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ひみつのおにわ [散歩・散走]

五月はGWもある中あまりお休みも取れなかったのですが、忙しくしていたせいか、遊びに行けなくてもそれほど鬱々とすることもなく、かえって急かされるようで、忙殺・・・までは言わないけれど、そちらで息が詰まりそう。
最後の日曜日くらいは気散じに出掛けます。
予定されていたイベントが軒並み沙汰止みになったとて、それも今更、休日の過ごし方くらい自分で決めて、きょうの街散歩。


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祇園を抜けて、鴨川を渡って仁王門通りから神宮道との交差点。大きな大きな鳥居が目印の岡崎公園
園内には「京都ミュージアムズ・フォー(Kyoto museums 4)」のうちの二つ、京都国立近代美術館と京都市京セラ美術館が差し向かいに在って、動物園まで併設するのだけれど、それらは何れも休館、休園、再開の見通しすら立たないようで・・・。
「きょうのミュージアム巡り」は当分出来ないでしょうから、その間は「きょうのお庭散策」のみにとどめ、今日はその広大な敷地内に宏闊なご神域を構える平安神宮を訪ねます。

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1895(明治28)年に平安遷都1100年を記念して、首都移転を成した第五十代桓武天皇をお祀りする神社として創祀された、古い社寺の多い京都にあって、随分と新しい神社本庁の別表神社。
ご一新の際にミヤコを東京に移しちゃったから、平安京を定めた桓武天皇に対するリスペクトでもあるのでしょうか。
平安時代には六勝寺・・・六つの巨大寺院があった故地に新造された大社は大極殿(外拝殿)、応天門(神門)、蒼龍楼、白虎楼、歩廊、龍尾壇などで構成されて、桓武天皇が開かれた当時の平安京の正庁、朝堂院が約5/8の規模で再現しているのだという。今でも壮大だと思えるのに、一千年前はこの1.6倍の大きさというから驚いちゃう。
1940(昭和15)年に孝明天皇が合祀された際に増築が為され、その多くが重要文化財、あるいは登録有形文化財となっている。
京都三大祭りのひとつ、『時代祭』でも知られる。

・・・が、参拝が目的ではなくて・・・、

国の名勝にも指定されるお庭、平安神宮神苑が本日のお目当て。
社殿を取り囲むように配置されたお庭は、東神苑中神苑西神苑南神苑の4区画からなり、総面積が約33,000㎡(約10,000坪)の広大な池泉回遊式庭園となっていて、それらは明治時代の造園家、七代目・小川治兵衛らが20年以上の歳月を費やして造り上げたもので、琵琶湖疏水から引き入れた水路は栖鳳池蒼龍池白虎池となって、それがお庭の約1/4を占めて中枢を為す。
春には八重枝垂桜、秋には紅葉、冬には雪景色。夏を迎えた今、最盛となるのが池畔に咲く花菖蒲と池面に浮かぶ睡蓮

お花との出逢いは一期一会。
見頃を迎えた時に折良くお休みが取れるかどうか。そこへ赴くことが叶うかどうか。ましてや、今は外出もままならない・・・とされている。
こちらが休暇を取れて時間が出来ても、閉園、休園となってはどうしようもない。お花は待っていてはくれない。花の命は短くて・・・。
春のシダレザクラも見送って、「折鶴」と命名された光格天皇のご遺愛となる杜若も拝見することが叶わなくて、夏の訪れに合わせた訪問、水辺に咲くハナショウブスイレンの鑑賞となった次第で。
もうひとつの夏の花は来週・・・に(行けたら)窺う予定になっている。

今年は、桜の開花が早くて、それに歩調を合わせるように藤や躑躅も早まって、梅雨入りも随分と早くなって、竹の秋にも気付かず、fiolire(花月)に笑む薔薇さえ忘れて、我に返って夏は眼の前、水辺のお花が恋しい季節。

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平安神宮神苑
のエントランスは大極殿(外拝殿)に向かって左手、西側にあって、入ったところが南神苑に当たり、出迎えるようにそこにあるのが「里帰りの桜」こと八重紅枝垂桜。
元は京都御苑内近衛家に庭先に在った糸桜を津軽藩主が国許に持ち帰り、それが東北一帯に広まったことから、1895(明治28)年にこのお庭が造られた際に仙台市長から返礼として贈られて、「里帰り」なのだとか。
もちろん今は花弁を散らせて蕊も落として、青々とした葉が朝の光に輝くばかり。サクランボは成ったのかしら・・・?

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其処此処に棚なども組まれてはいるのだけれど、様々な草木が幾らか野趣を感じさせるようなレイアウトで、お庭の散策であって、ちょっとした森林のような佇まい。足元には水路が流れ、何処からともなく鳥の囀りも聞こえて、森林浴だとかマイナスイオンだとかの効果のほどは判らないけれど、感覚的には癒されるような、荒みかけた気分がリセットされるようにも思える。
オープン直後の入苑、まだ誰も触れていない空気も凛と澄み渡って。

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順路に沿って行くと、南神苑には少し場違いな明治の遺物。
平安神宮の創建と同じ年、1895(明治28)年に運行されることとなった、日本初の電車営業運転、京都電気鉄道の車両が朽ちるがままに置かれて(放置?)、小さな森のようなご神苑に異界感を添える?
ヒトを攫って行く鬼が出て来てくるんじゃない?

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それを横目に進んで行くと西神苑で、目の前には鬱蒼とした樹々が取り巻く白虎池
その畔にはピンクやパープルの花菖蒲、水面に丸い葉っぱと浮かぶのは睡蓮。どちらもまだ盛りには至っておらず、それはもう少し先でしょうか。見頃となる頃には池に八つ橋が架けられて、ハナショウブスイレンの競艶を楽しむことが出来るそうなのですが、ワタシ的には初物感の高い咲き始めに、混雑回避で、secret gardenならぬavoid congestion garden、避密(ヒミツ)のお庭が宜しいようで。

片や蓮(ハス)とともに、浄土に咲くという蓮華。片や古くから愛玩されて、園芸種としてヴァリエーションを増やした花菖蒲。ここにも約200品種、2,000株もあるという。花数こそまだ少ないものの、禅味を帯びた風趣が水景に映えて、爛漫たる春のお花にも引けは取らないように見受けられます。
ハナショウブが耽美なら、スイレンは唯美。一方が奇しい色香を誇れば、他方は楚々とした美白で応える。
何より、水辺に映える(生える)というのが、これからの季節にピッタリでしょ。

時節柄もあって避密(ヒミツ)、圧倒するほどにお花が溢れかえるより、これくらい控えめな方が落ち着けていいかもしれません。森林浴やマイナスイオンより、眺めているだけで心が安らぐような、乱れた自律神経が整うような、そんな感じ・・・ですかねェ。

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順路に沿って、細い水路を遡るように歩めば中神苑で、そこにも池泉が造られて蒼龍池
そして、それは東神苑栖鳳池と繋がる。
2つの池がL字型にひとつながりで、中神苑東神苑を結ぶ。

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そこにも花菖蒲睡蓮は観られるのですが、もう少し早い時期ならそれに先駆けて杜若。
「折鶴」と名付けられたその品種は光格天皇(1771年09月23日〈明和08年08月15日〉 - 1840年12月11日〈天保11年11月18日〉)ご遺愛のカキツバタだそうで、だとしたらここがまだ六勝寺であった頃から根付いていたことになる?!
第119代の天皇でご在位が 1780年01月01日〈安永8年11月25日〉 - 1817年05月07日〈文化14年3月22日〉。ざっくり240~50年前。カキツバタやハナショウブが鑑賞用の園芸植物として、各地で競うように品種改良が盛んであった頃。「折鶴」はその名が示す通り細く鋭利な形状で深紫と白とがコントラストする花弁が特徴。
拝見したかったのですが、間に合わなかったようですね。

