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CollageするPiano [音楽のこと]

今日は、自転車を自宅待機させて、大阪大学豊中キャンパスへの、途中電車を使ったお散歩。「大阪大学会館(旧・イ号館)」でのイベント『ワンコイン市民コンサート』、今日がその開催日で、演目は特別コンサート『Collage Piano ~ Ten Hands Dance on Two Piano』。
PianoCollage? Ten Hands!? Two Piano!? 10手が2台のピアノの上でダンスする!?
五人のピアニストによる、ピアノ・デュオもあれば、連弾(1台4手、1台6手)もあるらしい。女性3名、男性2名が2台のピアノを使って演奏するコンサート。面白そうじゃアありませんか。

 

複数のピアノ、複数のピアニストで思い出されるのは、昨年の『大阪クラシック2012』。その第4日に行われた第45公演。『Piano Spectacular』と題されたコンサートは、「ザ・シンフォニーホール」のマチネで、マエストロ大植英次を筆頭に、ピアニスト4名、ピアノ4台の協奏。荘厳にして華麗、ファンタスティックでスペクタクルな公演であった(→記事参照)。

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今回は、ピアノの台数こそ半減するが、腕の数は増える。2台で、5人で、10手。蛇足ながら、50指!!
"Five Pianists"こと、メンバーは、藤井快哉鈴木華重子パク・伯谷ジェイヨン中井由貴子伯谷直樹。アメリカの大学院で同窓だった5名。以来、親交を深め、昨年アメリカでユニットを結成し、同年韓国ソウルでの初コンサートを行い、今日のこの公演が日本初披露となる。

今日のプログラムは、

フェルッチョ・ブゾーニ:「モーツァルトの『ピアノ協奏曲第19番』のフィナーレによる協奏的小二重奏曲」(2台ピアノ)
アルフレット・シュニトケ:「ストラヴィンスキー、プロコフィエフとショスタコーヴィチを讃えて」(1台6手)
ジャン・シベリウス:「フィンランディア」(2台8手)
フランシス・プーランク:「4手ピアノのためのソナタ」(1台4手)
セルゲイ・ラフマニノフ:「2つの小品」(1台6手)
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:「2台のピアノのためのコンチェルティーノ」(2台ピアノ)
マック・ウィルバーグ:「ビゼーのカルメンの主題による幻想曲」(2台8手)

Collage Piano』のタイトル通りに、演奏形態も多彩なら演奏曲もヴァラエティに富んでいる。ん、『Ten Hands Dance on Two Piano』といいながら、2台10手はないのン?

♢♢♢♢♢

開場が14時30分、開演が15時。それに合わせて、自転車で出掛けるのはあまりに暑い。クルマは乗り入れられない。 最寄り駅が石橋駅となる大阪大学会館には阪急宝塚線で乗り換え無し、約15分で行ける。前後の徒歩を加えても40分弱。
13時過ぎに家を出る。石橋駅に着いて、阪急そばきつねそば。学内のレストランはいずれも日曜日休業、暑い中うろうろ歩くのも辛い。で、今日は駅そば。

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暑い中、熱いそばで腹をこしらえて、待兼山を登る。時間があれば庭園を散策してみたい気もするが、あまりに暑過ぎる。"待兼童子"が微笑む坂を登って、大阪大学会館に至った時には汗塗れ。
開場まで会館横の喫煙所で汗が退くのを待つ。

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館内に入ると、開場前から大盛況。老若男女、以外に小さなお子さん連れも多いような・・・。このコンサートのあと、ピアニスト、Dr.伯谷直樹教授によるマスター・クラスが開講される。有料別料金(¥1,000)で聴講も可能で、課題曲もなかなか魅力的。それがお目当ての方々なのかもしれない。
そちらも拝聴したいが、17時から20時では時間的に無理。諦めて「Five Pianists」に専念しましょ。

定刻通りに開場。前回の注意を受けて、今回はバルコニー席の最前列のセンター席を占める。コンサート・ホールでない同会館は、音の"廻り"がよろしくない。一番キレイに聴こえるのはバルコニー席だとか。

今回使用される楽器は、大阪大学会館常設の1920年製Boesendorfer252に加えて、同じ1920年製のErard。一方はウィーン生まれ、もう一方はパリの産となる2台のヴィンテージ・ピアノ。
黄金時代(Golden Age)とも呼ばれ、ジャズ・ミュージックが花開き、フラッパーが現代の女性を再定義し、アール・デコが頂点を迎えた"狂騒の20年代"。旧き良き時代に造られたピアノは芸術品と呼ぶに相応しい佇まいを見せる。
下手(しもて)に控えるのがBoesendorfer、上手(かみて)に置かれる褐色のピアノがErard
ピアノと女性は、"脚線美"が売り!? 当時の技術の粋を集めて造られたピアノは、ブランドごとに音色も違えば、贅を凝らした筐体もそれぞれに特徴的。大きな本体を支える3本の脚を見れば、どのブランドかが判断出来る。今日の2台も美しい脚を持つ。
何故20年代のピアノを2台揃えたか・・・!? それは、演奏曲目をみれば納得。
2台のピアノの音色の違いを聴き分けようと思えば、1階席でピアノの真ん前がいいのかもしれないが、いやなに、突発性難聴で壊れた耳とはいえ、ここからでも聴き分けられないはずがない・・・はず。

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ステージでは、「フォルテピアノ・ヤマモト・コレクション」調律師によるチューニングが行われている。今回持ち込まれた1920年製Erardも「ヤマモト・コレクション」で修復された1台。開演時間ギリギリまで綿密な作業を続けておられる。

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館内にチャイムが鳴り響いて、コンサートの開演。
一曲目は、美しい女性お二人、パク・伯谷ジェイヨン中井由貴子による華麗なる演奏、「モーツァルトの『ピアノ協奏曲第19番』のフィナーレによる協奏的小二重奏曲」。

2台のヴィンテージ・ピアノの音色の違いは歴然。ウィーン製のBoesendorferは、輪郭のはっきりした、粒立った、際立った音色。一方パリで造られたErardは、柔らかいが闊達で伸びのある音色。
伯谷直樹教授によるたどたどしい日本語のMCに導かれて、壇上にあがるのは「フォルテピアノ・ヤマモト・コレクション」の山本氏。今回、Boesendorferと競演させんがために運んで来たErardの由来を語られる。黄金時代に覇を競い合ったヨーロッパメイドのピアノ同士でないと響き合わないのだとか。コスト優先で造られた今どきのピアノではBoesendorferとハーモニーすることが出来ないとのこと。さもありなん。

二曲目は、Boesendorferに三人のピアニスト、藤井快哉伯谷直樹鈴木華重子が肩を寄せ合ってスタンバイ。『ストラヴィンスキー、プロコフィエフとショスタコーヴィチを讃えて』、アヴァンギャルドなハーモニーが響く。

演奏だけでなく、かわるがわるマイクを移して行われるMCも楽しい。藤井氏に紹介された、1部最後の曲は『フィンランディア』。J.シベリウスの名高い交響詩。これを2台のピアノで、4人のピアニスト、パク・伯谷ジェイヨン伯谷直樹中井由貴子藤井快哉が演奏する。交錯する腕、絡み合う音、圧巻でさえある。マエストロ大植が率いたPiano Spectacular』も圧倒的であったが、こちらの方がより練れていて、音が揃っている。練習時間の違いを感じてしまう。いや、感動した!!

ここで15分の休憩・・・なのだが、その時間も山本氏によるチューニングが行われる。
ピアノは他の楽器と違って、演奏出来るからと言って、調律出来る訳ではない。どんな名演奏家であっても、調律は別。調律師に依頼しないといけない。ん〜、自転車やクルマと同じやね。乗れるからと言って整備出来るわけやない。メインテナンスはプロショップにお願いしないといけない。
とか言ってるうちに15分。

チャイムが鳴って後半のスタート。
四曲目は、フランシス・プーランク作曲『4手ピアノのためのソナタ』を、鈴木華重子中井由貴子が演奏する。使用するのはBoesendorfer252。軽やかに絡まり合う旋律が心地いい。

五曲目、鈴木華重子と藤井快哉パク・伯谷ジェイヨンによる1台6手は『2つの小品』。ラフマニノフ、切ないほどに美しい。

六曲目は、『2台のピアノのための小協奏曲 イ短調 作品94』。ショスタコーヴィチの楽曲を演奏するのは、パク・伯谷ジェイヨン伯谷直樹。ご夫婦だけに息ピッタリ?

プログラム最後の曲は、『ビゼーのカルメンの主題による幻想曲』を2台8手で。伯谷直樹藤井快哉鈴木華重子中井由貴子のプレイ。このコンサートの心地よさは、五人のピアニストが自身楽しんで演奏していることによるのかもしれない。『カルメン』も手拍子したいほど。

飽きることのなく約2時間。まだまだ聴きたい。もっと聴きたい。アンコールをせがむ拍手は鳴り止まず・・・、
演奏されたのが、クロード・ドビュッシー作曲「小組曲」から『小舟にて (En Bateau)』。本来は1台4手連弾で演奏される同曲が2台5名10手で演奏される。涙が出そうなほど美しい。
Ten Hands Dance on Two Piano』、10手2台をアンコールまでとっていたのが憎らしい。

アメリカと韓国、日本と、それぞれに活動の場は異なる5人のピアニスト。"Five Pianists"としてのユニット活動もずっと続けて頂きたいと思う。次の機会があれば、是非是非伺いたいと思った次第。
ボランティアの手で運営される『ワンコイン市民コンサート』も二期目に入り、より親しみやすくて、目が離せない企画が目白押し。他では聴くことの出来ない演目があったり、判りやすい解説が入ったり、スクリーンを使って、音楽と絵画のコラボレーションが行われたりと、面白いプログラムとなってきた。
というわけで、次回6月22日(土)もお邪魔致します。プログラムは『橋本京子リサイタル ~ Bたちが踊るとき・・・』。はたして、"Bたち"とは、何が"踊る"のか・・・!? 乞うご期待。


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コメント 4

moto_tip_sp

市民コンサート結構頻繁に開催されているのですね。
お値段もワンコインと手軽ですしいいですね。機会があれば一度いってみたいと思います。その前に体の回復が先ですが(^_^;)
阪急そばもいいですが、石橋周辺もランチの店何かないですか。また開拓してレポ期待しています。
by moto_tip_sp (2013-06-17 06:17) 

JUN1026

モトさん、コメントありがとうございます。
「ワンコイン市民コンサート」も二期目に入り、観客も増えて、盛況なようで、頻繁に開催されるようです。昨日は同企画始まって以来の大入りだったそうです。
事前予約も簡単ですし、当日入場も可能なようですので、一度行ってみて下さい。
石橋駅周辺、商店街はあっても入りたくなるような店は皆無。少し離れれば、それなりの店があるようなのですが、炎天下歩く気が起こらず。自転車であれば、多少離れた所でも行けるのですが。
次回は土曜日ですので、阪大キャンパス内のレストランやカフェもオープンしているはず。そちらをレポートします。
by JUN1026 (2013-06-17 07:12) 

yosshu0715

1920年製のピアノって、一体どんな音がするんでしょう!?(笑)
めちゃ聞いてみたい!!(笑)

そして2台10手・・・!!(笑)
想像もできません!!(笑)
by yosshu0715 (2013-06-17 16:28) 

JUN1026

ヨッシュさん、コメントありがとうございます。
BoesendorferもErardも深みのあるいい音でしたよ。もっとちゃんとホールで聴きたいと思いました。
そう、2台のピアノに5名のピアニストで10手。私も最初驚いてしまいましたが、こんなコンサートは他に例がないと思い、出向きました。
「ワンコイン市民コンサート」は、他所では聴けない演目があったり、面白いプログラムが目白押し。おすすめです。
by JUN1026 (2013-06-17 19:54) 

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