ〜オーストリアとイタリア、お国柄の違いでしょうか。部屋が汚いの、パンが堅すぎるの、ワインが美味しくないのとヒステリックに癇癪を起こしたかと思えば、あちらこちらの各地に30人近い恋人がいると声高らかに宣言したり、仲直りの後は優しく甘くしなだれかかり・・・。数字で表現出来ない女の感情、ワタシには到底理解不能。割愛された男性(男声)パートのように遇らうことは無理ですが、バルコニー席から拝見・拝聴している分には安心して楽しめる。
これも歌詞はドイツ語で、スクリーン字幕は使わず、望美さんによる日本語訳詩の朗読・・・というより台詞つき。うまくチョイスされたダイジェストが、これもひとり歌芝居のように連なって、歌唱力、演奏力もさることながら、演出力も素晴らしい。

休憩の間に、ステージに椅子が一脚用意されて、スクリーンには日暮れたあとのカフェ、幾つもテーブルと椅子が並ぶテラス席が映し出される。
すでにスタンバイした武久さんが弾き出すのはヨハン・シュトラウスⅡ世美しき青きドナウ」・・・のピアノ・ソロ・ヴァージョン。
第2部は、それを序曲とした「ひとり歌芝居~ウィーンのカフェにて~」から。
エムロード色のドレスの望美さんが、袖からではなく、表舞台の階段からステージ中央へ。

ウィーン市内はドナウ川の畔に在る小さなカフェ。ステージでのウインナ・オペレッタ「メリー・ウィドウ」を終えたばかりのソプラノ歌手がひとり、ふらりと店先にやってくる。席に着くなり、バッグから矢庭に携帯電話を取り出すが、お目当の「彼」からの連絡はまだない。なにやら「彼」と約束がおありのようなのだが・・・。

半分だけの『唇は黙して』。舞台の上での恋の駆け引きには長けていても、私生活では寂しい思いをしているのか、彼女が待つのはダニロ・ダニロヴィッチ伯爵ではなく、遠く離れた「彼」からの電話。
そんな彼女の心の慰めは、ウィンナ・ワルツ。『私の愛の歌はワルツじゃなくちゃ』と歌い出す。
しかし、軽快な円舞曲も踊る相手があってこそ。

で、彼女がバッグから取り出したのは、これもウィーン名物、ザッハトルテ!!!!
ハプスブルグ家からブルボン家にお輿入れされたお姫さまが「Qu'ils mangent de la brioche!」と仰ったとか、仰らなかったとか。ウィーンには(死ぬほど)甘いお菓子がイッパイ!! アプフェルシュトュルーデル、ゲルムクヌーデルにシュニッテン、et cetera。どれもこれも、甘過ぎて、ちょっと重くて、林檎(Apple)党のワタシとしてはApfelstrudel(Apple strudel)がお気に入り・・・、が、甘過ぎてひと口しか食べられない。きっと致死量に迫る砂糖が入っているに違いない。
それでも、”別腹”を装備している女性陣は平気でお召し上がりになられる。彼女が歌い上げるのが『メールシュパイゼ』。ウィーン風コナモン・スィーツ? ウィンナ・コーヒーが欲しくなってきましたな。

どうやら、彼女は「彼」が待つ所に帰らないといけないらしい。が、美しくて、音楽と甘いお菓子がいっぱいのウィーンにも心止めるようで、憧れのこの地を去るに当たって、最後に歌うのが「ウィーン、わが夢の街」。

そうこうするうち、ようやく電話に着信。お待ちかねの「彼」から。
「ほんなら、明日帰るから、関空で待っててなァ♡」
彼女は関西出身で、「彼」の待つ日本へと旅立つようで・・・。望美さんの実話?
美しき青きドナウ」に送られて、彼女は旅立つのでした(おしまい)。

作・演出・主演:峯島望美ひとり歌芝居~ウィーンのカフェにて~」は、軽妙なオペレッタ。
ヨハン・シュトラウスⅡ世美しき青きドナウ(An der schönen, blauen Donau)」をオーヴァーチュア、フィナーレとして、そこに挿入された歌曲は、
フランツ・レハール/オペレッタ「メリー・ウィドウ(Die lustige Witwe/The Merry Widow)」より
唇は黙して(Lippen schweigen)』
ロベルト・シュトルツ/ジングシュピール「白馬亭にて(Im weißen Rößl)」より
私の愛の歌はワルツじゃなくちゃ(Mein Liebeslied muss ein Walzer sein)』
ラルフ・ベナツキー/音楽付き喜劇「小さなカフェ(Das kleine Café)」より
メールシュパイゼ(Mehspeise)』
ルドルフ・ジーチンスキー/「ウィーン、我が夢の街(Wien, du Stadt meiner Träume)」
作者も違って、作られた年代も違うそれらを巧妙に配置して、ウィーンを舞台にした、ひとつのストーリーを作っちゃったんですから、歌唱力、演技力もさることながら、演出力も素晴らしい(本日2度目!!)。
お歌も演技もよかったのですが、忘れちゃいけない武久さんの存在。ピアノによる歌の伴奏・・・というより、劇伴で、序から結まで途絶えることなく演奏しつづけ。ピアノ独奏での「ウィンナ・ワルツ」は街の騒めき、カフェの喧騒だったのでしょうか。なんとなく、ウィーンのカフェ(の2階席)にいるような気になりましたよ。
携帯電話の着信音さえBösendorferの高音域でのプレイ。BGMからSEまで。全くもって恐れ入りました。

さて、大詰め。プログラム最後は武久源蔵さんが付曲された3曲。
万葉集から大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)の詠んだ歌『こひこひて あへるときだに うるはしき ことつくしてよ ながくともはば (巻四 661)』。「こひこひて」は”戀戀て”だったのですね。やまとうたのはんなりしっとりしたエモーション。現代ウィーンから奈良時代へタイムトリップ。あの時代に関空は無いよ、多分。

ソプラノとピアノだけで表現された歌芝居。シンプルなのに鮮やか。歌に込められた情感もヒシヒシと胸に迫り、その音世界が色と形を得て、眼の前に広がるような気さえしました。
再演・・・というか、パート2を期待したいと思います。
アンコールは、日本語詞も交えて、「ウィーン、我が夢の街」。最後まで熱唱、熱演で感動しちゃいました!!

さて、これで今年の「ワンコイン市民コンサート」もお仕舞い。
2018年は、1月21日(日)の『寺神戸亮 無伴奏バロックヴァイオリン・リサイタル<シャコンヌへの道>』から。
無伴奏ヴァイオリンの金字塔、パパ・バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004」。そこに至る変遷を、バロック・ヴァイオリン奏者、寺神戸亮さんがオリエンテーションしてくださるリサイタル。貴重な古楽器の、優柔な音色に浸れる至福の時間。
以下、
2月18日(日)、「沼沢淑音ピアノリサイタル『オルフェウスの竪琴:冥府に響く音』」
3月18日(日)、「エマニュエル・リモルディ ピアノリサイタル『リフレクションズ・オン・ロマンティシズム』」
4月15日(日)、「宮本あき子 ソプラノリサイタル」
5月13日(日)、「青柳いづみこ ドビュッシーの歌曲の世界(仮題):松井るみ(ソプラノ)を迎えて」
6月17日(日)、「もう一つの選択:阪大ピアノの会」
7月15日(日)、「辻本玲 チェロリサイタル 無伴奏曲プログラム」
8月19日(日)、「岩井美子+今峰由香 ピアノ連弾リサイタル」
9月16日(日)、「武久源蔵『ピアノの発見 第4章』」
11月18日(日)、「加藤幸子ピアノリサイタル モーリス・ラヴェル作品を中心に」
12月16日(日)、「田中正也ピアノリサイタル「作曲家の懐具合」(仮題)」
とラインナップ。1月、2月分はすでに予約受付も開始されています。詳しくは「OCCA ワンコイン市民コンサート」のサイトでご確認ください。


May the holiday season bring happiness and joy to you and your loved ones.

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