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大阪クラシック2013・第5日 [音楽のこと]

絶賛開催中の『大阪クラシック 〜街にあふれる音楽〜』。一週間ずっと、毎日音楽に浸っていたいが、そうもいかない。今日はその5日目。バリバリの平日なのだが、大阪フィルハーモニー交響楽団の桂冠指揮者にして、『大阪クラシック』のプロデューサであらせられるマエストロ大植英次が登壇する公演が2つもあって、そりゃあもう、仕事どころじゃアないわけで・・・。

 

本日の最終公演、第71公演永遠に語リ継がれる愛の物語』に加えて、突然発表された特別追加公演も我慢出来ずにチケットを買ってしまった!!
特別追加公演は『運命の復活』と題されて、指揮者大植英次ではなく、ピアニスト大植英次となるプログラム。
演目は、
モーツァルトピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467より第2楽章
ベートーヴェン交響曲 第5番 ハ短調運命作品67(ピアノ版)。
エルヴィラ・マディガン」は大植英次のピアノに大阪フィルハーモニー交響楽団のメンバー、井前慶子(Vn)、山田聖華(Vn)、​阪部慎太郎(Va)、藤原昌太郎(Vc)、三井脩平(Cb)で構成される弦楽五重奏を加えた編成で、「運命」は3台6手のピアノ版となって、マエストロの脇を固めるのは昨年の『ピアノ・スペクタキュラー』にも登場した末岡修一郎保屋野美和
第1公演で行われたマエストロからのプレゼンテーションでは、ピアノ3台6手による「運命」は、聴き親しんだ管弦楽版とはかなり趣きが異なるとのことで、L.V.ベートーヴェンがオーケストラ演奏に先駆けて行った非公開初演の再現であるとか。ホールでの公開演奏としては、この公演が世界初演となるらしい。
複雑に交錯する弦部に乱入するクラリネットや飛び出して来るファゴットなど、幾つもの楽器がかわるがわる奏でる"ンタタタ"をどう表現するのか。金管楽器のきらびやかさ、木管楽器のふくよかさ、弦楽器の伸びやかさをどのよう音色で表すのか。管弦楽の迫力をどうトランスクリプションするのかが聴きどころ。
なッ、見逃し難い、やろ!?
もちろん、ピアノ六重奏となるモーツァルトのピアノ・コンチェルトも魅惑的。美しい旋律が、こちらも"タタタ"、柔らかい1拍3連のリズムに乗って、一度聴いたら忘れられない傑作。

そういえば、昨年もザ・シンフォニーホールでのマチネ第45公演を拝見するために休みをとってしまったのだった。『ピアノ・スペクタキュラー』と題されたその公演は、4台のピアノと4人のピアニストによる、ワーグナー(リスト編曲)/タンホイザー序曲ストラヴィンスキー春の祭典のドラマティックな大作2題であった(→記事参照)。
思い出せば、『ピアノ・スペクタキュラー』でのアンコールは「運命第1楽章だった。4台4人が3台3人になってしまったが、もしかして"予告編"だったのでしょうか!?
2011年の第1公演でも、通常の管弦楽版で第1楽章のみ演奏された。未曾有の災害のあとだっただけに"運命に立ち向かえ"ということだったと憶えているのですが、昨年と今年のピアノ版は・・・? マエストロなりの、『大阪クラシック』応援曲ってところでしょうか?
先達て拝見した、「ワンコイン市民コンサート」のうち『Collage Piano ~ Ten Hands Dance on Two Piano』と題された2台10手のプログラムも非常に興味深かった(→記事参照)。
ピアノ二重奏や連弾は、ちょっとアクロバティックでスペクタクル!! それがピアノ三重奏〜四重奏となったら、まさに壮観!!!!

一方、ソワレ第71公演指揮:大植英次 管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団による『永遠に語リ継がれる愛の物語』と題されたプログラム。
演目は、
チャイコフスキーバレエ音楽白鳥の湖」 “終曲より
ワーグナー
歌劇ローエングリン第3幕より
ベルリオーズ/劇的交響曲
ロメオとジュリエット」“ロメオただ一人より
ワーグナー楽劇トリスタンとイゾルテ第1幕 前奏曲
バーンスタイン
交響舞曲ウエストサイド物語より サムウェア
チャイコフスキー
幻想的序曲ロメオとジュリエットより
当初配布されたパンフレットにはニーノ・ロータ映画ロメオとジュリェット」も記載されていたのだが、時間の関係で割愛なったとか。"ロメジュリ"3作とならずちょっと残念ではあるが、何れの楽曲もドラマティックな"愛の物語"、このうえもなくロマンティークなパフォーマンスとなりそうな。

♢♢♢♢♢

上記の有料公演はどちらもザ・シンフォニーホールが会場となっている。せっかく休暇を取ったのだから、今朝一番の公演から巡りたいところではあるが、他が中之島〜御堂筋界隈にあるのに対して、ザ・シンフォニーホールはちょっと外れている。移動がタイヘン。欲張らなくても、有料公演2つで充分満たされる・・・はず。
特別追加公演は12:45開場、13:30開演の予定。それに合わせてホールを目指そう・・・とは思うが、このホール、ちょっと辺鄙な位置にある。電車で行くか、タクシーで行くか、それとも・・・。
昨年は自転車を使って、公演中は折り畳んでクロークに預けさせて頂いた。ソワレだけならそれこそ夜会服でタクシーを乗り付けるのもいいが、昼夜通しとなると、合間の時間つぶしまで考えたら自転車が便利か。

ランチを摂るため、お昼前に出掛ける。最近あまり自転車に乗れていないので、脚がかなり鈍っている。無駄に走れない。ザ・シンフォニーホール近くで、かつ自転車を安心安全に停められて、かつまた喫煙可能なカフェは・・・??
なにわ筋沿いのカフェCafe Largoに滑り込む。
あまり空腹でもないので、週替わりサンドウィッチメニューを選んだが、『厚切りベーコンとチーズのフォカッチャ・サンド』が思いの外ヴォリューミー。アイスカフェラテで流し込む。カップに入れられたマロン味のスイーツともどもお味は結構でございました。
開場時間近くまでタバコを煙にして過ごす。

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開場時間になり、ホール前の公園でBD-1を手荷物にトランスフォームさせての入場。それをクロークに預けて開演時間を待つ。ステージには3台のスタインウェイと弦楽奏者のための椅子がセットされている。ワタシのお席は「1階J列3番」。今公演は2〜3階席は使われないらしい。
予定の時間となって、大植英次が登場。プログラムはモーツァルトから始まる。紹介かたがた5名の弦楽奏者を呼び入れてスタンバイ。導入部は指揮しながらマエストロもピアノの前へ。
今回のピアノ六重奏版はヴィオリスト​阪部慎太郎の編曲によるものだとか。数多くあるモーツァルトのピアノ・コンチェルトの中でも一際人気の高い同曲の美しさは損なわれていない。
マエストロは解説として、旧い旧いスウェーデン映画『みじかくも美しく燃え(Elvira Madigan)』に触れられておられたが、もしかして悲恋物として第71公演に繋がる演目なのか?
ステージ・レイアウトが改められて、3台のピアノが三菱のスリーダイヤ・マーク状に並べられたところに登壇するのはピアニスト二人。真ん中で客席に背中を向けるのがマエストロ。上手(かみて)に保屋野美和、下手(しもて)に末岡修一郎という布陣。
今回のピアノ3台ピアニスト3人での『交響曲 第5番』、ベートーヴェンが管弦楽版を発表する前に非公開で演奏したヴァージョンだとかで、楽聖自筆の楽譜での演奏になるとか。その際に批判を受けたとかでかなり改訂が入り、第6番「田園」と入れ替えて、第5番と改めたのだとか。
聞き慣れた管弦楽版とは趣きは異なる。"ピアノ3台6手による管弦楽の再現"ではなく、"ピアノ3台6手のための交響曲"といったところ。
予定の2曲を終えても鳴り止まない拍手。続けざまにアンコールとなるのだが、モーツァルトからベートーヴェンに進むところでマエストロの衣装が変わっている。古風なロング・ジャケットから第1公演でもお召しになっておられたジョン・レノン譲りのサージェント・ペッパー風ジャケット。もしかしてアンコールは・・・と思ったが、末岡さんから紹介された曲名はグスターヴ・ホルスト作曲『惑星』から「ジュピター」。もちろんこれもピアノ3台6手版。
アンコールが続く。センターのピアノに
保屋野さんと末岡さんが肩を並べた連弾で、ブラームスハンガリー舞曲 第5番(ピアノ1台4手版)。大植さんはと見れば、観客に向って手拍子のリード。興が乗って来たのか、途中から下手(しもて)のピアノで飛び入り演奏!!
ここで二人のピアニストはステージを去って、残るは大植英次ただ独り。オノヨーコを通じて、ジャケットとともに頂いたというジョン・レノン愛用のメガネを取り出して・・・。
ピアノのソロは、レノン=マッカートニーイエスタディ。『大阪クラシック』でビートルズが聴けるとは、びっくりのサプライズ(笑)。もちろん、ピアノ演奏もいいのだけれど、せっかくだから弦楽四重奏を加えて・・・というのは野暮かしらン。
5曲、約1時間の公演でしたが、十分堪能致しました。

