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L'impressionnisme et au-delà [散歩・散走]

「Group of Twenty Summits」だとかで、主要国首脳会議Group of Sevenを筆頭に、EU、ロシア、新興国11か国の計20の国と地域からエライ人たちとその取り巻きやら小役人やらが挙ってOSAKAに来るらしく、交通規制が敷かれたり、何やらバタバタするみたい。数日前から、大阪市内では警察車両や警察官を多く見掛けるようになって、関係者を載せたらしい黒塗りの車が規制の中を我が物顔で走り抜けて・・・。
煩いのは敵いまへんえ、と逃げ出して、Les aventures du nerf optique。


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屋上にいた「美かえる」は・・・?!

今日は兵庫県立美術館を訪ねます。
同ミュージアムで06月01日(土)から07月21日(日)までを会期として開催されているのが「特別展 印象派からその先へ 世界に誇る吉野石膏コレクション」。
建築資材で知られる吉野石膏株式会社が抱える近代絵画コレクションのうち、創業の地、山形県の山形美術館に作品を寄託しているフランス近代作品選りすぐりの巡回展で、キャッチコピーは『モネに、ルノワールに、セザンヌに、会う』となっているのですが、それ以外に、コローを起点として、シスレードガカサットピサロに、ゴッホピカソブラックボナールマティスローランサンユトリロキスリング、et cetera、エトセトラ、錚々たる顔ぶれがズラリと並んで、最後がシャガール。その総数、72点。なんだかとってもバブリーで大盤振る舞いなイベントですな。
近代絵画の先駆けとなったバルビゾン派から始まって、印象派、さらにその先のフォーヴィスムキュビスムエコール・ド・パリまで、近代から現代に掛けての、パリが芸術の首都であった華やかな時代を彩った絵画がズラ~リ。
日頃から血中仏蘭西人濃度128%、フランス近現代芸術を好むと公言し、このブログでも度々それらの作品が公開される音楽会や展覧会をご紹介してきたのですから、見逃すわけには参りません。

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平日の朝一番、開館直後とあって、ゆったりのんびり鑑賞出来たのですが、展示ホールは大きく3つのセクションに区切られて、
1章 印象派、誕生 ~革新へと向かう絵画~ The Birth of Impressionism: Painting Heading towards Innovation
2章 フォーヴから抽象へ ~モダン・アートの諸相~ From Fauvism to Abstract Art: Aspects of Modern Art
3章 エコール・ド・パリ ~前衛と伝統のはざまで~ L’École de Paris: Between Avant-garde and Tradition
と、ほぼ時代の流れに沿った展示となっていて、さながらフランス美術史の中を歩くよう。

最初のセクションで出逢う巨匠たちは、
ジャン・フランソワ・ミレー(Jean-François Millet 1814年10月04日 - 1875年01月20日)
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot 1796年07月16日 - 1875年02月22日)
ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet 1819年6月10日 - 1877年12月31日)
エドゥアール・マネ(Édouard Manet 1832年01月23日 - 1883年04月30日)
ウジェーヌ=ルイ・ブーダン(Eugène-Louis Boudin 1824年07月12日 - 1898年08月08日)
クロード・モネ(Claude Monet 1840年11月14日 - 1926年12月05日)
アルフレッド・シスレー(Alfred Sisley 1839年10月30日 - 1899年01月29日)
ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir 1841年02月25日 - 1919年12月03日)
エドガー・ドガ(Edgar Degas 1834年07月19日 - 1917年09月27日)
メアリー・スティーヴンソン・カサット(Mary Stevenson Cassatt 1844年05月22日 - 1926年06月14日)
カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro 1830年07月10日 - 1903年11月13日)
ポール・セザンヌ(Paul Cézanne 1839年01月19日 - 1906年10月23日)
フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh 1853年03月30日 - 1890年07月29日)

2章に居並ぶのは、「野獣派」、「立体派」を掲げた奇才たち。
ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault 1871年05月27日 - 1958年02月13日)
ピエール・ボナール(Pierre Bonnard 1867年10月3日 - 1947年1月23日)
アンリ・マティス(Henri Matisse 1869年12月31日 - 1954年11月03日)
アルベール・マルケ(Albert Marquet 1875年03月26日 - 1947年06月13日)
モーリス・ド・ヴラマンク(Maurice de Vlaminck 1876年04月04日 - 1958年10月11日)
アンリ・ルソー(Henri Julien Félix Rousseau 1844年05月21日 - 1910年09月02日)
ジョルジュ・ブラック(Georges Braque 1882年05月13日 - 1963年08月31日)
ジョアン・ミロ(Joan Miró i Ferrà 1893年04月20日 - 1983年12月25日)
パブロ・ピカソ(Pablo Picasso 1881年10月25日 - 1973年04月08日)
ワシリー・カンディンスキー(Vassily Kandinsky 1866年12月16日 - 1944年12月13日)

パリ派」を代表して、3章には、
モーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo 1883年12月26日 - 1955年11月05日)
マリー・ローランサン(Marie Laurencin 1883年10月31日 - 1956年06月08日)
キース・ヴァン・ドンゲン(Kees Van Dongen 1877年01月26日 - 1968年05月28日)
モイーズ・キスリング(Moïse Kisling 1891年01月22日 - 1953年04月29日)
マルク・シャガール(Marc Chagall 1887年07月07日 - 1985年03月28日)

・・・と、フランス近代芸術のオールスター戦やァ!!!! ・・・的な。

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印象派」や「野獣派」、「立体派」、「ナビ派」、「素朴派」などと分類はされていても各々がそれぞれに超個性的で、一部にスペインやロシア、アメリカ出身者も在るものの何れも活躍の場はパリで、十九世紀末から二十世紀前半、いわゆるベル・エポック(Belle Époque・良き時代)のおフランスのエスプリまで感じられるよう?