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で、今の時期は花菖蒲睡蓮
蒼龍池栖鳳池で眼に留まるのはそうしたお花だけでなく二つの橋(?)と1棟の楼閣で、ひとつは「臥龍橋」と名付けられた飛び石風の橋(?)、ひとつは御所から移築された「橋殿」、同じく御所から移された「尚美館」という名を戴く貴賓館。
池の中ほどには亀島鶴島が浮かび、それらを取り囲むように八重紅枝垂桜や椿、皐月など多くの植物が植えられ、遥かに望む東山を借景とする。

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「臥龍橋」

臥龍橋」の元になっているのは太閤秀吉が増田長盛に命じて造営させた三条大橋と五条大橋の礎石で、それらが架け替えられる際にこちらに移して”臥したる龍”に仕立てたもの。
この橋渡るな・・・ということも無く往来自由なれど、今日のワタシの出で立ち(超厚底靴)ではキケンが危ない。横合いから撮影するだけに留めます。
一休さんや牛若丸もビックリやわ?!

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「泰平閣」と「尚美館」

京都御所から移された「橋殿」はその名も「泰平閣」。別称を「楓殿」とする、木造寄棟重層造の屋根付き橋で、欄干はずぅ~ッと縁台のような設えで、風雪を避けてそこから水面を見渡すことが出来るようになっている。
京都のお庭の池に架かる橋にはこうした屋根付きのものもそこそこあるのですが、中央に鳳凰像までトッピングして、ひときわ立派な造り。
橋の向こう側は平安神宮会館で、こんな朝早くから結婚式があったようで、艶やかな衣装の花嫁さんを囲んで若い参列者による撮影会の真っ最中。ワタシは撮影も控えて、邪魔にならないようにすり抜けて・・・。

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禅寺の端正なお庭とは風情が異なり、より自然に近いバイオトープ的な佇まい。植物だけでは無く、鳥類や魚類、昆虫たちまで育むような生物生息空間。それでいて、春の桜から秋の紅葉、雪景色さえ絵になるようにデザインされて、明治~大正期に小川治兵衛さんらによって作庭された頃からそのままなのかどうかは分かりませんが、変わらないようで変わってしまっている京都の岡崎公園の中にこんな静謐な空間が残るのがまた良いではないですか。
方丈の縁側に端座して枯山水のお庭を眺めるのも良いのですが、お休みの日のお散歩は、Secret GardenをAvoid Congestion Gardenとする秘密で避密の逍遥で。心身ともに癒されますよ。


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癒しよりもクチ卑しい?
花より団子?
お昼も近くなって、気温も上がって、そろそろ脚休めを兼ねてランチ・タイム。
今日もお気に入りのパティスリーでブーランジェリー、LIBERTÉ PÂTISSERIE BOULANGERIEに伺います。
昼食として用意されたメニューからお肉を、「Filet de poulet rôti façon croûte avec sa sauce vin blanc 鶏むね肉のロースト、バジルのクルート風 ~ヴァンブランソース~」を選んで、食べ放題のパンが付くからアイス・ティーを追加。
今日はオマケでソルベが付けられて、「宇和島ミカンのソルベ」。
急性胃腸炎で緊急入院して以来(?)、身体が小麦粉を受け付けなくなって、小麦がダメになったのか、グルテンが中るのか、死ぬほどお腹が痛くなっちゃうので、パンやパスタ、うどんに揚げ物は極力摂らないようにしているのですが、元々がパン好き、パスタ好き、無性にそれらが食べたくなることがあって、止せばいいのに欲張って食べ放題ですよ。
明日の健康より今日の愉楽(ゆらく)、快楽(けらく)。明日のことは明日考えます。
我慢するより、行きたいところに出掛けて、食べたいものを食べて、したいことだけしようと考えます。
で、来週はあじさい寺。きょうの夏の庭に遊びます。


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きょうのニャンコ?!

LIBERTÉさんのエントランスで番犬みたく控えるのはヤノベケンジ作「Ship's Cat」シリーズに繋がるオブジェ。ドラちゃんとかハローなんとかよりも・・・。

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