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Stairway to Heaven ~ 茶源郷の天空カフェへ [散歩・散走]

季節の花を求めて疾る「京都輪行ポタリングシリーズ」、今日は、京都市内を離れて、エキゾティーク・ジャポーンな(?)お茶の郷。あいにく花時ではないが、植物連鎖(?!)、茶畑連なるその風景に、お茶の香りを楽しもうという趣向。本当は、こんなに暑くなる前、”夏も近づく八十八夜”な頃に行きたかったのだけど、諸事情に因りそうもいかず、何やかやとしているうちに暦は「夏至・半夏生」に、すでに夏真っ盛りである。

京の茶処というと、宇治市を想起するが、今日の目的地はそのお隣り、京都府南部に位置する相楽郡和束町
市場には「宇治茶」として出荷されるため、和束町で生産される「和束茶」はあまり知られていないが、の生産量は京都府内でもっとも多く、煎茶については47%にも上るという。昨今のお抹茶ブームに乗って、碾茶の生産量が増加し、全国トップクラスの生産量を誇るのだとか。
日本で最も美しい村」にも選ばれたとかで、「桃源郷(Utopia)」ならぬ「茶源郷(Tea-topia)」を名乗り、その茶畑の景観、そして和束茶の風味、さらには体験・学びとして茶摘みイベントを催すなど、「いいとこ和束 ~茶源郷~」を大々的にアピールされている由。もちろん、茶どころであるから、それを使ったフード・コンテンツも提供されている。
レンタサイクルや自転車で巡るルートも用意されて、観光客や観光バス、クルマの多い宇治市よりは、サイクリストにも優しい街であるような。

ならば、行かねばなるまい。

ただ、ね。

茶畑は山裾、町の”売り物”でもある「天空カフェ」なるものは山のてっぺんに在るらしい。
坂道は、ねぇ、下りは好きだが上りはキライ。

しかし、そのために、暑熱順化しようと週末ごとに日の出とともにポタリングを重ね、登坂に備えて、逸翁美術館・マグノリアホールでのコンサートがてら、池田城跡公園でのお花見がてら、五月山での登坂トレイニング(?)を繰り返したのだよ。「天空」まで一気に駆け上ってみせましょう。
オレの庭」・・・大阪市内の山は余裕で攻略(!?)出来るのだけど、多少なりとも苦手な山岳コースを克服しようと、BD-1を2×11speedにスペックアップしたのだから・・・。

ところで・・・。

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自宅から相楽郡へ鉄道輪行するのはちょっと不便。和束町には鉄道自体通っていない。
自宅に近いJR新大阪駅から、パッケージ・モードにトランスフォームしたBD-1Rとともに、京都線(東海道・山陽本線)、大阪環状線大和路線(関西本線)と乗り継いで約1時間半の鉄道旅行。

んン!? 大和路線?! 「京都輪行ポタ」じゃあ??
ボケてるわけじゃなくて、これが正解。奈良県側から京都府入り。

乗車時間は短くてどうってことはないのだけれど、乗り換えの度に駅のコンコースやプラットフォームを自転車を抱えて、あるいはコロコロ押し歩くのが、まァ苦痛。小径のフォールディング・バイクでありながらBD-1は重過ぎる。BD-1Rにアップデートして多少軽量化したとはいえ10kgをゆうに超えている。走りは軽快でも、”荷物”としては重過ぎる。暑い最中に重労働。自分で荷物を持っての旅行なんて旅行じゃない。ポーターさんを雇いたい。
おかげでいつも、駅の改札口を出てすぐに、BD-1Rをライド・モードにトランスフォームさせつつ、一服がてら身体を解さないことには俄かに走り出すことが出来ない。ブランニューな「birdy monocoque air」は軽量化されて10kgを切っているのだとか。ちょっと気になる。

