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お花を観に行く ~ 大山崎山荘美術館ポタ [散歩・散走]

柄にもなくお花が好きで、当ブログのタイトルも『黒薔薇』なら、季節が巡る度にバラの花を求めて走り回る。それ以外、春のサクラに夏のアジサイ、水に浮かぶスイレン・・・、季節には季節のお花。その時期に咲く花を探して走りたいのだが・・・。

 

この春以降も、花を求めて奔り回りたいと計画はしていたのだけれど、体調が思わしくなかったり、天候に阻まれたり、スケジュールの調整が上手く出来なかったりで、「サクラを観に行く」も「アジサイを観に行く」も「スイレンを観に行く」も「竹の秋を感じに行く」も流してしまった。ついでに言えば、「草餅を食べに行く」もスルーした。

天然自然のお花は見逃してしまったけど、これは見逃せない。
アサヒビール大山崎山荘美術館で7月4日から9月13日の予定で開催中なのが『植物のものがたり』展。同館のコレクションの中から植物をモティーフとした作品を展示する。

大山崎山荘美術館といえば、クロード・モネの「睡蓮」がコレクションされている。
夏の京都ポタで本物のスイレンを観た帰りにここに立ち寄ってモネの作品を拝見しようと企てていたのだが、それもキャンセルしてしまった。旬のお花には出会えなかったからこそ、このエキシビジョンは見逃せない。

台風が接近しているとかで、天気もはっきりすっきりしない。大阪市内もパラパラと雨催い。見上げると北の空に暗雲が浮かぶ。大山崎まではJRでも阪急でも30分ほど。クルマでも時間は変わらないが、それはそれ、"おもにポタ・レポ"を謳う「黒薔薇堂」が自転車で走らないでどうします。それに盆休みは家族サービスで2週間ほどバイクに乗っていない。雨? 台風? まァ、降ったら降ったで濡れればいい。一応輪行の支度だけ携えて家を出る。

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今日はカラダへの負担を考えて、フロントバッグを装備した"ツーリング・フォーム"。リクセンカウルのアタッチメントに取り付けたORTLIEB ULTIMATE 6 CLASSIC M BLACKは必要にして十分な容量を備えるが、その分重心位置が高くなって、バイクの挙動が不安定になる。風の抵抗も幾分か増してしまう。
25km/hペースでゆっくり走る。今日は片道35Kmのコースで、ムシムシジトジトと湿度も高い。帰りの体力を温存しておかないといけない。
それでも、前後の交通量が減って、クリアになったらついついシフトアップしたくなる。田舎めいた風景が退屈で、7速キープから8速、9速。25Km/hから30Km/h、35Km/h、気がつけば40Km/h近くまで回してしまう。
オレの庭」は天然の植物は少ない。が、ハイカラに飾り付けられたショウウインドウやその前を闊歩するオシャレに着飾ったオジョーサンたちがお花代わりに眼の保養。「オレの庭」から出てしまうとそれが少ないからイヤになる。どうしても飛ばしてしまいたくなるわけですな。
コンポーネントを少しよくしただけで快調に走ってくれるBD-1R。最上級グレードのパーツを奢ればどうなるかしらン(?)と夢想してしまうが、それは冬まで取っておく。

このまま京都まで、いっそ大津辺りまで走れるンじゃあないか。などと考えていたら、快速過ぎて目的地をオーヴァーラン・・・オーヴァーライド?! えらいとこまで走ってしまったような・・・。Uターンしないと。

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それでも、一時間半ほどで大山崎駅前、天王山の麓に到着。激戦の跡は小径車にとっては厳しい激坂で、とても駆け登れそうにない。バイクのスペックはかなり向上しているのだが、エンジンたる脚力がそれに追いつかない。中腹の駐輪場まで引いて歩く。
自転車を停めて、そこからは徒歩で坂道を拾っていかないといけない。約10分間、苦行のヒルクライム、徒歩だけど。

