SSブログ

愛のピアノ三重奏 [音楽のこと]

今日は仕事を早々に切り上げて、あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスタワー内にあるあいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール(長いッ!!)へ参ります。
何やら、愛に溢れるピアノ・トリオのコンサートがあるらしく・・・。

愛のピアノ三重奏.jpg

先月の「ワンコイン市民コンサート」にご出演されて(→記事参照)、ピアノ独奏で「『前奏曲集』集(?!)」・・・プレリュード・コレクションをご披露くださった中桐望さんが今日はザ・フェニックスホールで三重奏を演奏されるとのこと。
その優しく柔らかいタッチの色彩感溢れるプレイが忘れられなくて、しかも、フェニックスでトリオでたっぷり三曲も演奏されるというのに無料だというコンサートを早々に予約申し込み。
さんとご共演されるのは、ヴァイオリニストの岸本萌乃加さん、チェリストの江島直之さん。

愛のピアノ三重奏 ロシア、アルメニア、そしてドイツへのノスタルジーと共に」とタイトルが物語るように、プログラムは、
ショスタコーヴィチ ピアノ三重奏曲 第1番 ハ長調 Op.8
ババジャニアン ピアノ三重奏曲 嬰ヘ短調
ブラームス ピアノ三重奏曲 第1番 ロ長調 Op.8
お三方で、三國を代表する作曲家の、三重奏を三曲。

開場が18h30、開演が19h00で、ワタシが1階の受付に辿り着いたのが18h40ごろ。
3階のホワイエに上がった時にはもう、そのステージフロアはほぼ満席で、後方の関係者席しか空いていない様子。舞台上手と下手にもそれぞれ20席ほど客席が用意されていてそこに僅かに空きがある程度。バルコニー席を見上げればステージ正面辺りにも空席があるようではあったが昇っていくのがちょっと億劫。こんなことなら、近くのカフェでお茶しながらタバコを喫っていないでとっとと来るべきだったか・・・と思ってもあとの祭り。
ステージ横、上手側の最前列に座る。目の前にはスタインウェイのグランドピアノD274、そのキーボードと対峙するような位置。なんとなく、自分がピアノを弾いているような気分になれる?! こういう場所はあまり得られないし、ここなら、ヴァイオリンやチェロの手元は見えないが、ピアノ譜とヴァイオリン譜を眼で追いながら演奏を聴けるのではないかと。

約300席がびっしり埋まって、時刻も定刻。19h00開演。

愛のピアノ三重奏」はドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチの「ピアノ三重奏曲 第1番 ハ短調 作品8」から。
当時17歳のペトログラード音楽院音楽院生のドミートリイ君が「詩曲」と名付けて恋人に捧げた三重奏。初っ端からいきなり愛に溢れるわけですな。がしかし、この楽曲は学生時代の作品とあって、しかも未完で弟子が補筆して、ショスタコーヴィチの死後に出版されたんでしたっけ。完成形で無いということなのか、あまり耳にしませんね。でも、可愛らしくもあって、今日のお若いお三人には合っているように感じられました。

二曲目にいくまえに、ご挨拶と自己紹介。
このトリオ・・・、ピアノの中桐望さん、ヴァイオリンの岸本萌乃加さん、チェロの江島直之さん、お三方とも岡山県のご出身だそうで、いわば「岡山県人会三重奏団」・・・的な?!
同郷の誼みという以上に愛が溢れるようで、最年長だと仰るさんはピアノを演奏しつつ、譜面を追う眼線を時折り弦楽器奏者の方に投げ掛けて、お喋り担当だという直之さんも一番年少、おしゃべりが苦手と言いながら演奏ではしっかり存在をアピールする萌乃加さんを思いやるようにそちらに優しい視線を送る。
女性二人に男性一人だからといって、決して不適切な関係ではない・・・とのこと。
お歳も近くて、共通の言語(岡山弁)で話せるからでしょう、呼吸も合うのでしょう、のんびりしてそうで実はしっかり者のおねーさんとおしゃべり好きで少々やんちゃな弟、頼りなさげに見せてテキパキとした妹、仲のいい三姉(弟)妹・・・のトライアングルにも思えます。

二曲目は、アルメニア出身の作曲家、アルノ・ババジャニアン作曲の「ピアノ三重奏曲 嬰ヘ短調」。
ショスタコーヴィチの「第1番」よりさらにマイナーなこの作品は、直之さんがInstagramで見つけて、他のお二人に「かっこええじゃろ」と紹介したことでレパートリーになったのだとか。今時ですな。
大阪ではどうだか分からないけれど、(明日は同じメンバーで岡山公演があるとのことで)岡山では初演、多分中国・四国地方、もしかしたら西日本エリアでは誰も演ったことが無い・・・のでは無いかという珍曲?!
ロシアとも他の東欧圏とも少し異なるアルメニア調(?)の作風は、異国情緒、エキゾティックという以上に、ノスタルジックでロマンティックに聴こえて、そのお国柄を表すのか、第1楽章~第2楽章は歌うように、第3楽章は弾けたようにリズミックに始まりエキゾティックなメロディーへと収斂していく。「かっこええじゃろ」と仰ったその第3楽章は適度な緊張感を伴って、ホントにカッコイイ!!

休憩を挟んだ後半は、ヨハネス・ブラームスピアノ三重奏曲 第1番 ロ長調 作品8」。
こちらは知らない人がいない・・・はずの”ドイツ3大B”の一角。彼の若い頃、大Bになる前の作品。ロベルトとクララ、シューマン夫妻に出逢った頃でしょうか。のちに改作されてはいるのですが、それでも若さが見えるようなハツラツとした名曲を、ヴァイオリンがよく歌い、チェロがそれを支え、その両方を包み込んじゃうようなピアノのバランス。新鮮味のあるブラームス・・・といった印象でしょうか。

愛のピアノ三重奏。三曲ともに、それぞれの見せ場、聴かせどころもあって、ヴァイオリンとチェロ、チェロとピアノ、ピアノとヴァイオリンの二重奏の妙味も味わえて、そして三位一体、まさにアンサンブルのプロフィット。

鳴り止まない、万雷の拍手に促されたアンコールは、ブラームスの「ピアノ三重奏曲 第3番ハ短調 作品101」より『第3楽章』。
これも細やかで精妙。堪能させて頂きました。

その演奏の前のおしゃべりの間に、ステージ後方の壁がせり上がり、ガラス越しに梅新交差点の夜景が見える仕掛け。いつ見てもちょっと驚いてしまって、この時だけはステージ正面から見ていたいと思うのですが、今日はすぐ眼の前に、スポットライトに照らされて白く浮かび上がる女性二人のベアバックと色鮮やかなドレス。夜景に負けず輝いておりました(決してエロ目線ではありませんが・・・)。耳だけではなく、眼も愉しませて頂きました。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント