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羞花な(?)舞踊の集い [音楽のこと]

今日は池田市、大阪大学豊中キャンパスにもほど近い浄土真宗本願寺派のお寺さん、正福寺に参ります。
と言っても、何やら仏事というわけではなく、『初春 ジャワ舞踊の集い』という催しがあって、ワタシが踊る・・・訳でもないのですが、その集まりの中にはどうも見知ったお顔も見られるとのことで・・・。


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正福寺
さんにはこれで三度目の訪い。
最初は一昨年の11月に行われた『報恩講』の時(→記事参照)。
『報恩講』とは何でしょうと思っていたら、まさか、救主阿弥陀如来と宗祖親鸞に向けて、読経とともにジャワ舞踊が奉納されようとは。その意外性に驚かされて。
後半は本堂から隣接されたナムのひろば文化会館に会場を移しての影絵芝居。
二度目は同じナムのひろば文化会館での『harfday Wayang』(→記事参照)。半日の長丁場でのワヤン・・・影絵芝居。
何れも、ジャワ伝統の踊りや影絵芝居で、その伴奏となるのはジャワ・ガムラン 。

クロード・ドビュッシーが若い頃にパリで開催された万国博覧会でガムランに触れて影響された云々かんぬん。
その影響から彼の作品に及ぼされた作用、それを研究(というほど大仰でもないけれど)、読み解こうとガムランの体験教室に通いだして早三年。月に一度のワークショップ通いとともに、それを主催されるジャワ・ガムラン・グループ「Dharma Budaya」のコンサートを追っかけてみたり、定期公演となる大阪大学の大学祭では演奏に参加させて頂いたり。今ではドビュッシーをそっちのけで、インドネシア伝統の音楽にハマってしまっている次第。
Dharma Budayaの演奏に客演される演奏家、コラボレーションされる舞踊家の方々のパフォーマンスも都度拝見させて頂いて、万博会場通いしたフランス近代音楽の作曲家とガムランの関係性が読み解けた・・・つもり。
ワークショップでの演奏に際して提示されるバルンガン(balungan)・・・ガムランの楽譜は、その伝統音楽の骨格を為しているとのことであるのだけれど、数字だけで示された骨格は西洋音楽では言わば弦部に当たり、記譜されていない肉付きが装飾音。それぞれがとてもシンプルな楽器でありながら、それらの音色が多様に組み合わされることによって生み出される調べは素朴なようで底知れぬほどの深みがあって、とっつき易いようでいて極めるのは困難で、そこが面白いところ。かのフランス人作曲家は深みにハマる前に退いちゃったのね。

・・・とまァ、小難しいことは置いといて、今日は伝統的で優美なダンスから眼福を頂戴することに致しましょう。

初春 ジャワ舞踊の集い』は、インドネシア・ジャワ舞踊のうち、ジョグジャカルタ様式とスラカルタ様式合同の発表会・・・とのことで、近隣のダンス・グループ、ダンス教室の踊り手が集結し、その2つの踊りをご披露くださるようで、ガムラン関係のイベントに伺う度に拝見したお貌が殆ど。その中には「日曜ガムラン」でご指導くださる方々もおられるから、そりゃあ冷やかしに行かないわけにはいかないでしょ。

ジャワの踊りは揺蕩うようなゆったりとした動きが複雑に組み合わされた振り付けで、ガムラン同様、地域や王宮ごとのスタイルがあり、それが今に伝わり、ジャワだけでなく広く世界に伝播して、今日はここ北摂にお集まりになられたのが男女合わせて総勢15名。

本堂に隣接する庫裏が受付で、14h00の開演の少し前にワタシがそこに着いてみれば、直前にゲネラールプローベ、ドレスリハーサルを終えたばかりなのでしょうか、色とりどり、艶やかな衣装を纏った踊り手さんたちがもうスタンバイされて本番開始を待ちながらご来場者様方(ワタシもその一人)とご挨拶。
踊りの会場となるご本堂の、外陣が舞台となって、コの字の広縁に観客席が並ぶ設え。一段高い内陣は仕切りが開いて須弥壇の御本尊、阿弥陀如来像が見える。当然ながら、全然インドネシア・ジャワっぽくはないのだけれど、これが不思議と踊り手さんたちの衣装とマッチして。
ジャワ更紗(バティック)はインドを起源とし、同じインド発祥の仏教施設と相照らすものがあるのでしょう。トラディショナルな拵えと型通りの設えが調和して、煌びやかな装身具と金色に輝く須弥壇が照り映えて、全然違和感がないようにも見える。

客席のひとつを占めて、配られたパンフレットに眼をやる。
今日ご披露される演目7題の簡単な解説がついて、それを演じられるダンサーのご紹介。何れも、古都ジョグジャとかつてマタラム王国の都であったソロの宮廷に伝わる由緒正しき伝統舞踊。

