SSブログ

お寺でHalfday Wayang [散歩・散走]

今日は池田市・・・月に二度ばかり通学している大阪大学豊中キャンパスの近く・・・にあるお寺さん、正福寺の境内に設けられたナムのひろば文化会館を訪ねます。
キャパシティ150席のホールと文化教室用の部屋からなる会館で本日催されるイベントは・・・。

IMG_3814.jpg
593407125.758865.jpg
593407177.367656.jpg

ビンタンララス自主企画/ジャワ影絵芝居ワヤン公演 デウォルチマハーバーラタより『生命の水を探して』」。
ワヤン・・・ジャワ伝統の影絵芝居をメインイベントとして、ジャワ・ガムランの演奏に舞踊も添えられ、さらにはインドネシア料理と雑貨のブースも出展し、13h00から17h00まで催される「ハーフデイワヤン」。
現地では、夕暮れから夜通し、朝まで続けられるという影絵芝居。ここではそうもいかないので、お昼間に半日コース。それでも十分に長丁場・・・でしょう。
ご出演されるのは、ジャワ・ガムラン楽団「ビンタンララス」を中心に、応援演奏は「コンチョコンチョ」、ダラン・・・影絵芝居の人形遣いにはローフィット・イブラヒムさん、スミヤントさん、アナント・ウィチャクソノさんの三名、ゲスト参加はさとうじゅんこさん、舞踊を担当するのは「ウィジャヤクスマ」から西岡美緒さん、友情出演まで交えて、出演者の総数は十数名、20に迫ろうかというところ。
ご縁があって、ワタシがジャワ・ガムランのワークショップに通うことになって、今まで何度か関連イベントにも脚を運びましたが、こういう形態で、それも4時間もの長時間。
ワークショップでお世話になっている方が幾人かご出演されておられることもあって、応援なのか、冷やかしなのか、とにかく観に行かなくちゃと、随分以前に予約済み。

IMG_3828.jpg
IMG_3829.jpg
IMG_3830.jpg
IMG_3832.jpg
IMG_3831.jpg

ワタシが正福寺ナムのひろば文化会館に着いたのは、11h50ごろ。開場は12h00となっていて、開演までは十分に時間があるのですが・・・。
この公演のために、バティック/インドネシア雑貨販売の「Myaman」と「Inchbyinch」、京都・祇園四条のインドネシア料理店「バリバリインドネシア」が出張出店。会館に調理施設がないからか、熱々の、手の込んだ料理は望めないのだけれど、それがかえって屋台っぽくて、アドミッションに付けられたフードチケットでセットメニューを頂くことが出来るとのこと。
そこに並ぶのは、インドネシア風おにぎり(?)の「ナシクチン」とインドネシアの焼き鳥(?)「サテ」や揚げ物「ゴレンガン」で、おにぎり1個と串焼き又は揚げ物1つに揚げ菓子「クルクップ」が付いて、それが基本のセットメニュー。
ナシクチン」は辛いのから辛くないもの、5、6種類用意されて、揚げ物メニューも種類豊富でドレにしようか悩んじゃう?!

IMG_3833.jpg
IMG_3834.jpg
IMG_3835.jpg

鶏づくしになりそうですが、サンバルの赤い色に惹かれて『AYAM 鶏肉』と書かれた「ナシクチン」とかき揚げ風の物をチョイスして・・・。
いかに少食なワタシでも、これではちょっと足りな過ぎ?! 開演を待つ間も無く、最前列の座席を確保するとともにそれらをペロリと平らげて、おかわりの追加オーダー。

IMG_3836.jpg

サテ」の定番物な焼き鳥(串焼き)と鶏肉ソーセージとチキンナゲット、鳥・鶏・チキンの串3本・・・って、どんだけトリ好きなん?! 
インドネシアン・ビールやソフトドリンクも用意されていたのだけれど、現在消化器官が絶賛故障中であまり水分を摂れないので・・・。

593407177.367656.jpg
IMG_3841.jpg

そうこうするうち、ステージ前に設えられたオーケストラ・ピット(?)、事前にガムラン・セットが並べられた艶やかな緋毛氈に演奏者がスタンバイ。客席にも見知ったお顔がチラホラ。予定された時刻通りに開演です。
ハーフデイ ワヤン」となっていますが、影絵芝居の前に先ずは序曲か前奏曲。ご挨拶からガムラン演奏が数曲披露されて、青銅製楽器の表面で、意外にも柔らかなサウンドに乗って自由電子と光子が躍るのを、その少し不安定な音の波に金属光沢が揺らぐのを観ていると酩酊とも違う、イプノティスムに惑わされるような不思議な感覚に陥って。ええ、ビールも呑んでないのだけれど・・・。

IMG_3837.jpg
IMG_3839.jpg

夢見心地になったところへ追い打ちを掛けるように、続いてはジャワ舞踊
もう何度拝見したのでしょうか。その度に魅了されている次第で、そのコレオグラファーが表現するものはまだ理解しきれないのだけれど、ゆったり伸びやかに差し出される指先や足先、その所作が示すものはまだ識れないのだけれど、その風雅な立ち振る舞いを拝見しているだけで癒される想いがいたします。

IMG_3855.jpg
IMG_3856.jpg
593407228.782532.jpg

踊り手さんがバックヤードへ下がった後もガムラン演奏は続き、その演奏の最中、ノー・インターヴァルでワヤン・・・影絵芝居の準備が進められます。事前に用意されたスクリーンに光源となる電灯が取り付けられて、伝統のワヤン
ワヤン・クリ。極彩色が施された牛革製の人形を使った影絵芝居で、一度の上演に際して多くの人形が使われるのですが、意外にもその遣い手・・・ダヤンは独りっきり。操演も、それぞれの台詞やト書きに当たるナレーション、さらには脚まで使って効果音、全てを一人で賄っちゃう。今日は特別に、三名のダランでのリレー形式?
それを盛り上げるのはBGM、ガムランの演奏。
演目は、極ポピュラーに、インドの古代叙事詩「マハーバーラタ」からデウォルチのお話し。
"A long time ago in a galaxcy far,far away….”で始まるサーガよりももっともっと壮大なストーリーの中のエピソード。古代インドに於けるルーク・スカイウォーカー的な(?)ピモの冒険譚。パンダワ族五兄弟の次男が森の奥深く、海の底深く、「命の水」を求めて旅するドラマ。
敵対するコラワ百王子の師ドゥルノパンダワ五王子の師でもあって、いわばオビワン・ケノービ的な?
それぞれが込み入った事情、設定を持つ登場人物。それらがワンサと出てくる「Star Warsマハーバーラタ」。何しろ世界最長の物語りとされて、荒唐無稽にも程があるってほどで、人間だけではなく神様や妖怪までお出ましになられて、デウォルチピモに宿る内なる神。”フォースが共に在らんことを(The Force will be with you, always)”・・・的な?
パンダワと敵対し、滅ぼそうと画策するコラワ族(祖父を同じくするピモの従兄弟たち)の陰謀を阻止し、「命の水」を求める旅は苛酷を極め、森の木々を引っこ抜いたり、大きな岩を転がしたり・・・森林破壊行為とも思える先には鬼が潜んでいたり。
その鬼さん二人は、実は天界の兄弟神で、不始末の結果鬼に変えられ下界へと追放処分、罰が解かれる日を待つ姿。暗黒面に堕ちちゃったアナキン的な?
まァ、アメリカ製のスペースオペラに例えると余計ややこしくなるかもしれませんが、そういったイメージの(?)、戦いの様相を呈しながら、世界の創生からその終焉までを描く宗教的で哲学的で神話のような叙事詩。ピモ五王子と敵役の百王子はともに第3世代。始祖を同じくしながら妬み妬まれ血で血を洗いする中で、オビワン・ケノービからルーク・スカイウォーカードゥルノ師からピモに与えられた試練が「命の水」探し。長大なサーガの中の『Episode IV A New Hope(エピソード4/新たなる希望)』といったところでしょうか。

