サクラサク [散歩・散走]
久しぶりにBD-1Rと共にJR京都線での輪行。向かうのは山崎駅だが、目的地は大山崎山荘美術館でも天王山でもなく・・・。
年明けから心配事や葬いごとが続いて、「サクラサク」と浮かれている場合ではなかったが、ようやく気遣わしい事柄も幾つか片付いて、そうしたら矢も盾もたまらず今日の輪行ポタリングとなった。花の命は短くて・・・、機会を逃すのが惜しい。
日の出とともに自宅を後にして、JR新大阪駅から京都線で輪行。下車したのは京都府の外れ、山崎駅。
改札口を出たのが午前7時の少し前。気温はひと桁で、吐く息も白く見えて、走ると指先に冷たさを感じるが、麗らかな春らしい陽射しが誂えたように心地よくて、風も穏やか、申し分のないポタリング日和・・・としておこう。
そこから自走すること約7㎞。最初の目的地は淀。
淀城の堀跡なのか、京都競馬場の南側、宇治川と桂川をバイパスするように設けられた淀水路の脇、遊歩道に沿って植栽されているのが今日のお目当てである河津桜。
静岡県伊豆半島の河津町発祥の早咲き桜は関西では見掛けることは少なく、ここも京都唯一なのだとか。まァ、大阪でも見ることはないのだが・・・。
カワヅザクラは、オオシマザクラとカンヒザクラの自然交雑種だとかで、ソメイヨシノなど他の品種に先駆けて、1月下旬〜2月ごろに開花する早咲きの桜。少し盛りは過ぎたようでもあるが、他の品種と違って、開花時期が一ヶ月ほどと長く、まだ十分に麗しげ。
7時を少し回ったところとあって、カメラを提げたヒトもちらほら見掛けるが、それもごく疎らで、お散歩途中のワンコと遊べるくらいに長閑かで静か。
カメラ目線頂きました(笑)。
桜花を観ているだけで春めいた気分になって寒さもしばし忘れるほど。気がついたら8時近くで、そろそろヒトの往来も増えてくる。
いつもは綿密にコースを計画するワタシではあるが、今日はほとんどノープランで、地図すら真面に見ていない。今日はこちらともう一箇所にお花見することだけを予定して、どこを走るかすら考えていない。その、もう一箇所の開苑時間は午前9時。そこも伏見区内で距離は約7㎞ほどだが、そろそろ向かった方がいいのかしらン?!
・・・と、河津桜に続いてのミッションは、しだれ梅と椿。その立ち寄り先は城南宮。そこの神苑で開催中なのが、その名も『しだれ梅と椿まつり』・・・ってそのままですな。
オープンは9時だと、摂末社の梅や椿を眺めながらのんびりしていたら、まだ閉ざされたお庭の入り口には早くも行列が・・・。完全に油断しておりましたな。
その行列に連なって、開苑の時を待つ。
引越・工事・家相の心配を除く「方除(ほうよけ)の大社」でもある城南宮は、都の守護と国の安泰を願って、平安遷都の際に京都の南に創建されてから千二百余年。城(平安京)の南に位置することから城南宮と呼ばれる。
年2回、「曲水の宴」が行われる神苑「楽水苑」は、春の山、平安の庭、室町の庭、桃山の庭、離宮の庭、5つの区画で構成され、しだれ梅、椿、桜、藤、躑躅、青もみじ、秋の七草や紅葉に彩られ安らぎの庭となっていて、四季折々の風情を味わうことが出来る。2月18日から3月22日の期間開催中なのが『しだれ梅と椿まつり』。会期をあと10日ほど残すが今が一番の見頃であるらしい。
時間となって、苑内に足を運ぶと、そこはまるで別世界。150本あるというしだれ桜が今を盛りと咲き誇り、溢れ返らんばかり、こぼれ落ちそうなほど、鮮やか、艶やか。
咲き始めから6分咲きの梅を探しながら春の訪れを感じるを「探梅」、150本のしだれ梅が咲き誇る圧巻の景色を鑑賞するのを「観梅」、散りゆく様子を惜しみながら桜咲く春を待つ散り始めの時期を「惜梅」と呼ぶのだそうな。今は「観梅」から「惜梅」の頃か、人出も多いが、枝々を多くのメジロが忙しそうに飛び交う。ウメにはウグイスではなかったか?!
一方、椿はというと、こちらはそろそろ見頃を終えて、30種ほどで300本あるという木々のうち、花を残しているのは半数ほどか。それでも、各々が色とりどり、花弁の様子も異なって、其々に美しい。
ツバキは花弁が個々に散るのではなく萼と雌しべだけを木に残して丸ごと落ちるのが特徴で、それが一面の緑なす苔の上に置かれた風情は、印象的というより何やら象徴的で、苔の緑と惜梅の薄紅色の花びらと落花椿の深い紅色、そのコントラストは絵画的。
絵画的というより映画的?! 1962年公開のクロサワ作品を思い出してしまう泉水に落ちた椿の花。泉水の近くには椿は見当たらず、流れがあるのにそこに落ちた花は流れないで・・・、何やら作為的?幻想的ということにしておきましょうか。
幻想どころか、馬さえも酩酊させてしまうという馬酔木。有毒成分はグラヤノトキシンI(旧名アセボトキシン)、アセボプルプリン、アセボイン、ジテルペン、アンドロメドトキシンで、毒部位は、全株、葉、樹皮、茎、花。毒症状は、血圧低下、腹痛、下痢、嘔吐、呼吸麻痺、神経麻痺。間違っても、クチにしてはいけません。
予定のミッションは終えてしまって、さて、どうしましょ?
城南宮では毎日、巫女神楽が奉納されているそうで、『しだれ梅と椿まつり』期間中は「梅ヶ枝神楽」となって、梅の花を冠にさした巫女が、梅の枝を手に持ち御神楽を舞うのだそうな。その開演(?)前にちらっと、装束を身につけた巫女さんの姿を盗み見てみるが、本番(?)は見物人が多そうだから次の機会に譲ることにした。
十分過ぎるくらいにこの時期のお花は堪能したが、走り足りない。最寄りの駅から輪行で帰宅するには早過ぎる。と言って、この時間から京都市内の観光スポットを巡るには、ヒトもクルマも多いと思われる。ハンドルを南に向けて走り出す。
次に脚を止めたのは、白壁と黒板塀が連なる酒郷、伏見の名水を使った酒どころ。この界隈も桜が多く観られるがさすがに時期尚早。重くて嵩張る酒ビンを提げて帰るわけにもいかない。ほぼ素通りに、幕末期に活躍したとされる土佐藩郷士ゆかりの旅籠を掠めて、京阪本線・中書島駅。その駅前でBD-1Rをパッケージ・モードにトランスフォームさせて、淀屋橋行きの特急に乗車したのが午前11時過ぎ。これなら正午までに大阪市内へ戻れる。
慌ただしいようで、意外にのんびりと花を楽しむことが出来た早春の輪行ポタリング。今日はひと足早い「サクラサク」。「散る」、「落ちる」という禁句も解除されたことではあるし、来週〜再来週も桜、お花見ポタに出掛け・・・られる・・・かな?!
本日の結果
Mx.:38.5km/h、Av.:14.4km/h、Dst.:38.42km、Tm.:02:40:01
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