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大和路線木津駅
で下車。そこからは約12㎞の距離ではあるが、自走で茶源郷を目指す。
時刻は08:30。ワタシにしては遅い時間となるが、こうも乗り継ぎの便が悪いと致し方ない。おかげで気温はすでに30℃、今年最初(?)の真夏日である。
朝の清しい空気の中を一気に山頂近くまで登り切って、そこから徐々に降って来るのが、キモチいいうえに効率的ではあるのだが、さて・・・、もう暑くなってしまって、どうしましょう。
木津駅から和束町へは10㎞と少し・・・とはいえ、じんわりと登り基調で標高差は約110m。12,000メートルで100メートルということは・・・、ピュタゴラス先生ェ、平均斜度は如何程になりましょう。
底辺aが12,000、高さbが110、それを公式”θ=tan-1・b/a”に当て嵌めると・・・、答えは0.52519660216507 ° 平均勾配にして約0.9% 楽勝じゃん!! しかし、地図上12㎞の距離が三角形の斜辺の長さに変わると、0.504156076㎞ほど距離が伸びる。山頂に近づくにつれ斜度もキツくなりそうな気配もあるが、この程度ならエネルギー消費も知れたもの。汗をかいて、喉が渇いても、美味しいお茶が待っている・・・はず。
木津駅からほぼほぼR163の一本道。木津川に沿った田園風景からいい感じのワインディングを伴った山岳路になったところで、木津川市から相楽郡和束町に地名も変わる。微妙なアップダウンはあるものの、ほぼほぼ登り基調、30km/hどころか20〜25km/hをキープするのがやっと。全身が汗塗れになる頃に目的の「茶源郷」。

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相楽郡和束町
。鎌倉時代からお茶の栽培が続くというそこは、茶畑と民家が隣り合わせにある「生業(なりわい)の景観」と言われるだけに、比較的平かな場所には家々が並び、斜面は殆どが茶畑となっている。木津川市から一歩和束町に足を踏み入れた途端、美しく整備された茶畑が眼の前に広がり、まさに「茶源郷」。春には並木のが花をつけ、彩りを添えるのだという。
町の南西部、白栖・石寺茶畑を通り過ぎて、脚を止めたのは弥勒磨崖仏の前。川と畑の間の遊歩道に自転車を停めて、竹藪の中に踏み入る。

お茶の栽培も古くから続いているが、和束町は遺跡のまちでもあって、親王陵墓があったり、その冥福を祈って建てられた正法寺平城京の鬼門を守護するために役小角が開いたと言われる鷲峰山金跆寺も遺り、「幻の都」とも呼ばれる恭仁京跡聖武天皇が月見の宴を開いたと言われる石原宮跡もほど近く、平城京恭仁京紫香楽宮を結ぶ街道が通る。町内の八坂神社に在る北山杉は樹齢1300年以上と言われる。

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和束川
の右岸に立つ磨崖仏も1300(正安2)年4月の銘が残る。「長井の弥勒さん」とも呼ばれるその仏さまは6~7mの御影石に彫られた身の丈3mほどの仏像。七百年の時を経た今も、穏やかな表情をされて、当時の面影をとどめ、和束川の早瀬を見つめておられる。まさか、突然忿怒の表情に変わって歩き出したりは・・・しない。それなら、三部作の映画にしなきゃ!!

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遺跡巡りも良いのだけれど、あまり山間部に踏み入りたくはない。自転車を押して歩くなど以ての外。どちらかというと、今日はお茶がお目当て。とりあえずは、和束のアンテナショップでもある和束茶カフェを訪ねる。「天空カフェ」の予約もここでしないといけないはずで、日曜日は9時と見て来たのだが・・・、まだ開店していない。

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カフェのオープンを待っていられないので、他へ回る。すぐ近くには安積親王陵墓があるが、ここも下に自転車を停めて徒歩で登るしか道は無さそうなので、引きの遠景だけに止める。聖武天皇の第五皇子で、十七歳で命を落とした安積親王の陵墓。堺市出身のワタシ、この程度の古墳なら飽きるほど見ているし、陵墓を踏み歩くのも如何かと思われる(ホントは歩いて登るのがイヤだったりする?!)。

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狭い町中のメインロードを走って、その北東部、和束天満宮に至る。何処であろうと、規模の大小に関わらず、「天神さん」とあっては見過ごせない。うちにはまだ中途半端な学生さんがひとり居る。もうちょっとアタマ良くなるかしらン・・・と思ったが、まァ、仕方ないので、”哀しいほどの神頼み”が続いてしまう。
その天神さんはかなりこじんまりとされておられるのだが、平安時代円融天皇より菅原道眞公の絵を奉納され、祀ったのが起源というから歴史はある。本殿は、南北朝の動乱により消失、室町期に再建され、今は国指定の重要文化財となっている。

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と、振り返れば朱塗りの橋があり、その向こうには何やら異世界めいた気配。人知れぬパワースポットか、はたまた異界への入り口、ミステリースポットか。ちょっと気になる森の中。まさか或る日クマさんに出逢うことはあるまいが、そういえば、ここにくる前に『天然の猪肉』という看板を見掛けたような・・・。手水舎横にBD-1Rを停め置いて、禁断の森(?)に分け入る。『水曜スペシャル』的な探検隊気分。
天満宮の祭神は言わずもがなの菅公菅原道真。その本殿の左側に若宮社、右側に御霊社、南に恵比寿社があって、橋の向こうは梅宮社熊野社、その奥に江戸時代前期の春日神社がある。

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細い参道の脇まで茶畑が迫り、そこを登っていくとそれなりの眺望を得られるが、遮るものがないと強烈な日差しが照りつけて、炙られる思い。溶解るゥゥゥ!!

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メインロードから脇に折れて、和束町内の紅葉の名所と言われる正法寺天平時代安積親王の菩提を弔うために行基菩薩を開山として建立されたと伝えられる臨済宗永源寺派の古刹。当時は背後の仏法山に建立されていた大寺であったそうで、中世の兵火で荒廃。江戸時代に現在地に移されたのだとか。境内や参道に多くのヤマモミジ。今はそれらはアオモミジではあるが、多少なりとも涼やかな風を呼ぶような気もしなくもない。

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ここまできたらもう少し頑張っちゃおうと、八坂神社に残る「八坂の大杉」を目指したところ・・・。
道はどんどん狭くなって、それが勾配を強めて胸つくような激坂になって・・・、滴る汗にココロ挫けそうになって、引き返そうかと思ったところに突然、眼の前に北山杉の巨木がニョキリと。
樹齢が1300年とも1500年とも言われる杉の巨木は、比較的温暖な地に不似合いな北山杉で、この一本きりないのだとか。誰がいつ、なんのために植えたのかも定かではなく、本幹が倒壊したあとその枝木の八本が株をひとつに巨木となり高さ31メートルまで育ったのだとか。

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どこの高みに登っても、見下ろす風景は傾斜地の茶畑。なんとなく、方向感覚も位置感覚もおかしくなってしまいそう。もっと高み、標高682mの鷲峰山金跆寺を目指そうかとも思ったが、あまりに暑い。遭難者が出る岩場の修験道場へは生半可では挑めない。そろそろカフェがオープンする頃合いでもある。

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和束町運動公園
内、山のてっぺんにある「天空カフェ」を利用するにはその麓、和束茶カフェで予約しないといけないそうで、そこを訪ねると、1時間ごとの貸し切りとなる「天空カフェ」はこのあと12:00からの枠が空いているとか。現在10:30。せっかくここまで来て、話しのタネ、ブログのネタを逃す手はない。12:00からの1時間を予約しておいて、別のカフェへ。

町内にはコンビニエンスストアは一店舗きり。食事が出来るところもなくはないが、なんだかイマイチ気乗りがしない。日曜日とあって、観光客向けに茶団子や野菜などを商うブースも開いているが、まず暑過ぎて食欲も出ない。エアコンが効いていて、かつタバコが喫えるところはないものか・・・と物色。というか、ここまでの道すがら、すぐ近くのカフェのテラス席で地元のおっさんたちがタバコを喫っているのを見逃すワタシではない。時速25㎞で駆け抜けつつ、そのサインボードに掲げられたスイーツ・メニューを見落とすワタシではない。

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で、「Japanese Tea Cafe YAMAJIN」へ。
テラス席はタバコが喫えるが暑そうなうえおっさんたちが陣取っているので、とりあえずエアコンが効く店内に入る。
地元和束産のお茶を使ったカフェ・メニューが並び、”売り”はコンテスト優秀賞受賞の「焙じ茶ゼリー」であるそうな。が、オーダーしたのは「抹茶パフェ」と「グリーンティー」。
お茶本来の風味を味わおうと思えば、適度に暖かいホットで頂くのがベストなのだろうが、今日は暑過ぎて、冷たいのが一番のご馳走。どちらも甘過ぎないのがいい感じで、グリーンティーはゴクゴクと2リッターくらい飲めそうな気がする。
お店の方のご好意で、「茶源郷」の四季を写した写真集を拝見する。春はと競演、秋には紅葉、冬は冬で雪化粧した茶畑で、写真もお上手だがまずその情景が四季折々に美しい。この次は、お茶の花が咲く頃か、来年にはなるがサクラの季節に来てみようかという気になる。オニが笑うwww

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そうこうするうちにいい時間。テラスでタバコ2本を灰にして、和束茶カフェに向かう。
BD-1Rを店頭のハンガーに預けて、「天空カフェ」の鍵とそこへの案内図とテイクアウトの「グリーンティー」を受け取る。自転車で行けるかと尋ねたところ、無理ですと即答。階段しか路はないとのこと。

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活道ヶ丘公園
の芝生広場を横切って、京都和束荘という宿泊施設をかすめて、細い階段状の路を辿る。下から見上げた時はさほど高いところあるように思えなかったが、歩いてみると結構な距離。斜面ばかり眺め過ぎて、やはり、位置感覚、距離感覚がおかしい。
カフェと言いながらキッチンも無ければ、若くて可愛いウェイトレスがいるわけでもない。カフェとは名ばかりの小さなヒュッテまで辿り着いたら、汗はダラダラ、膝はガクガク・・・。預かった鍵で扉を開けて、指示通りにエアコンをオンにする。
一人/1時間/¥500で貸し切ったその、カフェを名乗るヒュッテで、さて、何を致しましょう。

There's a lady who's sure all that glitters is gold
And she's buying a stairway to heaven
When she gets there she knows, if the stores are all closed
With a word she can get what she came for
Ooh, ooh, and she's buying a stairway to heaven

誰もが一度は演奏してみたことのある、あのイントロがアタマをよぎって・・・。盗作だろうとなんだろうと、カッコイイものは格好良くて、それこそ35億人くらいはコピーしたことがあるLed Zeppelinの超名曲。

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まずは窓からの眺望。これは申し分ない。高いところまで登って来た甲斐があるというもの。
畳敷きになった囲炉裏端、靴を脱いで疲れた脚を伸ばしていると、貸し切りと知らずに入ってこようとするものが2組ばかり。おちおち寝転がってもいられない。Zepをアカペラしてられない。
天井もない屋根から直の構造で壁も板一枚。今日の日差しに炙られて、エアコンフル稼働でも追いつかない。
どこへ行ってもそうだろうが、真夏日の暑さが逃れようがない。やはり、八十八夜の頃に訪れるべきだったか。
こういう施設は、彼女か愛人と二人連れならまだしも、おひとり様には向かないのね。撮れ高も十分となった40〜45分ほどで下山することに。
エアコンはオフにした!! 鍵は施錠した!! 忘れ物は・・・無い!?

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目眩を誘うような急階段は、下りも結構膝にくる。
和束茶カフェ
に鍵をお返しして、さて、どうしましょう。改めてランチを摂ろうにもパフェと2杯のグリーンティーでお腹は適度に満たされている。もう一度登坂するには脚が終わっている。何より暑い。
予定よりちょっと早いが13:00に帰路につく。
往路は飛ばせなかったR163も、復路は怖く無い程度の緩やかな下り。適度にワインディングしている山路、路面に大きく『50』と描かれているので、それを少しだけ下回る速度でひた疾る。上りの疲れも忘れて、信号もない山間の一本道、気持ちいいのなんの。
が、それも木津川と並走するようになる頃には平坦路。木津川市に入って、クルマも増えて、信号も増える。それでも、もう木津駅は眼の前。13:26発の大阪行きに飛び乗って・・・。

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新大阪駅
まで輪行してもよかったが、混雑する大阪駅での乗り換えが面倒。福島駅で降りて、そこから自走で帰宅。我ながら、元気なことよ。
自宅に戻ったのが15:00前。シャワーを浴びて、『Stairway to Heaven』を聴きながらの短い午睡。それにしても、今日の”階段”は天国どころか、ただただ昇天してしまいそうなほどに暑かった。
次回は、嗚呼、半夏生が呼んでいるが、さて・・・。



本日の結果
Mx:48.80km/h、Av:18.90km/h、Dst:44.67km、Tm:02:33:56

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