パンフレットと一緒にインドネシアのお菓子が配られたりと和やかな雰囲気の中、パフォーマンスに先立ってご挨拶と演者のご紹介。合わせて、ジョグジャカルタとスラカルタの様式の違いやそれぞれの衣装のご説明。これがちょっとした撮影会みたいになっちゃって・・・。

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半裸な男性もおられるのですが、それでさえ眩ゆいような装身具を着けて、女性陣に至っては「沈魚落雁閉月羞花」、古典画に観るような、「沈魚美人」、「落雁美人」、「閉月美人」、「羞花美人」・・・あれ、これでは人数に足りませんな。中国でもないし・・・。まァ、誰がどうとはあえて申しませんが何れアヤメかカキツバタ、まさに花も羞じらうほどに何方もお美しくて・・・。キミは薔薇より麗しい??
今時のファッショナブルなコレクションとは違って、ごくトラディショナルな出で立ちは内に隠した気品と艶を表現させてしまうのでしょう、佳麗にして婉美、端麗明媚。maybe(メイビー)?!
これだけヨイショしておいたら、今度お逢いした時には何か貰える?
冗談はともかく、金色に輝く須弥壇を後光のように、神々しくも燦然として、思わず拝んじゃいそう。南無阿弥陀仏、ナムアミダブツ。
脇間を閉ざす襖に描かれた蓮池と相まって、于闐王国の妙善姫、妙音姫、妙元姫とも見受けられる(あッ、また人数が足りない)。パルナッソス山に住むとという文芸の女神たちムーサ(ミューズ)・・・でも人数が・・・。

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さて、いよいよ舞踊のご披露は(以下、敬称略)、
1. ゴレッ クニョ ティヌンベ 〈ジョグジャカルタ様式〉 (佐々木あるむ、佐々木宏美、竹田敦子、谷口あかり、西田有里)
2. ラントヨ プトゥリ 〈スラカルタ様式〉 (明日香郁子、近藤チャコ、松田仁美)
3. ガンビョン パレアノム PKJT 〈スラカルタ様式〉 (西岡美緒)
4. クロノ アルス ジュンクン マルデヨ 〈ジョグジャカルタ様式〉 (坂口裕美子、Rofit Ibrahim)
5. グヌン サリ 〈スラカルタ様式〉 (Jas Rudi Purwant)
6. スカル プディヤストゥティ 〈ジョグジャカルタ様式〉 (村岸紀子)
7. モンドロサリ 〈マンクヌガラン様式〉 (岡戸香里、濱田真美)
の7題。

浅学菲才なワタシには様式の違いすら見抜けなくて振り付けが意味するところに理解が及ばないのですが、大人の女性へと変貌していく様を描いたり(1.)、古典ジャワ舞踊の基礎が詰まった踊りであったり(2.)、豊穣祈願を表していたり(3.)、王子との遠距離恋愛に焦がれる女性がいたり(4.)、麗しい王女の気を惹くためにおめかしする王子がいたり(5.)、祝い事、祝宴のための踊りであったり(6.)、弓矢を使った戦闘を模っていたり(7.)、ソロ(独演)があるかと思えば2から4名でのグループでの踊りとヴァラエティに富んで、それぞれに相応しいお衣装も見事で、何よりやっぱりお美しい。
キレッキレな激しい動きで身体能力の高さを見せつける訳でもなく、やはりインド伝来のヨーガを思わせるようなポージングやユッタリと流れるような所作は、躍動感というより静かな律動。ストーリー性があって、ロマンティークでもあり少々エロティックでもあり、目紛しく動く訳でもないので、観ている此方はそのはんなりしたジェスチャアにリラクセーション、癒しを得る想い。ですが、それぞれが10~20分のパフォーマンスで、体幹から下肢の筋肉に効きそう(⁈)、鍛えておかないと腹斜筋やヒラメ筋がピクピク・・・してたでしょ?!
ロマンティック・バレエや今様ならば「VOGUE(ヴォーグ)」に近しいような様式美。まさに眼福、眼の保養。たっぷりと堪能させて頂きました。
今回は場所や員数の都合からか生演奏ではなかったようですが、音楽と振り付けが完全にシンクロナイズしているという訳でもなさそうなので、シンセサイザーやリズムマシン、コンピュータ・プログラミング・トラックを使った現代音楽とのコラボレーションも面白いかも(と我田引水)。同じインドネシア伝統の音楽と比べても視覚から入る刺激はよりエキサイティングで、他の音楽と合わせても引けは取らないんじゃないかしら。

またの機会があれば、是非拝見したいと思う次第。次回は何時?

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