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秋のトリオは「大阪クラシック」番外編 [音楽のこと]

季節の移ろいは急に歩調を速めて、夕暮れの風は黄昏を吹き消すように靉靆たる木枯し。身に沁みるはずの秋風は、身を凍みる意地悪な北風に変わって、街路樹がアントシアニンやカロテノイドによる色調の変化を見せる前にその葉を落としめる。
紅葉を待つうちに一足飛びの冬の足音。
急激な温度変化は、「秋風のヴィオロンのながいすすり泣き」ではなく、鼻風邪の啜り上げる音をもたらして・・・?

この週末は、土日続きのクラシック・コンサート。
先ず今日は、逸翁美術館マグノリアホールでのピアノ・トリオ。
先月来トリオが続きますが、それは偶々偶然にそうしたプログラムがワタシを招ぶだけで、ここマグノリアでは、10月21日の近藤浩志さん&池内修二さん&吉竹百合子さんによる「バロック古楽器通奏低音トリオ(→記事参照)」に続いて、またも『大阪クラシック』番外編のような催し。
大阪フィルハーモニー交響楽団ヴァイオリン奏者の小林亜希子さん、大阪フィルハーモニー交響楽団チェロトップ奏者の諸岡拓見さんに、ピアニストの笹まり恵さんを加えた、トリオ・コンサート。

ヴァイオリニストの亜希子さんは、『大阪クラシック』では多くの公演を受け持ち(今年はオーケストラ演奏以外に5公演!!)、無伴奏ソロを演じるかと思えば、デュオやアンサンブルでも演奏されて、今年の『大阪クラシック 第6公演』では、今日も共演されるピアニストのまり恵さんとのデュオでストラヴィンスキー/ディヴェルティメントラフマニノフ/ひなぎくチャイコフスキー/メロディをご披露下さった(→記事参照)。
その時に告知されたのが今日のこのイベント。

一週間に渡る『大阪クラシック』とはいえ、ワタシの場合、どうしても初日(日曜日)と最終日(土曜日)に集中し、平日は脚を運べない。よしんば脚を運べたとしても、混雑の中の立ち見はちと辛い。有料にはなるが、その分快適なホールで座席も用意される「番外編」を心待ちにするのは必然。
しかも「五心」を秘めたトライアングル。曲目こそ違えど、そのバランス、ハーモニーの妙を聴き比べてみようと脚を運びます。

池田市に在る逸翁美術館内マグノリアホールにて、開場13h15、開演14h00。
ご出演となるのが、

小林 亜希子/ヴァイオリン 大阪フィルハーモニー交響楽団
幼少より才能教育でヴァイオリンの手ほどきを受ける。
大阪大学人間学科卒業後、大阪フィルハーモニー交響楽団に入団。
日本クラシック音楽コンクール「秀演賞」受賞。

諸岡 拓見/チェロ 大阪フィルハーモニー交響楽団チェロトップ奏者
5歳より才能教育でチェロを始める。2010年同志社大学に入学。
第69回全日本学生音楽コンクール大学の部第2位。
現在、大阪フィルハーモニー交響楽団チェロトップ奏者

笹 まり恵/ピアノ
京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻卒業。
これまでにピアノを伊皆裕見子、C.ソアレス、上野真、岡本麻子の各氏に、室内楽を織田啓嗣氏に師事。

のお三方。

亜希子さんは阪大をご卒業。ということは、「もうひとつの選択」派(→記事参照)。
まり恵さんは、京都市立芸術大学卒業で、Felix Trioの三人のちょっと先輩、おねーさん(→記事参照)。
女性はお二方とも「ワンコイン市民コンサート」と薄いながらもご縁がある? と何気に、我田引水。
あッ、拓見さんは同志社大学卒で、「もうひとつの選択」系・・・ですね。

プログラムは、
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンピアノ三重奏曲 第11番 ト長調 作品121a 「仕立屋カカドゥ」の主題による変奏曲とロンド
ヨハネス・ブラームスピアノ三重奏曲 第2番 ハ長調 作品87

作曲年と出版年に大きな隔たりもあるので、世に出せるまで改訂を重ねていたのか、納得出来ずに棚ざらしになっていたのか、ベートーヴェンにしては、ちょっと”やっつけ仕事”っぽい(?)、纏まりを欠くヴァリエーションズ。
作品番号付きでは最後のピアノ・トリオで、「アダージョと、ミュラーのジングシュピール「プラハの姉妹」の「私は仕立て屋カカドゥ」の主題による10の変奏曲とロンド(Adagio, 10 Variationen und Rondo über das Theme 'Ich bin der Schneider Kakadu')」というのが正式名称。面倒なので「カカドゥ変奏曲」とも。
楽聖さまをして、ピアノ三重奏曲は難しいのでしょうね、完成されて出版されたのは11曲にとどまり、この楽曲が最後。
長いアダージョと、ヴェンツェル・ミュラー作曲によるジングシュピール「プラハの姉妹」の中の一曲で、ハンガリー・プラハ市民誰もが愛唱したと言われる『私は仕立屋カカドゥ』からのヴァリエーションから成る単一楽章のトリオ。
若い頃の片鱗が残りつつ、老熟した感性も併せ持つ、ある意味ベートーヴェンの集大成?! ひと粒で二度美味しい!?

一方、円熟期のヨハネス・ブラームスが物したピアノ・トリオは、四楽章からなり、三重奏らしい緊張感も活きて、纏まった楽曲。が、やはりピアノ・トリオは大作曲家を悩ませるのでしょうか、こちらも改訂を受けている。

さて、小林亜希子さん(Vn)、諸岡拓見さん(Vc)、笹まり恵さん(Pf)での演奏はというと、真率というか、実直な印象で、その至心なハーモニーは、マジメなワタシとしては好感が持てるもの。強いて言えば、もう少しだけ艶っぽさ、色気が欲しい・・・かなァ。
オーケストラでのお役目の傍ら、『大阪クラシック』でも多くの公演を受け持ち、その余勢とはいえ、全く別のプログラムを抱えて今日のコンサート。それも難なく成し遂げて、お忙しい中、いつどれだけの練習をされているのでしょう。何より演奏することがお好きなのでしょうね。

アンコールは、ハンガリー繋がりにブラームス、「ハンガリー舞曲 第6番」のピアノ三重奏版。

バロック古楽器通奏低音トリオ」共々パーマネント化して頂いて、定期的にリサイタルして頂けたらと思います。

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