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千年ロマンス ~ 「源氏物語 - 遊興の世界 -」展 [散歩・散走]

「源氏物語」と言えば、平安時代中期の京都を舞台に、紫式部が著したとされる長編物語。千年を経た今も色褪せないその王朝文学をテーマにした展覧会「源氏物語 - 遊興の世界 -」展が池田市にある逸翁美術館で開催されている。芸術の秋、たまには雅びで絢爛豪華な美の世界に触れようと出掛けてみることに・・・。

 

桐壺帝と桐壺更衣の間に生を受け、幼少の頃から輝くばかりの美貌と才能に恵まれた"光る君"の栄華と苦悩の人生、光る君を取り巻く多くの女性との逢瀬を描き、その後の彼の子孫らの有り様まで続く長編小説は、いまも「古典の中の古典」として広く愛読されている。
ワタシも柄に無く折に触れて千年のロマンを繙くが、もちろん原文は読み難く、多くある現在語訳を選ぶこととなって、谷崎潤一郎訳、円地文子訳、田辺聖子訳、橋本治訳、瀬戸内寂聴訳から漫画版となる大和和紀の「あさきゆめみし」まで読み漁った。分けても熟読したのは与謝野晶子訳。インターネットの電子図書館「青空文庫」に収蔵されているので、Palm/Clieの頃から現在のiPhone4Sまで、電子版を絶えずポケットに入れて持ち歩いている愛読の書。『桐壺』から『夢の浮橋』まで、その全てをいつでもどこでも開くことが出来るのがデジタル版の強み。三度といわず、四度、五度と通読しても飽きることがないのは、この作品の面白さによる。

= = = = =

その「源氏物語」から、特に物語りに描かれた「奏楽」、「舞楽」など「遊興」に注目し、屏風や画帖など絵画化された作品を中心に、雅びな世界を展示しているのが池田市にある逸翁美術館で開催中の「源氏物語 - 遊興の世界 -」展。
今月15日から12月2日までが会期となっているが、前期、後期と二期に分かれ、途中に展示替えがある。重要文化財となる「伝土佐光起作『源氏物語絵巻 末摘花』」も拝見したいが、それは後期のみの展示。他にも見てみたい作品もあってどうしても2度出掛けないといけないようになっている!?

そろそろ涼しくなってきて、今週は大阪を飛び出して源氏物語の舞台となった京都をポタするつもりでいたが、台風も接近しているようで空模様も気掛かり。早朝5時前にiPhoneの中で「あめふるコール」が雨の近付きを告げるから、今週の京都は諦め、池田市の逸翁美術館までのポタとした。

2012092901.PNG


176号線を北上すれば迷うことはないが、評価が芳しくないiOSアプリ「maps」で確認してみる。
建物名称による検索は苦手なようだが、「逸翁美術館」はサーチすることが出来て、ルートを示してくれる。ナビゲーションの精度も悪くない。検索で見つけることが出来ない目的地は予め「Contacts」に登録しておけばそこまでのルートを得ることが出来るので、地図としては"すっとこどっこい"ではあるが、ナビ・アプリだと思えば使えなくはない。AppleのCEOが謝罪を表明したそうだが、近いうちに改善されることを期待しておきましょ。
自宅から美術館までは約13kmでポタには頃合いの距離。帰りが雨となっても阪急宝塚線で帰ることも出来る。開館時間の10時に合わせて、9時を少し回った頃に自宅を出発。

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予定通りに美術館に辿り着いて、駐輪場にBD-1を停める。館内に持ち込もうかとも思ったが、施錠さえしておけば大丈夫だろうと屋外放置。
逸翁美術館はマグノリアホールという小さな音楽ホールも併設されていて、そちらは時折訪れるが、美術展示室は初めての訪い。

展示される品数こそ多くないが、金箔、金泥も目映い屏風や色鮮やかな画帖が目を楽しませてくれて、雅びな世界に浸ることが出来る。詳細な解説も添えられているので、モティーフとなった「源氏物語」のストーリーを思い描くことが出来る。

逸翁美術館での「源氏物語」展に合わせて、隣接された池田文庫では「宝塚歌劇の源氏物語」展が同じ期間開催されている。
宝塚歌劇で取り上げられた様々な「源氏物語」を紹介する展示で、舞台写真やポスターなどの資料で華麗なるタカラヅカ・ゲンジの世界を知ることが出来る。

タカラヅカというと、母との想い出。レヴューを観覧する母に連れられて宝塚大劇場へほぼ毎月出掛けたのは遠い想い出。幼心にもキラビやかで華やいだ舞台は多少興味を惹かれた。少し長じてからは、ワタシ達子供は宝塚遊園地へ放し飼い(?)にされて、母達だけが大劇場へと赴いたのだが、お行儀良く観覧席に腰掛けているより子供達だけでアミューズメント・パークを好き勝手に駆けずり回れる嬉しさ。宝塚に出掛けるというと、他にはない特別な楽しさがあった。
あの頃母と一緒に観ていたレビューに「源氏物語」があったかどうかは記憶にない。舞台の様子を映す写真やポスターを見ても思い出せないところをみると、タカラヅカによる王朝絵巻はワタシのメモリーの中にはないんでしょうね(と遠い目)。

逸翁美術館と池田文庫、小林一三記念館は一枚の共通チケットで巡ることが出来るので、これからの行楽がてら、華麗にして幽玄な「源氏物語」の世界に触れてみては如何でしょう。会期は12月2日まで。次は紅葉の頃に行ってみようかな。

= = = = =

さて、「源氏物語」は現在語訳も多く、タカラヅカに留まらず、過去に映画化、舞台化が繰り返されたきた。漫画版やアニメまであった。

女たちよ 沢田研二.jpg


その中でも変わり種と思えるのは、沢田研二の20作目となるオリジナル・アルバムとして1983年に発表された「女たちよ」。収録される10曲は全て「源氏物語」をモティーフとしたコンセプト・アルバム。全曲が、作詞:高橋睦郎/作曲:筒美京平/編曲:大村雅朗で、演奏はEXOTICSとなっているが、ジュリーの作品にしては珍しく松武秀樹によるコンピュータ・プログラムが全編を支配している。通常のロック編成のバンドでは「源氏物語」の典雅な世界観を表現するのに適さない、といって生のオーケストラでもないとの判断か。
詩人である高橋睦郎が、「源氏物語」を歌えるのはジュリーしかいないと惚れ込んで企画されたコンセプト作品で、歌詞もかなり官能的。沢田作品というより高橋睦郎のアルバムといってもいい。それをジュリーのアルバムとするために当時のLP盤には鋤田正義の撮影によるジュリーのセミヌードなポートレートが収録されたブックレートが添えられていた。ジュリーのポートレートに高橋の詩や短文が書き添えられて、目で見ても、耳で聞いても「源氏物語」の世界。
残念ながらLPは実家に置いて、手元にない。手元にあるのはiTunesからダウンロードした音源のみ。
「源氏物語」全54帖を読むには秋の夜長といえども足りないが、「女たちよ」なら約40分。ミヤビでエロティックな世界に耳から浸れる!?

この秋は、ちょっと気分を変えて、「やまとごころ」、「 もののあはれ」に親しんでみるのもよろしいかと存じまする。
光る君のような女性遍歴を重ねてみたい・・・とも思うけれど、うちの奥様は"葵の上"どころか"六条御息所"なみに悋気のヒト。「若い頃に散々遊んだんでしょ!? 今更浮気なんかしたら生霊となって祟るわよ♡」と仰るので、夜遊びもほどほどのほどほどに・・・。嗚呼。

しのぶれどあはれなるかなこいごころ 妬みのいとにしばらるるとは

本日の結果
走行距離:30.07km
走行時間:01:47:48


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コメント 4

moto_tip_sp

こんにちわ
今日は天気との戦いでしたね。
池田は長年川西に住んでいたので昔はよく行ったのですが、最近はすっかり変わっているのでしょうね。
jojoさんはポタリングのときいつもテーマを持っているので楽しいでしょうね。私のように闇雲に走るだけでは(^^;;。私も何かテーマを決めて走ってみようかな。
by moto_tip_sp (2012-09-29 22:10) 

JUN1026

モトさん、コメントありがとうございます。

今日は早起きして京都まで向かおうかと思ったのですが、5時前から「あめふるコール」が泣き出したので、諦めました。
池田市にある逸翁美術館は時折伺うのですが、自転車では初めて。自宅から北摂方面を目指すとじんわり登り、ちょっとめげそうになりますが、川西〜池田〜箕面辺りをポタするのも面白そうですね。

テーマというか目的がはっきりしていないと、モチベーションが上がらないし、ブログのネタにもしにくいので・・・(汗)。走ることが好きな、根っからピュアなサイクリストじゃあないのでしょうね(笑)。
食事制限しているだけに買い食いや外食ポタはしづらいし、それだとBD-1&BRO乗りの某さんとかぶってしまうので、私はイベント・ハンターに徹します。
某さん、ごめんなさい。
by JUN1026 (2012-09-30 00:13) 

某ッシュと某コさん☆

どうも!!某さんです!!(笑)

僕もテーマを決めて走る派で、同じ待ちでもテーマによって切り口が変わるので飽きないですよね!!(笑)
満足感も高いし、走っていても楽しく感じます!!(笑)
多分気が多いだけかも知れませんが・・・(笑)

僕も「あさきゆめみし」読んでましたよ!!(笑)
大和和紀は「NY小町」もお勧めです!!(笑)

逆に田辺聖子は僕は「枕草子」の方でお世話になりました!!(笑)
後、橋本治の桃尻語訳「枕草子」とか・・・(笑)

以前、大津の石山寺にポタしたときに、紫式部が源氏物語を書くときに使った硯が展示されておりました!!
紫式部が浮舟を書いたのが、石山寺だったんだそうです・・・!!

ホントにその硯を使っていたのかどうか分かりませんが(笑)、めちゃめちゃ感動しましたよ!!(笑)
なんだかんだ言って、源氏物語、好きなんですね!!(笑)
by 某ッシュと某コさん☆ (2012-09-30 17:54) 

JUN1026

某ッシュさんと某コ☆さん、コメントありがとうございます。
ポタを多角的に楽しもうと思うと、毎回テーマを決めて行くのがいいですね。仰る通り満足感が違います。

漫画や小説がもっとiPhone/iPadで読めればいいのですがねェ。まァ、そうなると持ち歩きたい物が多過ぎて、容量が32GBや64GBくらいじゃあ足りなくなること必至ですが。

石山寺所縁のお宝、特に重要文化財となる「伝土佐光起作『源氏物語絵巻 末摘花』」は後期だけの展示。拝見するためにもう一度美術館に向かわないといけません。
by JUN1026 (2012-09-30 20:13) 

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