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短いトンネルのようなエントランス。それを抜けたら、異世界めいたお庭が広がって、その樹木に抱かれるように建っている洋風建築が美術館の本館となる。
その「大山崎山荘」は、もとは関西の実業家、加賀正太郎の別荘として、大正から昭和にかけて建設され、その晩年には同社の株を深い親交があった朝日麦酒株式会社(現アサヒビール株式会社)初代社長、山本爲三郎に託し、現在の美術館へと受け継がれたそうな。何度か転売され、老朽化する中で、取り壊されそうになったものをアサヒビール株式会社が復元して現在のスタイルにしたという。
約5,500坪の庭園のなか、英国風山荘である本館と安藤忠雄設計の「地中の宝石箱」、「夢の箱」、茶室(非公開)やその他の建物、それらを巡るだけでも価値があるような。

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今回の『植物のものがたり』では、同館所有のコレクションから植物をモティーフとした作品が展示されるが、中心となるのはクロード・モネの「睡蓮」連作の一部と、加賀正太郎が限定出版した版画集「蘭花譜」に収められていた花譜。蘭栽培を趣味とした加賀は、専門の技師を迎えて設備を整え、最盛期には大山崎山荘の蘭温室で1万鉢近い蘭が栽培されていたのだとか。温室こそ取り壊されてしまったが、「オオヤマザキ」と名付けられた幾種もの蘭が木版画となって残されている。
それに加賀正太郎や山本爲三郎が集めた焼き物や絵画が加わる。

本館の受付で入場料を支払って、パンフレットをもらったら、館内の順路に沿ってそのコレクションを観て回る。途中、少ォしコースを変えて、3番目に指定されている「地中の宝石箱」はパスして後回し。
「夢の箱」と名付けられた別館に展示されているのが加賀正太郎が残した「蘭花譜」。加賀の夢が詰まった箱に、加賀が描かせた蘭の木版画花譜が十数点。同じサイズで同じ色調に揃えられた、図鑑めいた花譜。艶やかな蘭は妖艶さまで備わって、ずっと観ていても飽きない。

本館二階まで進んだところで、そこにある喫茶室でちょっとブレーク。

ミール・メニューはなくて、カフェ・メニューが少し。今回の展示に合わせたスイーツが2種あって、"マッサンとリタ"的なサヴァラン風ケーキ&ゼリーに、ビスキュイチョコマカロンを添えたものもそそられたが、ここは「モネの庭」と名付けられたケーキを頂かないといけませんな。
"モネのジヴェルニーの庭園に着想をえた、緑色と紫色のコントラストが美しいケーキ。ほうれん草、抹茶の生地に栗のクリームを塗り、紫芋とさつまいもの生地をのせました。和風のしっとりした味わいは、モネが愛した日本を思わせ"るらしい。キャプションだけ読むと、色んな風味が詰まった複雑系に思えるが、そのヴィジュアル・インパクトに惹かれた。"ケーキの印象派やァ〜!!"・・・的な?!

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ほうれん草と抹茶の生地、紫芋とさつまいもの生地に挟まれた栗クリームはあっさりしているようなのだが、一番上のシロップが強烈に甘い。それに芋類のほんわかした甘さがブレンドされて、あとを追うように抹茶の風味が広がる。なかなか女子受けしそうなスイーツ。女子力高いワタシがゆーのだから間違いない?!
一緒に頂いたアイスティーは極々フツーのアイス紅茶。ちょっと物足りないが、今は冷たさがありがたい。

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ここの喫茶室、テラスからの眺めは最高で、天気がよければその眺望と冷たいビールでも味わいたいところだけど、自転車といえども飲酒運転はいけません。

汗も退いたところで、とっておきの「地中の宝石箱」へと進みます。その名の通り地下に埋められた半円形の展示室。その円周上にモネの絵画が3点。「睡蓮」連作の2つと「アイリス」、何れも水辺の植物を題材とした大きめの油彩画。背後の直線部には他の画家の作品が幾つか並べられている。

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クロード・モネ
(Claude Monet 1840年11月14日 - 1926年12月5日)は、印象派を代表するフランスの画家で、他の画家が印象派から離れていく中で、独りその技法を追求し続けたImpressionismなImpressionist。夫人をモデルにした作品や日本風の衣装を着たモデルを描いたものが有名なのだが、ワタシはやはりお花を描いた作品、分けても「睡蓮(Les Nymphéas)」連作に惹かれる。
"光の画家"が描いた「睡蓮」。ジヴェルニーの自宅の庭にあるスイレンの池をモティーフに200点以上描かれたというシリーズで、今回展示されているのは1907年に描かれたものと、1914〜1917年に描かれたもの。「アイリス」も1914〜1917年だったか。