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ここで19:30開演の第71公演をじっと待っているわけにもいかない。せっかく自転車もあるのだから他の会場へも行ってみよう。と向ったのは中之島。ダイビル本館では16:00開演の第66公演がフルート、ヴァイオリン、チェロのアンサンブルでハイドン。となりの中之島ダイビルでは16:30開演の第67公演がヴァイオリン2台とヴィオラのトリオでドヴォルダーク
秋暑の昼下がり、気怠い時間に聴くにはディヴェルティメントということで第66公演をチョイス。
フルート:井上登紀/ヴァイオリン:三瀬麻起子/チェロ:庄司拓のお三方で、
ハイドンフルート、ヴァイオリン、チェロのための六つのディヴェルティメント 作品100 よリ 第2番
ハイドンロンドン・トリオより 第1番
ピアノ3台による交響曲に圧倒されたあとの耳に優しい。
アンコールは成田為三作曲「浜辺の歌」。沁みる、沁み入る。去り行く夏を惜しんで泣いたろかしらん!!

終演が16:30。まだ間があるが他の公演に廻るのも時間がハンパ。といって、ディナーには早いし、なにより全然お腹が空かない。中之島界隈でお茶の時間にしてもいいのだが、ここらは駐輪禁止地域。路上駐輪しているBD-1が心配・・・というよりご迷惑。福島界隈へ戻る。

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お馴染みとなった和カフェS'n緑anで疲れた腰を伸ばす。
大和茶夏みかんの羊羹を頂いて、アンコの入ったお餅を頂いて(写真忘れた!!)、お茶を三煎点れて頂いた後の茶葉をおひたしにまでして頂いて、大きく育った金魚を愛でて、小さなお友達(五歳女児)に遊んで頂いているうちに第71公演の会場時間が迫って来る。

再びザ・シンフォニーホール前の公園でBD-1を手荷物にトランスフォームさせて、それを抱えてホールに入場。二度目のクローク、ちょっと呆れられる。
昼公演は1階席だけであったが、夜の公演は2〜3階席まで使われて、それが事前の前売りでソールドアウトしているとか。人気のほどが伺える。
事前入手のチケットは「1階D列19番」、その席を占めて、頂いたプログラム・リストを見てみると・・・、"指揮・ピアノ:大植英次"となっている。ピアノ!? もしかして、プログラムから外れたニーノ・ロータはアンコールでのピアノ・ソロになる・・・か!?
予定されている演目は何れも美しくも悲しい恋の物語。開演時間となってステージは大フォルのメンバーで埋まる。そこに拍手で迎えられるのは女性コンサートマスター渡辺美穂。そして、マエストロ大植英次
1曲目は「白鳥の湖」。物語のあらすじとともに、ハッピーエンド版など別ヴァージョンがある旨マエストロから解説が入り、"白鳥つながり"で2曲目、ワーグナーローエングリン」。音楽史上最多演奏回数を誇るといえば、"ワーグナーの結婚行進曲"こと第3幕から「婚礼の合唱」。
このコンサートは"愛の物語"というくくりだけでなく、各楽曲がなんらかのつながりを持っているとのことで、曲間に解説が入るのだが、いや、オオウエエイジのエイリアン・トークは演奏を聴くより集中力を要する(笑)。3曲目「ロメオただ一人」で物悲しさを掻き立てて、4曲目「トリスタンとイゾルテ」に繋がるなら宇宙語的解説は不要な気もするが・・・。おしゃべりはともかく、この前奏曲は痺れました。5曲目の「サムウェア」がちょっと異質・・・かと思ったら、意外なところで繋がっていたり、プログラム最後のチャイコフスキーロメオとジュリエット」まで、いやお見事な構成でございました。
そして、そのチャイコフスキー/幻想的序曲「ロメオとジュリエット」、2010年の最終公演で拝聴したときよりもココロ打たれました、はい。ゾクゾクするほど。
いやいや、演奏も素晴らしいが、大植英次のサービス精神溢れるトークも面白く、楽曲解説に留まらず、ベートーヴェンの整髪料の話しが出るかと思ったら、お衣装の話題、時にシェークスピアの「オセロ」を演じてみせたり、"ここだけの話し"も飛び出して、エンターテインメントな公演でした。
で、もちろん拍手は鳴り止まず。アンコールはマスカーニ歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ』から間奏曲ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第3幕 前奏曲と続き、ここでオーケストラはステージを去って、残るのは指揮者ひとり。空いた椅子を片付けて、舞台奥からセンターに運び出されたのは1台のピアノ。ニーノ・ロータかと思ったのはワタシの早合点。例のシチョーさんのおかげで実現出来なくなった「星空コンサート」、昨年そこで演奏されたチャイコフスキー序曲1812年」〜ディズニー映画『ピノキオ』から「星に願いを」へと続くメドレー。指揮者大植英次ピアニスト大植英次となった1曲。
昼公演に続き、エンターテイナー大植英次を楽しめたコンサートで御座いました。

興奮冷めやらぬうちに手荷物をBD-1に展開。自宅を目指して走り出そうとしたら、ワタシを呼び止める声がする。誰かとペダルを止めてみたら、そこにおられたのはヨッシュさんではありませんか!? ポコさん☆はお仕事のためお一人でこられてとか。ワタシと違って、自転車はホール横に駐輪されておられた。
しばし、今日の感動を語り合ったり、明後日土曜日の最終公演で再び巡り会うことを約束したり・・・。で、ポコさん☆をお迎えに向かうと言うヨッシュさんと別れて帰宅したのが22時の10分前。
今日はお休みまでとって、万全の体勢で臨んだ甲斐がありました。大満足の一日。明日も・・・と言いたいところではあるが、そこはそれ、大人ですから、明後日の土曜日まで我慢ということで・・・。


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moto_tip_sp

大阪クラシック堪能されてますね。平日は予定がたちづらく夜公演ぐらいですが最終日は楽しみたいと思います。
私は音楽は聞いて落ち着くき楽しむだけですので、中身はそれほど詳しくないのでこのブログは勉強になります。
yosshuさんも忙しい中ですが行けてよかったですね。お元気そうなのはブログ見てるのでわかったましたが(^^;;

では最終日に。
by moto_tip_sp (2013-09-13 07:46) 

yosshu0715

昨日はお世話になりました!!(笑)
お久しぶりにお会いできて嬉しかったです!!(笑)
やっぱりBD-1は目立ちますねー!!(笑)

遅まきながら昨日木曜日からの参戦ですが、第71公演、感動で涙が出ましたよ・・・!!(笑)
昼間のレノンも見たかった・・・!!(笑)

最終日、楽しみですね!!(笑)
今からテンションがかなり高い!!(笑)
by yosshu0715 (2013-09-13 13:14) 

JUN1026

モトさん、コメントありがとうございます。
見逃したくない公演が多いのですが、平日の観覧はなかなか困難。我慢出来ずにチケットを買ってしまったのですが、休暇までとった甲斐はありました。昼の公演も夜の公演も、大植英次のエンターテインメントに浸ることが出来ました。
ヨッシュさんにも出逢うことが出来ましたし(笑)。
残すは最終日。十分楽しみましょう!!
by JUN1026 (2013-09-13 19:56) 

JUN1026

ヨッシュさん、コメントありがとうございます。
久し振りにお逢い出来て、立ち話ですが、お話し出来て、私も嬉しかったです。
第71公演は、演奏も素晴らしいし、マエストロの解説も楽しいし、本当に出向いた甲斐がありましたね。昼間の公演も良かったですよ。
最終日、フィナーレも盛り上がればいいですね。
by JUN1026 (2013-09-13 20:02) 

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