SSブログ

SHUT UP AND PLAY THE PIANO [散歩・散走]

超大型の台風24号が接近しているとのことで、今日の大阪は朝から雨。
平日はどんな状況だろうと休めない。その分、休日は雨が降ろうが槍が降ろうが遊び三昧にしたいところ。明日はこの辺りも暴風雨圏内に入るとかで、出掛けるなら今日のうち。
とはいえ自転車には乗れず・・・。

雨の休日。
暴風警報が出ると、鉄道のみならず、デパートメント・ストアや映画館もお休みになっちゃうらしい。今日のうち買い物がてらに梅田まで出て、ついでに映画を観ようと話しが決まる。
で、シネリーブル梅田へ。

黙ってピアノを弾いてくれ.jpg


今日鑑賞するのは「黙ってピアノを弾いてくれ(SHUT UP AND PLAY THE PIANO)」。
2018年製作の、ドイツ人ジャーナリスト、フィリップ・ジェディッケ監督作品・・・というより、カナダ生まれのピアニストでソングライター、エレクトロ・ヒップホッパー、プロデューサーであるチリー・ゴンザレス(Chilly Gonzales)こと本名ジェイソン・チャールズ・ベック(Jason Charles Beck)のドキュメンタリー。

iPadのCMに彼の楽曲「Never Stop’」が採用されてから気にはなっていたのだけれど、本格的に聴き始めたのは2012年発表のアルバム「Solo Piano」から。
ラップだとかヒップホップとかは、正直よく分かりません。
2015年リリースの弦楽四重奏団カイザー・カルテット(Kaiser Quartett)との共演作「Chambers」もオススメ。ちょっとマイケル・ナイマンっぽいけどね。
映画が先なのか、アルバムが先なのか、先ごろ「Solo Piano Ⅲ」もリリースされて、改めて注目のアーティスト。

1972年生まれで、父は大手建築会社のCEO、兄クリストフ・ベック(Christophe Beck)はTVや映画の音楽製作に携わって、そのエリート然とした兄の背中を追うように音楽の道に入り、兄に反発するかのように破天荒な演出のパンクやヒップホップからキャリアをスタート。
最初は地元カナダで、1995年にピーチズ(Peaches)ことメリル・ベス・ニスカー(Merrill Beth Nisker)らとバンド「The Shit」を組み、そこでは本名のままドラムスを担当。時にマイクを持ち、エレクトロニックなビートに乗せたラップを披露。
それからベルリンに渡り、ヨーロッパ・ツアーを敢行。
その後ピーチズとも別れ、ウィーン放送交響楽団をバックにピアノ弾き語りやラップをやってしまうかと思うと、カイザー・カルテットにドラムスを加えた、変則のピアノ六重奏バンドでパフォーマンス。
オーケストラとの共演ではベーゼンドルファー・グランドピアノのボディの中に寝そべっちゃうわ、観客席にダイヴしてクラウドサーフィングしちゃうわ、指揮者や楽団員が失笑したり眉を顰めるのもお構いなし。
弦楽四重奏団との共演でも、スタインウェイは1stヴァイオリニストに任せて、ラップをがなったり・・・。
ベーゼンドルファーは予め大屋根や譜面台を外してあるし、ヴァイオリニストは譜面無しで演奏しているし、まァ、破天荒・・・な演出・・・なのでしょう。
歌声は美しいとはいえないし、どっちかというとヘタなダミ声。ピアノもそれほど上手じゃあない。
が、味があるというのか、不思議な魅力に溢れて、それが多くのアーティストや著名人から共感を得て、Gonzoと呼ばれて、親しまれている・・・らしい。
自らを、アーティストではなくエンターテイナーだと言い、自己演出に長けたパフォーマー振りを発揮し、その一方で、音楽の天才と自称する。
映画の冒頭でも、愛されつつ憎まれたいとして、「成功して大金持ちになった。憎んでくれ」と変人振りをアピール。
チリー・ゴンザレスという芸名もホールで観客に付けてもらった・・・ことになっている(??)。
演奏時は、バスローブにスリッパ履きで、時に手袋まで着けている。
記者会見ではキレてみせるが、それも事前に入念なリハーサル。
それが一転、ベルンに拠点を移し、パリにも住み出した頃から、自宅のベヒシュタイン・アップライト・ピアノで猛練習の日々。それが実を結んで、「Solo Piano」の発表。それがまたエリック・サティの再来などとも言われ・・・。

映画は、それら、チリー・ゴンザレスことジェイソン・チャールズ・ベックの遍歴をなぞりつつ、スイスの作家シビル・バーグによる本人へのインタヴュウを中心に、少年やら数名の吹替え俳優を使った再現ドラマ、過去のライヴ映像、幼少期のスナップ写真、関係者の証言映像などなどがコラージュされて造られて、どこまでが虚構でどこからが真実なのか、どこまでドキュメンタリーでどれだけフィクションなのか・・・。
もしかしたら、ほぼ同時にリリースされた「Solo Piano Ⅲ」のための壮大なプロモーション・ヴィデオ・・・なのではとも思えてしまう。ワールド・ツアーするより、編集出来る映像化。ユーチューブやストリーミングより直接的にお金も入るし・・・。

タイトルの「SHUT UP AND PLAY THE PIANO」は彼の楽曲からで、映画のエンドロールでも流れる。確かに、歌うより、ピアノ・ソロに徹して欲しい・・・とワタシは思っちゃう。

エリック・アルフレッド・レスリ・サティ(Erik Alfred Leslie Satie 1866年05月17日 - 1925年07月01日)の再来というが、それは”音楽界の変人”という評価が共通し、のちの音楽家に大きな影響を与えたとされるところで、ゴンゾの自己演出にも拠るもの?!
ワタシが惹かれるのは、ジェルメーヌ・タイユフェール(Germaine Tailleferre, 1892年04月19日 - 1983年11月7日)っぽくもあるところで、ラップやヒップホップはともかく、「Solo Piano」シリーズ、特に「」はいいかも。
なんかしながらのBGMなら、カイザー・カルテットとの共演作「Chambers」か、「Solo Piano」シリーズ。腰を据えて、じっくり聴くなら・・・、エリック・サティタイユフェールの方がいいかなァ。

ベルリンで管弦楽や室内楽と共演、パリでサティに成りすまし、さて、次の展開は・・・?
Solo Piano」シリーズも三部作でお仕舞いだというから、この映画が次への区切りになるような気もします。

あれ、映画のお話し・・・でしたっけ? 音楽のお話し・・・でしたっけ?

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント