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je ne sais quoi ~ ミュシャに魅せられて [散歩・散走]

今日は父の祥月命日で、お寺さんにご回向賜るのだけれど、それならお盆の法要も一緒にしてしまえということに。お盆休みもあるにはあるが、何かと御用繁多、スケジュールが目一杯。
で、お寺さんには07:15ごろ実家に来て頂いて、ワタシもそれに合わせて早朝帰省。
家内での法要を終えて、老母を伴って墓所へと出掛け、墓の掃除、供養を終えたのが09:30。何事もさっさと初めてとっとと終えるのが我が家の家訓。戦国時代のご先祖様が「疾如風(疾きこと風の如く)」と言ったとか言ってないとか。
ゆっくり脚を休めたいという母を実家に置いて、我が家に帰宅・・・するのも早過ぎるので・・・。


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昨日に続いてのアート観賞。
JR阪和線堺市駅近くのベルマージュ堺弐番館2F~4Fにあるのが堺市立文化館 堺 アルフォンス・ミュシャ館
その名の通り、ミュシャの作品を所蔵・展示する。そのほとんどがカメラのドイの創業者、土居君雄のプライベート・コレクションであったものが彼の死後堺市へと寄贈された。常設的にミュシャ(とその関連)作品を展示するが、国立新美術館に貸し出していたものが帰還したのに合わせて、展示内容を変更し、ミュシャに魅了された人々の視線を辿り、彼の作家像を探るという企画展「あこがれ アルフォンス・ミュシャに魅せられた人々」が07月01日から11月05日を会期として開催中。
それを拝見に参ります。

今年はミュシャの当たり年?
滋賀県守山市の佐川美術館でも07月15日~09月24日の期間、「アルフォンス・ミュシャ展 麗しきアール・ヌーヴォー」が開催中。
10月14日~11月26日は、京都駅ビル内の美術館「駅」KYOTOにて「ミュシャ展 ~運命の女たち~」が開催される。
もちろん両方とも伺う予定ではあるが、まずは近場から。

アルフォンス・マリア・ミュシャ(Alfons Maria Mucha、アルフォンス・マリア・ムハ、1860年07月24日 - 1939年07月14日)。アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)を代表するグラフィック・デザイナー。絵画やイラストレーション、リトグラフ、彫刻、装飾美術とその作品は多岐に渡る。
オーストリア帝国領モラヴィアのイヴァンチツェに生まれ、教会の聖歌隊員となり音楽家を志すが声が出なくなりそれを残念。19歳でウィーンに出向き、そこをスタートにミュンヘン、そしてパリ、働きながらデッサン学校や美術院、アカデミーへと通い、パリの印刷所で働いている時に飛び込んできたのがポスターの製作依頼。舞台女優サラ・ベルナールのために作成したポスターが評判を呼び、ミュシャは一躍時の人。評判が評判を呼び、オファーが殺到。時に、アルフォンス、35歳。各種企業のポスターや装飾パネルを多く手掛ける。
パトロンを得て、金銭的援助を受けて、故国チェコへと戻ったのが50歳の年。
ベドルジハ・スメタナの、6つの交響詩からなる「わが祖国(Má Vlast)」から着想を得て、20年の歳月を掛け、20点からなる連作『スラヴ叙事詩』を製作する。

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ワタシがベル・エポック(Belle Époque 良き時代)な時代に脚を踏み入れたのは多感な思春期の頃。多分、とっかかりはジャン・コクトーの詩・小説と映画・・・だったか。そこから興味が広がって、詩や小説を読み耽り、音楽に没頭し、映画やモダンバレエを観て、フランス近代芸術のトリコと化して幾星霜。絵画や彫刻、アール・ヌーヴォーアール・デコがカバーするデザイン、工芸品、建築、et cetera。収集は無理でも、書物やエキシビションを通じて、それらを見知って今日に至るが、フランス近代にはあまりに多くのismeが乱立し、それを掲げるistが数多。ベル・エポックからレ・ザネ・フォル(Les Années Folles 狂乱の時代)、その僅かな期間にぎゅっと詰め込まれた何れ劣らぬ多様な傑作。全てを網羅的に認識するにはまだまだ時間が足りない。
なかんずくミュシャが描く女性像。写実的なドレープを見せるドレス、その薄い生地を隔てて透ける肉感的な肢体。「ミュシャ・スタイル」と呼ばれる彼独自の画風の中に描かれ、草花やデザイン的な文様と組み合わされた女性像はどこか理知的で、奥深そうにありながら簡潔で、よく出来た数式を見る思いがして、一時期かなりのめり込んだ。

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こういうのばかりが好きな訳ではありません(笑)。

細部まで破綻の見られない構図。淡いようでいて多彩な彩り。モダンでありながら古典的。ノスタルジックでエスニック。アール・ヌーヴォー的なものが凝縮したような作品。それはどこかバロックから古典音楽のアスペクトを含んで、叙情的で流麗、華やかなのだけど幽かに物憂げなメロディーが聴こえてきそうな気さえする。後半生の大作『スラヴ叙事詩』にはスメタナやドヴォルザーク、チャイコフスキーが潜んでいるのであろうが、初期の挿絵のその精細さはより古典的な無伴奏ソナタが聴こえてくるような気がして、ミュシャの作品の前に立つと、眼を見開くよりも耳をすませてしまう。
もちろん、バレエや芝居などのポスターは音楽的で舞踊的。その躍動感も魅力のひとつ。
で、ついつい眼はそこに描かれた女性たちの面差しやボディラインを追ってしまうが、その背後に描かれた記号も見逃せないもの。花や星に混じって、小さなハート♡が多数散見される。これは彼の母国を象徴するスラヴ菩提樹の葉を模っているのだとか。よくよく視詰めると意外な発見があるかもしれない。

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堺 アルフォンス・ミュシャ館
での今回のエキシビションは、『スラヴ叙事詩』などの油彩の大作は見られないものの、彼の代表的なリトグラフ連作や多くのポスター、彼の作品を模した他作家の作品に加えて、明治期の日本においてミュシャを紹介する、あるいはミュシャ作品に倣ったような印刷物。それらが計約80点。ミュシャの魅力を知るには、いいヒントになるような展示内容だったかと思います。

さてさて、滋賀県守山市の佐川美術館でもミュシャ展が開催中。行きたいとは思うが、何せこの暑さ。クルマや電車でそれだけを観に行くというのもちょっと勿体無い。さて、どうしましょうかね。

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