用意された椅子に腰掛けて暫く眺める。

1900年代初頭といえば、大阪大学会館のBosendorfer252(1920年製)やマグノリアホールのSteinway & Sons Grand Piano B-211(1905年製)が造られた頃。そして、クロード・ドビュッシー(Claude Achille Debussy 1862年8月22日 - 1918年3月25日)が活躍した時代でもある。
同じファーストネイムをもつ二人は同じ時代、同じフランスにあって、一方が"印象派の画家"なら他方は"印象主義音楽"の作曲家として知られる。ジャポニスムに惹かれたところは同じだが、それはおそらくその頃のトレンド。接点がありそうでないのはジェネレーション・ギャップによるためか?! それとも相容れないものがあったか? ドビュッシーの作品はモネの絵画から受ける印象より、もっと耽美な象徴主義に近しい。モネの絵にインスパイアされることはなかったのかしらン? 惹かれるものがなかったのかしらン?
が、それでもアタマの中で、『映像(Images) 第1集 L.110』の「水に映る影(Reflets dans l'eau)」が自動再生されてしまう。これは1905年の作品だったか。仄暗い地中の展示室にいながら、池の中に身を沈めているような感覚に独りほくそ笑む。
2点でも見飽きない「睡蓮」。200点全部に囲まれたらどんなだろう。疲れてしまう?

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睡蓮」の印象を十分に吸収したところで、その展示室の上になる庭園を散策。頭上には印象派絵画めいたグラデーションの雲が広がって、ポツリポツリと雨粒が落ちてくる。恐らく激しく降ることはないだろうと、高を括って静かな庭めぐり。
小さな池が2つあって、そのどちらにもスイレンが浮かんでいる。
オレの庭」ほどではないけど、日差しがキツくないこともあって、居心地はいい。
アタマの中で自動再生するドビュッシーをひと通り楽しんだところで、そろそろ美術館をあとにする。

駐輪場まで徒歩でダウンヒル。BD-1Rに乗ってからも短い山下りで天王山からあっという間にJR駅前。雨を嫌って輪行で帰る手もあるが、カラダとバイクはまだまだ走りたがっている・・・ような。理系なので無理はしないが、無茶はする。
駅前のカフェでランチする腹積もりでいたが、ケーキとお茶でお腹いっぱい。食事より快走したい。
火照ったカラダを冷たい雨で冷やしながら、それでもその雨も高槻市を横断するうちに止んで、大阪市に入る頃には濡れたカラダも乾いたような。

お花のアートも堪能したし、久々の中〜長距離(?)ポタにも満足。「睡蓮」や「蘭花譜」に癒されて、甘いスイーツに和んで・・・。
たまには「オレの庭」を飛び出さないといけませんな。

本日の結果
走行距離:72.94km (ちょっと疲れた)
走行時間:03:16.58

おまけの一枚

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本館を見守るように・・・飛び掛るように展示されている、なんとなく、他人とは思えない体型のウサギさん。"JoJoウサギ"と(勝手に)命名しよう。
ホントは・・・バリー・フラガナン作「ボールをつかむ鉤爪の上の野兎」といいます。春には枝垂れ櫻に囲まれる由。


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moto_tip_sp

お久しぶりです。夏休みは家族サービスで満喫されたようですね。

ついにjojoスペシャルも俺の庭を飛び出しましたね。
そういえば先日ドールさんのポタ会で山崎のサントリーの工場見学行ったときに、朝日ビールの美術館があると案内に書いてました。
私たちは美術よりもウイスキーにばかり気がいってましたが。

9月は大阪クラシックやサイクルピクニックでまたお世話になる機会もあるかと思いますがよろしくお願いします。

あと9月にまたクルーズポタも開催されるようですよ。
by moto_tip_sp (2015-08-23 08:11) 

JUN1026

モトさん、コメントありがとうございます。
久しぶりに「オレの庭」を飛び出して、長い距離を走りました。走り出してしまえばなんとかなるものですね。
来月は「大阪クラシック」に「サイクルピクニック」。ご一緒する機会もあるかと思います。こちらこそよろしくお願いします。
by JUN1026 (2015-08-23 22:36) 

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