ワタシが最初にフランス近代芸術にハマっちゃったのは、それこそバブリーな俄か景気に世界中がフィーヴァーしていた頃でしょうか。
株式や不動産など資産の過度な高騰からあらゆるものが投機の対象になってしまって、美術品も多くオークションで取引されて、日本の企業や個人もバブルの恩恵によってこれらフランス近代絵画が相当数買い入れることになり、そのおかげで実物を直接眼にする機会も増えました。
それ以前、もっと多感だった頃にジャン・コクトー(Jean Cocteau 1889年07月05日 - 1963年10月11日)の映画を観てしまって、ベル・エポックなパリに憧れたことも一因でしょうか。
さらに遡れば幼少期に買ってもらった画集か何かで古典から近代の絵画作品をひと通り眼にする中で、何だか分からないままにピカソモディリアーニに心惹かれていたような・・・遠い旧い記憶。
それからウン十年・・・。
実を言うと、流石に最近少々食傷気味。バブル期に多く輸入されたこれらフランス近代絵画はそれぞれに巡回展を重ねて、眼にする機会も増えて、近隣でそのエキシビションが開催される度に脚を運んで、毎回新しい発見もあって見飽きるということはないのだけれど、好みはこれらの先、よりコンテンポラリーなものへ移りつつあるところ。
でも、ね。
現代美術も近代という素地があってこそ。現代の抽象画もいきなりアブストラクションしちゃったわけではなく、近代の曖昧模糊とした筆致からより霊的な部分を抽出したものだと感じます。
こうして多くの作品が時代に即して並べられるとその作風の変遷から美術史上のトレンドの移り変わりを実感出来ると同時に、ワタシの興味が近代から現代へと移ろいつつある理由も自己分析出来て、それはとても有意義で、漠然と好き嫌いでもいいのでしょうが、何故好むのか、どこに興味を惹かれるのか、何がワタシを魅了するのか、美術作品を眼にすることでセルフ・アナリシスまで出来ちゃうのが面白かったり、興味深かったり。
もちろん、それらの作品自体、いつ観ても、何度見ても、美しいと感じられるし、その度見方も少し変化して新しいことを見出せたり、新鮮味を失わないのがフランス近代絵画。

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「芸術(アート・art)」は、作者(やイベンター、プロモーター)がそう宣言するものではなく、時代的価値や画力の優劣でもなく、カンバスの大きさや使われる絵の具の量でもなく、ましてやオークションで付けられた単価でもなく、鑑賞者がそう感知、認知するものだとワタシは考えます。その作品をワタシがどう捉えるか、どう受け止めるか、芸術性とはその感銘の度合いだと考えます。それと対峙することで鑑賞者の心柄を映し出す鏡と認識します。あるいは知覚を研ぎ澄ませてくれる砥石のようなもの。シナプスだかニューロンだかを刺激してくれるAwakening Drugおクスリ的な。
より刺激を与えてくれるものを求めて、古典より近代、モダンよりもコンテンポラリーへと興味、関心が移っていっているのでしょうね。
自然界にある、例えばお花の造形美。シンプルなようでいて、とても複雑な美しさ。それに感じる芸術性。
Les aventures du nerf optique - ワタシにとっての「視神経の冒険」は、美術館の中、カンバスの中だけでは無いのですが、暑い時にはお花を求めて野に出るよりもエア・コンディショナーで空調されたミュージアムで、天然美より人工美。
印象派」の筆触分割色彩分割や「新印象派」にみる点描はガクアジサイの中の両性花のようでもあるし、マリー・ローランサンの描く「五人の奏者(Five Musicians)」はパステル・ブルーからピンク色へと遷る、ドガの「踊り子たち(ピンクと緑)(Dancers Rose and Green)」は柔らかな色合いを滲ませるホンアジサイの花(萼)の色。
のちの大判連作に連なるモネの「睡蓮(Water-Lilies)」の初期作品もあって、28人のアーティストが描く72点の作品はまさに百花繚乱の様相。

構図的には歪みもあって、日照りに炙られた陽炎の揺らめきにも似て、平衡感覚が少し怪しくなって、観ていると酩酊したような気分にもなる作品もあるのだけれど、比較的明るい色で描かれたものが多くて、夏の日の午睡の夢を思わせるようでもあって。ベル・エポックの泡沫は、ビールの”神泡”、シャンパンのバブル。平日にお休みを取っての、バブリーな昼酒の心地いい酔いみたいな。
超大作と呼ばれるようなものは多くないのですが、さすがに72点も観ていると酔いが回ってしまいそうで、無事に家まで帰れるかなァ。

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72点の展示作品の中で、やっぱり、これが一番好き。「サン=ジェルマンの森の中で(Sous-Bois dans la forêt de Saint-Germain / Claude Monet 1882)」

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おまけの一枚(6枚?)は、希望の象徴「輝く太陽」を手に「芸術の館」の海側に立つ、ヤノベケンジ作「Sun Sister」写真集。

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