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大団円 ~ 大阪クラシック2016・最終日 [音楽のこと]

一週間にわたって催された「大阪クラシック」も今日が大詰め。7日間、全81公演も残すところ僅か。グランドフィナーレとなる『第81公演』は19:00にプロデューサー大植英次の"オオウエ語"によるプレトークから始まる。
さて、それまでの時間をどう過ごしましょうか?!

 

ランチを摂った後、今日のスタートは13:00開演の『第73公演』から。

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会場となる大阪シティ信用金庫本店ビル2階ホールは小さいながらもステージがあって、客席も用意されている。
出演は、大阪フィルハーモニー管弦楽団からの4名で、通称ロッシーニ・コミック・バンドこと田中美奈(Vn)、三瀬麻起子(Vn)、近藤浩志(Vc)、新眞二(Cb)。 このカルテットは、結成6年目で、「大阪クラシック」に6度目の登場。そのキャラクターから毎回好評を得て、その公演はいつも満員となる。
急がなきゃと思いつつ、エアコンの効いたカフェでのランチでまったりしてしまい、会場入りしたのが開場15分前。すでにロビーには多くの先客が列をなしている。
開場なって、なんとか座席も確保、ゆったりと開演時間を待つ。と、そこに現れたのはプロデューサーことマエストロ大植。例年通り、精力的に各公演を回られておられるようで、人気あるメンバーは次の出番が控えていて、終演後すぐに飛び出さないといけないとのこと。プロデューサーが前説と紹介をかって出るが、オオウエ語のコメンタリーで余計に時間がおすことに・・・(笑)。

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開演時間。
結成6年目で出演6回目のロッシーニ・コミック・バンドは、毎回ジョアキーノ・ロッシーニ作曲「弦楽のためのソナタ」を演目にしている。早熟の天才作曲家が若干12歳の折りに物した「弦楽ソナタ」は全6曲。今回は、ついに最後の「5番 変ホ長調」(「第6番 ニ長調 『嵐』」は昨年最終日「第71公演」で演奏された)。全6曲を終えて、これで解散? ・・・かどうかは・・・??
開放的で伸びやかな演奏は、お互いアイコンタクトをとりながら、息の合った和やかな印象で、ところどころに微かな破綻を見せるのがコミック・バンドのいいところ?
そのコミック・ユニットのボケ役(?)、コントラバスのさん、同じリズム・パターンばかり続くのが恥ずかしいのだとか。それを突っ込むチェロ近藤さん。毎回のお約束?! ヴァイオリン奏者のお二人はそのやり取りをにこやかに見つめて、ユーモアと嫋やかさのバランスがなんともいい感じ。今年でお仕舞い? それはちょっと勿体ない。
時間がないと言いながらもアンコールに応えて、ヨハネス・ブラームス作曲「ハンガリー舞曲 第3番」。弦楽カルテット版なのだけど、それはVn+Va+Vc+Cbという構成になり、三瀬さんがヴィオラ・パートを演奏するはずが・・・。黙っていたら、気付く聴衆は少なかったであろうに・・・。
気を取り直して、「ハンガリー舞曲 第5番」で盛り上がってのお開き。
近藤さんとさんが次の『第77公演』のリハーサルに急ぐという。皆さんもそちらにお越しくださいとのことなので、ワタシもその会場、フェスティバルホール・エントランスホワイエに向かう。

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第77公演」はルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン七重奏曲 変ホ長調 作品20」。楽聖さまがまだ30歳前後、初期の傑作で、6楽章からなり、演奏時間もたっぷり40分超。 今公演のメンバーは、田野倉雅秋(Vn)、木下雄介(Va)、近藤浩志(Vc)、新眞二(Cb)、船隅慶(Cl)、日比野希美(Fg)、蒲生絢子(Hr)。オール・大フィル・メンバーで構成されるセプテット。
ベートーヴェンらしい細やかさと大胆さの中に、それぞれの見せ場もあって、聴き応えも十分。ロッシーニ・カルテットとはまた違った魅力。
大フィル団員によるアンサンブルはこれが最後で、フェスティバルホールのホワイエということもあって、ホールで行われる『最終公演』へのプレリュードといったニュアンス。
ここにもプロデューサーが登場し、メンバーの労を労う。この後いよいよ『第81公演』のリハーサルということで、ちょっとテンションが上がるような。

まだ各地で公演は続いているのだが、ワタシはここでコーヒーブレイク。フィナーレに向けて、耳を休めておかないといけない。

釣瓶落としな夕闇迫る午後6時。グランドフィナーレの会場となるフェスティバルホールへ戻る。予定通り、18:15開場。全席指定の有料公演となる『第81公演』でワタシに与えられた席は「1階11列36番」。 聴力の都合上もう少し下手側に寄った場所が望ましいが、ステージ全体を見渡せて、距離感としてはちょうどいい。
開演を待っていると、横合いから声を掛けてくれる人があって、振り向いたらヨッシュさん。先日の「第50公演」のようにお近くでというわけにはいかないが、今日もご同席出来た。

19時となって、「大植英次プレトーク」が始まる。
第11回」となった「大阪クラシック」への熱い思いを語った後、今回演奏される楽曲、グスタフ・マーラー作曲「交響曲 第1番 ニ長調巨人』」の解説を掻い摘んで。
第1公演』が(「水上の音楽」を加えたとはいえ)リストの「レ・プレリュード」から始まって、最後がマーラーの『巨人』。今回はシンフォニック・ポエムに始まり、シンフォニック・ポエムで終わるポエティカルな祭典? まァ、どちらも演奏会の定番曲ではあるのだが・・・、その意図はなんだったのだろう。

ボヘミアン・コンポーザーの最初のシンフォニー、交響詩から幾度かの改訂を経て交響曲となった作品は、ちょっとロマンティック過ぎて甘ったるく感じないでもないけれど、「第2番」以降もっと濃密になってくるから、若々しくてハツラツとしている分まだ聴きやすいか。若き日の希望と挫折。甘やかな希求は実生活と相まって、改訂される度に、苦悩に満ちてきちゃったのね、多分。
マエストロはプレトークの中で、この楽曲、第一楽章は"天地創造"を表すと仰る。確かに、『巨人』と訳されるタイトルは『Titan』で、ギリシャ神話に登場する巨神族。星飛雄馬(巨人の星)も番場蛮(侍ジャイアンツ)も関係ない? オーシャンズ12とも仰っておられたが、ティーターン12神のことでしょうか。
神への祈り「アーメン」が度々現れるとも仰る。そう言われると、閑古鳥が鳴く長閑な印象が一気に厳かなものへと変わってしまう。
8年もの歳月を掛けて度々改訂までした最初の交響曲、作曲家自身の波乱の半生が詰まっているのは確か。希望もあれば、苦悩もあって、神への祈りも含まれていてもおかしくない。数年先だって作曲された歌曲集『さすらう若者の歌(Lieder eines fahrenden Gesellen)』を下敷きにしているようでもあり、ドイツの小説家ジャン・パウルの作品『巨人(Titan)』からの翻案とも言われる。その小説を一読してみないといけませんな。

アンサンブルの時とは打って変わって、適度な緊張感を伴った演奏は、マエストロのタクトに導かれ、若き作曲家の心情をドラマティックに描き出す。『第1公演』と同様に、少々クセがあって、度数は結構高めなのだけど、いい感じに陶酔させてくれる。
演奏が終わって、万雷の拍手の中、メンバー一人ひとりを讃える指揮者オオウエ。潰えることのない喝采は"恒例のアンコール"を要求する。タクトをコンサートマスター、田野倉さんに託して、ステージを飛び出す大植さん。ステージでは恒例の「山本直純編日本の歌メドレー』」。夕焼け小焼け~七つの子~ふるさと、耳に馴染んだ童謡集が演奏される間、コンダクターから客席を駆け巡るパフォーマーへと変身するマエストロ。1階席から2階席、3階席まで駆け上がり、メドレーの終わりにはステージに戻るというオリンピアンばりの快走ぶり。それを眼で追っていて、気が付いたら、指揮者がヴィオラ・トップ奏者の木下雄介さんに変わっているじゃあないか。こちらもオリンピックばりのリレー演奏?!
息つく間もなく法被姿に着替えると、それを待ち構えて、舞台下手に控えた打楽器奏者の久保田善則さんが手にした拍子木をチョン(!)と打ち鳴らす。アンコール・・・というより恒例の、外山雄三管弦楽のためのラプソディー八木節』」だァ〜ッ!!!! 観客総立ち、手拍子の波動がホールを揺るがす。大団円のカタルシス。

ホールから路上に出てもまだ身体が上気しているようで、熱気冷めやらぬ「大阪クラシック最終日」。今年も楽しませて頂きました。さて、来年はどんなパフォーマンスを拝見することが出来るのか。今から一年先を楽しみに、ヨッシュさんと別れて、家路を辿ります。


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