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五月病と六月の花 [散歩・散走]

バラ色のジャージ「マリア・ローザ(Maglia rosa)」を賭けた自転車ロードレース「Giro d'Italia」も絶賛開催中の薔薇月、五月だというのに、元号改定と「いちょう祭」でのガムラン演奏という大仕事(?)を終えたあと、体調を崩し、咳と鼻水が止まらなくなって、おまけに高い熱まで出て三日間ほど寝込んでしまい、ゴールデンウィークは仕事に費やしつつ、その後病欠してしまうという体たらく。
どうも季節の変わり目・・・というか、急激な気温の変化に弱くなったようで・・・。


思い返せば、「突発性難聴」で耳が壊れちゃったのが10年前の12月と3年前の1月。2年前には「急性胃腸炎」で意識喪失、三日間の入院と自宅療養でGWをマルッと潰したり、どうも季節の変わり目・・・というか、急激な温度の変化に対応出来なくなってきているようで。
緩やかな四季の移ろいが、地球温暖化だかなんだかの影響で、ほぼ”寒い時季”と”暑い時季”の2シーズン制に移行したみたいになっちゃって、暑熱順化、寒冷馴化が追いつかないのでしょう。
ほぼ一日中エア・コンディショナーで温度管理が行き届いたマシン・ルーム(マシン優先で設定温度は20度)に籠っているのだもの、ひと昔前なら暖房と冷房のスイッチングでその合間にオフもあったのでしょうが、今やフルオートの全自動、一年中オンにしたままの同じ温度に身体が慣れちゃって、それで外に出ると外気温との差でカラダが変調するのでしょう。「冷房病(クーラー病)」というけれど、全部オートマティックになったせい、「エアコン病」もしくは「体温調整不全症」とでも改めないといけないんじゃないか?!
「男性更年期障害」でもあるのでしょうか、体調の衰えがハンパ無くて、心臓の約1/3が正常に機能していないらしく、胃腸もストレスから弱ってしまって腫れたり膨れたりしているらしい。自律神経も大きく乱れたうえに心肺機能と消化器官が壊れちゃったせいで、血液が作られない、筋肉が作れないで血行不良。血の巡りが悪いものだからアタマはボーッとするわ、目眩はするわ(これは耳の影響もあるかも)で超絶不調!!
まァ、ねェ。自分で言うのもなんですが、不規則で不安定な生活で、不用心、不躾、不心得、極度の不安が募って不眠が続いたり。今時大きな声で言えない喫煙者ですし。
咳と鼻水がようやく治ったのが昨日、今日のこと。なんのことはない、五月のお仕舞いとともに、体調も(若干の)回復。「五月病」か?

根本はストレス(と加齢)が原因であるらしく、リラックスすることが何より肝要と言われても、ねェ。
音楽や芸術に憩いを求めても、つい聴いたり観たりするにつけ、美とは何、アートとはどうしたものか、作風は如何にと考えてしまう。考えて自分なりの解答を得ないことには受け入れられない性分になっちゃったのでしょう。で、考える音楽から感じる音楽へシフトするためにガムランを始めたりもしたのだけれど・・・。

シフトといえば、もうぼちぼち”寒い時季”から”暑い時季”への変更も完了したのでしょうか。
とはいえ、これからジメジメする梅雨が控えて、その後は身を焼かれるような猛暑、酷暑が控えている。今のうちに少しずつ暑熱順化しておかないと焼け死んじゃう?! 熱中症は五月病より恐ろしい。少しでも自転車に乗って筋力増強、血行促進を心掛けないといけない。

と、今日は特別休暇。
で、下手な考えを巡らせるより、身体を動かして血の巡り、さて何処へ行こうかと考えて、季節を感じさせてくれるもの・・・お花を巡る散走。
不規則、不安定な生活で気候の変動に対応出来なくなっての体調不良。激変する気温、体感する暑さ、寒さより確実に季節を感じさせてくれるものを観ることで身体を・・・というよりアタマを順応させようという作戦。
薔薇月だというのに、バラ園はアンネのバラの教会に一度訪ねたっきり。他には行けてなくて、探せばまだ咲いているところもあるのでしょうが、ここはちょっとだけ先取りして、六月の花、菖蒲を尋ねます。

異常気象だなんだと言われて久しいのですが、それでも花や植物たちは芽吹く時を弁えて、散り際も心得ていて、春のお花は梅、桃、桜に菜の花、藤と順番通り、五月には春薔薇が見頃を迎えて、その規則正しい営みに(少しだけでも)肖ろう、見習うべき。

梅、桜、藤ときたら・・・、花札(花カルタ)では五月は菖蒲(アヤメ)。

で、ややこしい菖蒲
花札で五月は菖蒲なのですが、これが実はアヤメのことであって、ショウブではないらしい。
何れがアヤメカキツバタ・・・というくらい、アヤメカキツバタハナショウブの見分けが難しく、アヤメ科アヤメ属アヤメ種アヤメ(学名:Iris sanguinea)は漢字を当てると菖蒲(文目綾目)。
同じ菖蒲を当てるショウブ(学名:Acorus calamus)はAPG体系ではショウブ目ショウブ科ショウブ種で漢名は菖蒲であるが、正しくは白菖と書くのだそうで、漢方薬に用いられる菖蒲は近縁種のセキショウのことを指す。
カキツバタ(燕子花杜若、学名:Iris laevigata)はアヤメ科アヤメ属カキツバタ種、そしてハナショウブ(学名:Iris ensata var. ensata)はアヤメ科アヤメ属ノハナショウブ種
古くは現在のアヤメ科アヤメではなく、ショウブのことをアヤメと呼び、アヤメ類の総称としてハナショウブアヤメと呼ばれる。
古名はあるわ、DNA解析が進んで分子系統学が発展したおかげで植物の分類体系が見直され、1998年に新しく公表された「APG体系」ではゲノム解析による実証的な分類体系に変わってしまうわ、もう訳が分からない。1から勉強し直さないといけないんじゃない?
カキツバタの漢名「杜若」も本来はトジャクと読んでヤブミョウガのことであるらしい。
ワタシ、ニホンゴ、ワカラナイデス?! いっその事、今後は全部、学名で呼ぶことにして欲しいくらい。
アタマが痛くなってきましたね。尾形光琳が描いた「紙本金地著色燕子花図」も本当にカキツバタなのかどうか怪しくなっちゃう?!

ともかく、近隣にはアヤメ園だとかカキツバタ園は見つけられず、菖蒲園ならポタリングで行ける距離に幾つかある。アヤメカキツバタは5月で、ハナショウブは6月初旬が見頃。たとい見分けがつけ難くても季節のお花には違いない。

自宅から一番近い菖蒲園大阪市旭区城北公園内にある城北菖蒲園
自宅から南東にほぼ真っ直ぐで、菅原城北大橋で淀川を跨いじゃったらその脚元が公園の敷地内。片道約6キロメートルの距離。
今年は05月17日から開園となって、菖蒲もそろそろ見頃を迎えて、明日と明後日、06月01日(土)と02日(日)の両日は「城北公園フェア2019」開催が予定されている。通常の開門時間は09時30分で、フェアの両日は08時00分に繰り上げられるようなのだけど、公園内で「全国地ビールフェスティバルinあさひ」、「ええもん!うまいもん!フェスティバル」、「ステージイベント」も催されて、凄い混雑が予想されて、自転車も安全安心に駐輪出来るかどうか分からない。
地ビールやうまいもんはどうでもよろし。お花鑑賞だけが目的。
だったら来週でもいいってものですが、そろそろ梅雨入りも近いでしょうし、来週のお天気は分からない。お花の開花状況とお天気を照らし合わせて先送りするくらいなら、一歩先んじてバーディ狙い。現地名birdyことBD-1で疾るのだから、延期より前倒し。

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菅原城北大橋の上から見下ろすと、菖蒲園は木々に埋れてはいるが、その合間から艶やかな花が幽かに見て取れる。
ゆっくり走ったつもりが、菖蒲園の前に着いたのが09時20分。平日の朝とあって、駐輪場には他に自転車も1〜2台で、開門を待つ人影もほんの少し。
門前には品種ごとの開花状況が示され、それによると、約半数の品種が見頃で残りは開花前〜咲き始めで、総合すると6割りがた咲いているらしい。
開門と同時に入場。
旧淀川の河川敷を利用して作られた公園内の菖蒲園には約250品種、13,000株のハナショウブが競い咲き。それらが区画分けされて咲き並ぶ。

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ハナショウブ
ノハナショウブ(学名:Iris ensata var. spontanea)から品種改良された園芸種。江戸期に流行した変化朝顔同様に、戦国時代から江戸時代始めまでに栽培品種化された古典園芸植物。
原種の特徴を留めた長井古種、ヴァラエティに富んだ江戸系、主に室内観賞用として作られた伊勢系肥後系、ザックリ分けて4系統で、その組み合わせから5,000種ものヴァリエーションが生まれているらしい。長井古種伊勢系肥後系の一部はそれぞれ県の特別天然記念物にも指定されて、本来は門外不出のものもあるそうな。
長井古種は山形県長井市で栽培されたもので、江戸系菖翁こと旗本松平定朝が60年間に渡って300品種を作出したものが元となって、伊勢系伊勢松坂の紀州藩士が手掛けたもの、肥後系肥後熊本藩主細川斉護菖翁から譲り受けた品種を元に作らせたもの。

お花や植物から規則正しい営みを学ぶと言いながら、人の手によって作り出された花々。
天然の美のようでいて、半ば人工物でもあって、英語の「art(アート)」、その語源となったラテン語の「ars(アルス)」、さらに遡った古代ギリシア語の「τεχνη techné(テクネー)」に当たり、英語の「technic(テクニック)」とほぼ同義。芸術品あるいは技術によって生み出されたもので、自然・・・英語の「nature(ネイチャー)」やラテン語の「natura(ナチュラ)」・・・ナチュラルとは対義となるような。
DNAなど知らず、ゲノム解析も出来ない時代に試行錯誤、手探りのバイオテクノロジーで作出された花。半分はナチュラルで、半分はテクノロジーの成果。naturaとarsのハイブリッドでサイボーグみたいな。整形美人とか詐欺メイク・・・というと、随分と艶消し。
都会の植物園や公園に植栽されたお花たちはほとんど人の手で作られたもの。大阪の桜はほぼ全部ソメイヨシノでそれらはクローン。バラ園の薔薇たちも品種改良で作出された成果。野草園でさえ人の手が入る。「天然の美」なんて今や深山幽谷に分け入るしか観ることは出来ない。
野菜みたく温室で温度管理されて開花時期をコントロールされていないだけ、多少ナチュラル寄りと言ったところか。
人の手で管理されて、姿や色こそ作り変えられてはいるものの、咲くべき時を弁えて、散り際を心得て、営み自体は変わらない。
同じ品種でも個体差もあって、その姿形や色合いを見較べるだけでも十分面白い。
半分は「アート」だとしたら、菖蒲園という大きな額縁の中に点描のように筆触分割された絵画と見立ててもいいのかも。それじゃあ、クロード・モネが描く「睡蓮」になっちゃう?

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専門家じゃないので詳細は窺い知れないが、花弁の形が変わっちゃったのは品種間のハイブリッド化に依る劣性変異でもあるのでしょう。
色目は、フラボノイド、カロテノイド、ベタレイン、クロロフィルの4種類の色素の配合、配分に細胞内のpHだとか金属イオンなどの影響。人の手で改変されたとはいえ、人工着色料が加えられた訳でもないのでやっぱり天然の美しさというべきなのでしょうか。
今なら、ハナショウブなどにも遺伝子組換えが及んでいるのでしょうか。
艶やかな紫、凛とした白、眼を引くような黄色。それぞれデルフィニウムだとかフラボノイド、カロテノイドによって色調変化した結果。白は色素が無い訳ではなく、無色の色素(!!)フラボノイドが多く含まれた結果。可視領域の光を全部吸収してしまうのでヒトには無色に見えて、授粉を齎す昆虫などは紫外領域の波長の光も色として認識出来るらしいから色付きに見えている・・・らしい。ヤツラの目ん玉の構造は人間様とは違うのね。
研究が進んだ今なら、ある程度結果を予測しながら、生合成酵素遺伝子や分解酵素遺伝子の発現抑制も可能なのでしょうが、戦国時代から江戸時代初期に戦乱に明け暮れる一方で癒やしを求めて品種改良していたというのも、面白いというのもなんだけど、面白いと思う。勘と経験、実験だけで成し得た科学。
ある程度解明されてはいても、生合成や分解の仕組みが完全に理解された訳でもなく、まだまだ「奇跡」に近い部分もあって、これから先はAIが結果を予測しながら確率まで計算して遺伝子操作しちゃうんだろうから、もっとヴァリエーションしていくのでしょうね、多分。

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とまれ!! また考えちゃってますがな。アタマを休ませるのが目的だったはず。なんで、ハナショウブからAIまで飛躍しちゃうかな。「職業病」は、回復不可能なほど、かなり重篤?! 考え事しながら歩いていると、橋から落ちちゃう!!

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蛇足ついでに「アート」な話題。
前述の、フランス近代絵画、印象派の画家クロード・モネ(Claude Monet 1840年11月14日 - 1926年12月05日)と言えば、「睡蓮(Les Nymphéas)」連作が代表作とされて、それを描くために自宅内にいわゆる「(モネの)花の庭(le jardin de fleurs)」まで設けちゃったお方。そのフラワー・ガーデンには日本庭園風な太鼓橋や藤棚があって、睡蓮以外にも様々なお花が植えられて、同じ水際の植物、アイリスもあって、その連作も代表作のひとつに数えられる。
それがね。「モネの庭のアイリス」として陸上に咲き並ぶものもあれば、「アイリス」として水辺に描かれるものもあって、何れがアヤメカキツバタ菖蒲なのか、文目なのか、燕子花なのかよく解らなくて、ざっくりと「Irises」って誤魔化しちゃってる?!
一方、国宝指定の尾形光琳(1658年 - 1716年07月20日)作「燕子花図」も英語だと「Irises」、「燕子花図屏風」なので「Irises Screen」とされる。
いや、絵画の世界も随分いい加減? 英語やフランス語では学名ほど細かく分けないってことなのかしらン?! 日本語の方が繊細すぎるのン?!
細かいことは気にするな、美しければそれでええやん、トレビアン・・・ってことなのかしらン。
何を描くかより、どう描いたかが重要な要素。画題より、その画風がどれだけ感動を呼ぶかの方が意義深いってことなのでしょうね。

何れ菖蒲杜若・・・、分別、区別、差別があるから混乱を招いて、支障を来す。みんなIris(es)でいいじゃん。
ほととぎす 鳴くや五月の あやめぐさ あやめもしらぬ 恋もするかな」 その花模様が複雑な編目を成すアヤメ。文目、分別もつかないほど迷っちゃう。
恐らく今より品種の少なかった、原種ばかりの頃から悩ましいのだから、品種改良された今はもう区別するのも無意味なほど?

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