IMG_3864.jpg
IMG_3865.jpg
IMG_3866.jpg
IMG_3867.jpg

三名のダヤンから、先ずはローフィット・イブラヒムさん。本来はジャワ語で語られる叙事詩も今日は日本語吹き替え版で、長丁場ですから気楽にご覧くださいと始まります。
客席からだとスクリーンの背後から観る形となって操演風景も一緒に観られる人形劇で、舞台の上に上がればスクリーン越しの影絵芝居、とリヴァーシブル仕立て。
歴史的で神話的な大叙事詩もアドリブたっぷりな半ば即興劇になって、小さなお子さんから年配の方まで楽しめるようになっています。客層に応じても変化するようで、時にお子様向きになったり、adult-oriented指向にしてみたり。天界の兄弟神が鬼として下界に落とされたのも女神の太腿に眼が眩んで×××・・・ということですから、今日はお寺さんという場所柄控え目なのでしょうが・・・、原典は至る所にエロ要素が!!
幾つもの人形が入れ替わり立ち替わり、声色もそれに連れて変化すれば、BGMとなるガムランも激しくなったり穏かな調べに変わったり飽きさせない趣向。オーディエンスも客席からステージへ、カメラやスマートフォン片手に行ったり来たり・・・。

IMG_3868.jpg

人形遣いがスミヤントさんに変わった中盤は「ゴロゴロ」・・・と呼ばれる幕間の休憩時間、いわば間奏曲でしょうか。ジャワの様子が語られるかと思うと日本語でのダジャレを交えたナゾナゾが出されたり、打ち合わせ無し(に見える)出演者や楽器の紹介かたがた演奏指示があったり、フリー・セッションのような状況で、その無茶振りに対応しながらのパフォーマンス、困惑しているように見えて、振られた演者さんたちも楽しんでいるようにも思えたのですが・・・。

IMG_3869.jpg

リレー・ダランのアンカー(?)は、アナント・ウィチャクソノさん。影絵芝居も本筋に戻って、ピモの大冒険は森を出て海へと至り、その底深くで彼は生きる意味を知ることになるのですが・・・。
彼が海底深く潜れるのは、彼のお陰で鬼から神へと復帰出来た兄弟神から貰った指輪に込められた神通力によるもの。ピモは彼の内なる神デウォルチと対峙することで解脱するも、その安否を気遣って駆け付けたドゥルノ師との邂逅から、師が裏切ったと勘繰るコラワ百王子の長男ドゥルユドノとの全面戦争に突入することになってしまう。
森の鬼に変わって、海の中ではドラゴン(?)、龍が登場し、ピモと闘うかと思うと彼を諭しちゃうし、スペクタクルというか、ファンタジー過ぎて付いて行くのが大変ではあるのですが、なかなか深みがあっていいストーリーだと思います。(多少日本語がたどたどしいのは仕方ないながらも、)軽妙な語り口のお陰で熾烈な争いや陰惨な謀りごともそれほど重くは感じません。
マハーバーラタ」を原点としながら、その登場人物やエピソードを借りての翻案。かっちりとした台本とかもなくて、ダヤンのアドリブによるところが大きいのでしょうね。それに付属する音楽も即興的なインプロヴィゼーション。フリー・セッションというか、村のお祭り、縁日での出し物的なノリで、気楽に楽しむのがいいのでしょうね。こんなきっちりとレヴュウしてる場合じゃない?!

とまァ、ノリノリなリレー・ワヤンは予定された時間を過ぎて、終演が17h30ごろ。それが長いと感じないほど愉しませて頂きました。観る方も大変(?)なら、搬入、セッティング、さらにはお片付け、撤収までされて演者はもっとタイヘンだったのではないでしょうか。毛氈に座布団があるとはいえ、冷たい板張り床の上。冷えて神経痛・・・あッ、そんなお歳じゃあない?! 失礼いたしました。
伝統的でありながら、その日その時の気分でフレキシブルに変化する面白さ。何回観ても飽きることのない愉楽。次の機会にもまた脚を運ばせて頂くと思います、多分。

IMG_3871.jpg

ご出演は、
ダラン:ローフィット・イブラヒム、スミヤント(ゲスト)、アナント・ウィチャクソノ
ガムラン演奏:ビンタンララス(近藤チャコ、坂口裕美子、佐々木宏実、東山真奈美、西岡美緒、西田有里、松田仁美、山下奈美)
友情出演:ジャス・ルディ・ブルワント、スラメット・スプリヤント、ミヤント
ガムラン演奏:コンチョコンチョ(竹田敦子、谷川原恵美、稲田弘晃、棚橋慶恵)
舞踊:西岡美緒
歌:さとうじゅんこ(ゲスト)
の皆さん(敬称略)でした。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント